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VDI(仮想デスクトップ)とは? メリット・デメリットと併せて解説

VDIを活用すれば、従業員すべてが高性能で多機能なパソコンを使う必要がなくなります。また、情報漏えい対策としてもVDIは有効です。VDIとはどのようなものなのか、導入によって得られるメリットとあわせてご紹介します。

  1. VDI(仮想デスクトップ)とは?
  2. VDIとシンクライアントや通常のパソコンとの違い
  3. VDIの種類(実施方式)
  4. VDIのメリット
  5. VDIのデメリット

VDI(仮想デスクトップ)とは?

VDIとは「Virtual Desktop Infrastructure」の略で、日本語では「仮想デスクトップ」や「デスクトップ仮想化」とよく訳されます。従来、社内で使用するコンピューター(クライアント端末)で個別に稼働させていたOSやアプリケーション、作業データを、サーバー上の仮想化基盤に統合し、集中管理を行う仕組みのことです。

もう少し簡単にいえば、サーバー上にクライント端末の数だけ仮想マシン環境が存在しており、社員一人ひとりがその仮想マシン環境にアクセスしてアプリケーションやデータを使う、というイメージです。

VDIではユーザー(端末利用者)がクライアント端末に向かってキーボードやマウスを操作すると、その情報がサーバー上の仮想デスクトップに送られ、操作した結果がクライアント端末のモニターに映し出されます。この仕組みによって、ユーザーは通常のパソコンを使っているのと何ら変わらない感覚で端末を使用できます。

また、VDIではサーバー上にアプリケーションや作業データを集約して処理することになるため、クライアント端末には必要最小限の機能が備わっていればいいことになります。クライアント端末にはそれほど高いスペックは必要ありません。パソコンに限らず、スマートフォンやタブレットもクライアント端末として利用可能です。

なお、VDIには自社内にサーバーを構築して運用するオンプレミス型と、クラウドを活用した仮想デスクトップサービスとして提供されるクラウド型があります。最近は導入コストが安価で、運用をサービス提供会社に委ねられるクラウド型が主流になりつつあります。

VDIとシンクライアントや通常のパソコンとの違い

シンクライアントとは、端末では最小限の処理のみを行い、大部分の処理はネットワークでつながったサーバーで行う方式のことです。

このように説明するとVDIとはどう違うのかという点が気になりますが、VDIはシンクライアントの実装方式の一種です。シンクライアントには大きく分けて「画面転送型」と「ネットブート型」があり、VDIはそのうちの画面転送型に分類できます。ちなみに、画面転送型にはVDIの他にもブレードPCとサーバーベースと呼ばれるものがあります。

通常のパソコンもサーバーと接続し、クライアントPCとして使用することができます。しかしその場合はパソコンにもOSやアプリケーションをインストールし、ハードディスクなどにデータも保存できます。必要なときにファイルサーバーやメールサーバー、プリントサーバーなどとデータをやりとしているのがシンクライアント端末との違いです。また、ネットワークや他の機器と接続せず単独で使用できるスタンドアローンのパソコンもあります。

VDIの種類(実施方式)

VDIは実施方式によって大きく4つの種類に分けられます。それぞれの特徴は次のとおりです。

VDI方式

個々の仮想マシンをサーバー上に作成して、それぞれにOSをインストールする方式です。「1デバイス=1仮想OS」が原則で、接続するクライアント端末ごとに使用する仮想OSが決まっています。そのため端末ごとに自由にアプリケーションを選んで使えるという特徴がある一方、Windows OSを使用する際は端末ごとにライセンスが必要なのでコストは高くなる傾向があります。

SBC方式

サーバーにインストールしたOSやソフトを複数のクライアント端末で共有して使用する方式です。サーバーにインストールされたOSで使用でき、なおかつマルチユーザーに対応したアプリケーションを購入する必要があり自由度が低くなります。ただ、ライセンス料を抑えられるだけでなく、サーバーのCPU、メモリ、ストレージなどを効率的に利用可能なので、比較的低コストの方式だといえます。

