AI(人工知能)には何ができる? AIの種類を紹介

AI(人工知能)には何ができる? AIの種類を紹介

AI(人工知能)は今、新しい製品やサービスとして、少しずつ私たちの社会や生活に入り込んできています。AIとは何なのか、AIの種類にはどのようなものがあるのかなど、AIの現在について解説します。

AIとはどのような技術なのか

AI(Artificial Intelligence)は、人間の脳が行っている認識、思考、学習といった能力・活動を、コンピュータなどを使って模倣し再現するシステムです。

ただし、AIにはまだ明確な定義はなく、完全に人間と同等の知的活動を行う人工システムが生まれているわけでもありません。にもかかわらず現在、AIが大きな注目を集めているのは、「ディープラーニング」や「機械学習」といったAIに関連した新技術が登場したことで、商用化への道が切り拓かれたためです。

2011年頃から始まった最近の動きは「第3次AIブーム」と呼ばれています。それより以前、第1次ブームは1950年代から1960年代にかけて、第2次ブームは1980年代に起きましたが、いずれも大きな成果を生み出すには至りませんでした。

IBMのワトソン(Watson)という「質問応答システム」が米国の人気クイズ番組に出演し、人間と対戦して勝利したのは2011年2月のことでした。ワトソンはAIとは似て非なるものとされていますが、音声認識、画像認識などの機能を備え、ネット上にあるテキストを自分で参照して答えを探し出すことができます。

同時期に話題になり始めたのが「ディープラーニング」です。これは音声認識、画像特定、予測といった人間が行うようなタスクを実行できるようにコンピュータに学習させるための手法の一つです。2012年にトロント大学のヒントン教授らがディープラーニングを用いたシステムによって世界的な人工知能の画像認識コンテストで圧勝。その後、2015年、2016年にはディープラーニングを活用したグーグルの「AlphaGo」が囲碁のトップ棋士に勝利してセンセーションを起こしました。

ディープラーニングは人間の学習能力をコンピュータで再現する「機械学習」の一手法です。機械学習には入力値となるさまざまなデータが必要です。そのデータをAIプログラム内の機械学習アルゴリズムによって処理し、自ら学習しながら分類や認識(識別)、予測(回帰)といった出力値を導き出します。一方、ディープラーニングは、人間の脳神経系のニューロンを数理モデル化した「ニューラルネットワーク」と呼ばれる仕組みとその関連技術を発展させたものです。また、ディープラーニングはビッグデータの分析技術としてとくに優れた力を発揮すると言われています。

「特化型と汎用型」「強い・弱い」などのAIの種類

AIは使用目的や機能によっていくつかの種類に分けることができます。

特化型と汎用型

個別の領域に特化して能力を発揮するAIを「特化型AI(AGI)」、異なる領域で多様な問題を解決するAIを「汎用型AI(GAI)」と呼びます。

自動運転システム、画像認識、将棋・チェス・囲碁、音声や文章の言葉を認識するAIなど、現在、存在している一般的なAIはどれも特化型です。一方、汎用型AIは人間のように1つのシステムで自律的にさまざまな知的作業をこなすことができるとされていますが、そのようなAIが登場するまでにはまだ多くの課題が残されています。

強いAIと弱いAI

カリフォルニア大学の教授で哲学者のジョン・サールによれば、「強いAI(Strong AI)」とは「人間と同様の精神能力を有し、人間と同じような動作をする」AIです。人間と同様の頭脳、精神、意識を持つ、いわばドラえもんのような存在です。

この強いAI以外は「弱いAI(Weak AI)」です。現存しているAIはすべて、哲学的見地に立てば弱いAIであると言えます。弱いAIは自意識を持たず、あくまで人間の持つ力を模倣するものに過ぎません。しかし、人間よりも正確に、迅速に、辛抱強く作業をする能力などには長けています。

AIにできること

現在、開発中、あるいはすでに実現し実用化されている「AIにできること」の種類を挙げてみましょう。

1.文章理解のAI

書かれた文章を理解して、翻訳、要約などを行ったり、与えられたデータを用いて記事を作成したりします。決算情報やスポーツの試合結果などがテーマの記事は、すでにいくつかのメディアでAIが利用されています。こうしたAIによる文章理解は「自然言語処理」と呼ばれる分野の研究によって進められています。

2.音声理解のAI

GoogleアシスタントやSiri、チャットボットを使うと、バーチャルアシスタントなどと音声で会話ができます。こうした音声理解(音声認識)も自然言語処理に関連する技術の一つです。すでに、スマートスピーカーによる音声での会話、家電制御などが実用化されています。また近い将来、音声に含まれる感情の認識も可能になると言われています。

3.画像認識のAI

AIによる画像認識の中でも実用化が進んでいるのが顔認証システムです。ディープラーニングを用いた顔認証は、斜めを向いた顔やサングラスを着用した顔でも認証が可能で、監視カメラなどでの活用が期待されています。

4.推論のAI

推論とは、過去の知識をもとに、新たなデータに対する解答を見つけることです。AIはトレーニングによって学習することで、この推論を行うようになります。現在、AIはオセロ、チェス、将棋、囲碁といったルールが決まっているゲーム上であれば、人間の能力を凌駕する推論の能力を見せるようになっています。

5.機械制御のAI

自動車、産業用ロボット、センサー、サーボモーター、建設機械などの制御にもAIを本格活用すべく多くの企業が取り組んでいます。AIによる機械制御は、これまでのコンピュータなどによる自動化とは異なり、AIがデータの持つ意味を知識として「理解」し、「学習」しながら最適な制御を行う点にあります。

AIの種類にも色々あり、その技術はすでにさまざまな分野で活用され始めています。そしてごく近い将来、AIはさらにさまざまなことができるように進化していくでしょう。これからの数年、AI技術の動向からは目が離せそうにありません。