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IoT

IoTのメリットと分野別の活用事例

IoTは私たちにどんなメリットをもたらし、どんな分野で活用され、今後どのように発展していくのでしょうか。今回はIoTについて、分野別の活用事例を中心にご紹介します。

  1. IoTとは?
  2. IoTのメリット
  3. IoTの種類とそれぞれの活用事例

IoTとは?

IoTとは、モノをインターネットに接続し、情報交換することで、遠隔からの認識、計測、制御などを可能にする仕組みのことです。「Internet of Things」の頭文字を取った用語で、日本語では「モノのインターネット」とよく訳されます。

IoTのメリット

IoTが普及するとどのような利便性や有用性が得られるのでしょうか。ユーザーと企業、それぞれのメリットを見てみましょう。

1.ユーザーの利便性向上

すでに実用化されているIoT家電やスマートハウスは、ユーザーにとって便利な商品として受け入れられています。例えば外出先からスマートフォンで遠隔操作できるネットワークカメラ、ドアロックシステム、あるいは住人の好みや生活リズム、季節や外気の変化に応じて最適温度に自動調整してくれるエアコンなどがその代表です。

そしてIoTがさらに社会に浸透していくと、製造業のサービス業化が進むと考えられています。例えば製品に何らかの不具合が起きればその情報がメーカーに送られ、すぐさましかるべき対処が講じられるようになります。

ユーザーにとってはリアルタイムで、ほぼ自動化されたアフターサービスもしくはサポートが受けられるようなものです。消耗部品が機能停止する前に自動的に部品が配送され、補充されるなどの仕組みも考えられます。製品の使用方法などについて製品を通じてユーザーが質問し、アドバイスや提案を受けられるようなサービスも実現するでしょう。

2.企業の効率化、コスト削減

製品を提供する企業側は、IoTによって消費者ニーズを的確に把握し、需要と供給の最適化を図れるようになります。特に製造業者にとっては、売れるだろうという予測に従って製品を作るのではなく、確実に需要がある製品を製造できるようになります。

IoTを活用した工場も実用化されてきています。センサーを備えた生産設備をネットワークに接続することで稼働状況を見える化し、生産設備や機械から得られたデータを分析して生産管理システムなどと連携させることで最適化された生産体制を維持できます。IoT化により、工場は徹底した効率化とコスト削減を実現できると言われています。

3.企業のビジネス機会の創出

IoTによって膨大なデータを得るようになれば、企業は消費者の多様な需要を捉えられるようになります。そのビッグデータの活用によって新しいビジネス機会も創出されるでしょう。IoTはサービス業、物流業、医療、農業など多くの業界でも活用が始まっており、今後これまでとはまったく異なるビジネスが生まれる可能性も期待されています。

IoTの種類とそれぞれの活用事例

IoTには、モノを操作するIoT、モノの状態を知るIoT、モノの状態の動きを検知するIoT、モノ同士で通信するIoTがあります。以下、それぞれの事例をご紹介しましょう。また異なるIoT同士が融合して実現する活用事例もあります。

1.モノを操作するIoT事例

カメラ、ドアロック、家電、ヘルスケア機器などを、スマホなどを使って操作できるIoTです。電源オンオフ、強度の調整、その他の操作が可能です。例えば留守中のペットの様子をネットワークカメラでモニターし、スピーカーから話しかけたり、エサをあげたりできる製品などは話題になりました。

2.モノの状態を知るIoT事例

モノの状態を監視し、リアルタイムに把握するIoTです。代表例は医療現場で使用されているウェアラブル型のデバイスでしょう。患者の健康状態が悪化した際に注意のアラートを出す製品、血糖値を管理できるコンタクトレンズなども開発されています。身につけるタイプ以外にも、脈拍数や呼吸数、睡眠・覚醒時の状態をモニタリングできる「スマートベッド」などと呼ばれる製品も登場しています。

また農業分野では、野菜などを栽培するハウス内の環境をIoTで監視し、遠隔から温度調節、空調バランス調整、水やりや肥料の供給を管理する「スマート農業」の実験が始まっています。

3.モノの状態の動きを検知するIoT事例

モノ、あるいはそのモノを携帯している人の動きを検知してアクションを起こすタイプのIoTです。例えばショッピング施設内の主要な場所に複数のIoTセンサーを設置し、来店者が持つスマホとクーポンが利用できるアプリを使って、顧客の動線や属性を組み合わせた来店状況を分析するといった実証実験が行われています。

動きを検知するIoTが普及すれば、ショッピング施設に得意客や見込み客が近づくとその人のスマホにセールなどのお得な情報が送信されるといったシステムも一般的になるでしょう。

4.モノ同士で通信するIoT事例

モノ同士で通信するIoTには、機械が機械から情報を収集するIoTと、機械が機械をコントロールするIoTの2つのタイプがあります。

機械が機械から情報を収集するIoTの代表的事例として挙げられるのは、VICS=道路交通情報通信システムです。現在は高速道路上に設置されたセンサーが渋滞や交通規制などの道路情報を計測し、VICSセンターが情報を処理、高速道路上に設置されている電波ビーコンからカーナビなどにリアルタイムに送信しています。このVICSは今後、道路を走る車自体がIoTセンサーとなって大量の情報を集約・解析することで、さらに詳細かつ広範囲の道路情報を網羅できるようになると考えられています。

機械が機械をコントロールするIoTの事例にはビルの自動照明制御システムがあります。ビル内に設置された人感センサーが人の有無を検知、制御装置がその情報をもとに照明の明るさを調整します。他に空調を制御するシステムも実用段階に入っています。

IoTはさまざまな分野に導入され、現在すでに多くの効果を生み出しています。近い将来にはさらに普及し、生活環境を劇的に変えていくと予想されます。その動向にぜひ注目してみてください。

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