DaaS方式

VDI方式と似ていますが、クライアント端末に呼び出すデスクトップ環境がクラウド環境上に展開されているのがDaaS方式です。所有するサーバーを使うか、外部のクラウドサービスを使うかの違いと考えて良いでしょう。

HDI方式

ひとつのサーバーをひとつのクライアント端末に割り当てる方式です。サーバー内に仮想化したマシンを作成するわけではないので単一のユーザーが多くのリソースを専有でき、遠隔地からの操作でもパフォーマンスが落ちません。

VDIのメリット

企業内にVDIを導入するメリットを見てみましょう。主に次の4点が挙げられます。

1.クライアント端末ごとに最適な環境を簡単に用意できる

VDIではクライアント端末ごとに、ユーザーが求める環境を簡単に作り上げられます。目的に合わせて使いやすい、最適な仮想デスクトップをサーバー上にカスタマイズして作っておけば、いつでもどこからでもアクセスできるようになります。

2.クライアント端末にデータを残さない

VDIで作業をする際は、クライアント端末には作業データは一切残りません。そもそもクライアント端末には、ハードディスクなどの記憶装置を搭載する必要もありません。そのためたとえ端末を紛失したり、または盗難にあったとしても情報漏えいのリスクを最小限に抑えられます。

3.一元管理によるメンテナンスコストの抑制

VDIは、クライアント端末を一元管理できるため、OSやアプリケーションのアップデート、セキュリティを強化するためのパッチ適用や不正アクセスの監視なども徹底的に行えます。これらによりメンテナンスにかかる人件費も抑えられますし、さらに安全性を高めることが可能です。

4.テレワーク、在宅勤務に活用できる

社内だけではなく、外出先や出張先、自宅、サテライトオフィスなどからもVDIは利用できます。そのためテレワークや在宅勤務などの多様なワークスタイルに活用可能です。
また、テレワークで使用する場合、クライアント端末にデータが残らないため、情報漏えいのリスクが抑えられるのもメリットです。ただし、通信を傍受されると情報が盗み見られてしまうので、インターネット接続時はSSL経由にするか、VPNを利用して通信経路を暗号化するなどの対策も必要です。

VDIのデメリット

一方、VDIにはデメリットもあります。特に以下の3つのポイントについては理解しておく必要があります。

1.サーバー側には多大なリソースが必要

クライアント端末に高性能・多機能は必要ないものの、サーバー側には多大なリソースが求められます。端末の機能は必要最小限に、その分、サーバー側では大量の処理を実行するためのリソースが必須、というのがVDIの基本構成です。特にオンプレミス型ではこの点でコストと導入工数が増大する傾向にあります。

2.ネットワーク品質に使い勝手が左右される

ネットワーク回線の品質もまた使い勝手や快適さを左右します。通信速度が遅いと操作にタイムラグが生じることもあり、そうなれば使いづらさや不便さを感じるでしょう。

3.単一障害点が発生しやすい

単一障害点とは、ある一つのポイントが機能しなくなると、システム全体が障害に陥るような箇所のことです。VDIではクライアント端末側に障害が起きても、それほど大きな問題にはなりません。しかし、ネットワークやサーバー側に何らかの不具合が起きると、全てのクライアント端末が影響を受けます。それだけにサーバーに関する管理やメンテナンスが非常に重要となります。

VDIには情報漏えい対策やコスト削減、多様なワークスタイルへの対応などのメリットがあり、これらを活かすことができれば合理的な仕組みとなります。しかし、一方で注意点もあるため、自社の業務にどれくらいマッチするかという見極めが必要です。費用対効果などのバランスを考えて、導入を検討してください。

※Windowsは、米国Microsoft Corporation.の米国およびその他の国における登録商標です。
※本記事は、2019年2月5日に公開しました「VDIとは? メリットとともに解説」の内容を更新し、公開しています。

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