音声合成の導入で情報リテラシー教育用教材を充実
〜ガイダンスの「標準化」「自動化」を実現〜
学習院女子大学 図書館 様
学習院女子大学図書館は、学習院女子大学の附置教育研究機関として学術研究活動を支援し、知的営為に貢献する役割を担われています。1982年に新築された現在の図書館は、自然光あふれる美しい建物で利用者に親しまれ、1985年の第1回日本図書館協会建築賞の優秀賞を受賞されました。
学習院女子大学図書館の歴史は、学習院女子大学の前身である学習院女子短期大学の開学とともに始まりますが、学習院の女子教育の起源は1877年の学習院創立にまで遡ることができます。
伝統と歴史を引き継ぎながら時代とともに進化し続ける学習院女子大学を、学術研究面で支える図書館は、質の高い利用者サービスを提供する傍ら、新しい教育メソッドの開発と検証にも余念がありません。
規模の小ささを活かし、固定観念にとらわれない闊達な発想で、学生への「知の普及」に意欲的に取り組まれている学習院女子大学図書館、その挑戦は今後も続くことでしょう。
学習院女子大学図書館では、学生向けeラーニング教材の音声として、当社の『ボイスソムリエ』を採用していただきました。
今回は本製品導入前の課題と導入による効果について、お話を伺いました。
本学では、情報リテラシー教育(情報を利活用する能力を培うための教育)の一環として、情報機器の操作を習得する正課の授業がありますが、図書館でも独自の内容でガイダンスを実施しています。
名称(呼称) | 図書館ガイダンス | OPACガイダンス (情報処理授業の一環) |
情報検索ガイダンス |
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目的 | 図書館利用の習熟 | 資料検索システム OPACの理解 OPAC検索の習熟 |
DB・電子ジャーナル検索の習熟 |
対象 | 1年生 | 1年生 | 1〜4年生 |
参加人数 | 約450名 | 全10クラス 計 約400名 |
1回あたり約30名 |
準備・実施期間 | 2月〜4月 | 5月下旬〜6月上旬 | 通年 |
図書館で実施している情報リテラシー教育には、次の3種類があります。
いままでは、この3種類の情報リテラシー教育のガイダンス作りを全て、「人」が行なっていました。
図書館の情報リテラシー教育の担当者が、多岐にわたる事柄から話す内容を決め、それにもとづいてコンテンツや資料を作成し、実際に会場に出向いてライブで授業をしていたわけです。
情報リテラシー教育の担当者は、現在2名ですが、2008年当時は1名しかいない状態であり「これでは新しい展開や業務変革は望めない」ということで、教育内容の質をおとさず、かつ、実施回数を増やせるような効果的な方法がないかと考え、人工音声の活用を思いつきました。
PowerPointで作成した資料に合成音声をナレーションとして組み込み、スライドショーで自動再生ができるオンラインチュートリアルにすれば、「人」対応であるがゆえの諸々の課題も解決できると考えたのです。
担当者が1名の状態では、交替要員がいないため、授業の日は体調が悪かろうが這ってでも出て行かなければなりませんでした。
また、カウンターの担当も兼務しているため、授業でカウンターを不在にする間は、他のスタッフに代行してもらうわけですが、カウンター業務に精通していないだけに利用者からの質問に上手く答えられず、利用者サービスの質の低下を招いてしまうという問題も抱えていました。
従来のように「人」の力に頼った授業方法では、担当者が人事異動や配置替えで入れ替わってしまうと、指導技術を一定に保つことが難しくなります。 そのため、人事異動や配置替えのたびに、前任者の知識や経験をどう継承するかが大きな課題でした。
大学では、ガイダンスシーズンの時期には、アルバイトや派遣・委託職員を雇い入れたりするところもあると聞いています。
要員の数を確保するだけでなく、ひとりひとりに高い指導技術を発揮してもらえるような環境が整備されているところであればよいのですが、数を確保できなくても質を極めるにはどうすればよいか、逆転の発想で勝負できないものか、常に考えていました。
担当者も人間ですから、緊張して上手く喋れなかったり、喋ろうと思っていたことが抜けてしまったり、時間配分を誤ったりということが起こりえます。 また、担当者が複数人いる場合は、担当者の知識や言葉遣いで説明が違ってくることも考えられます。
担当者が同じであっても、毎回、同じ内容を、同じ言葉遣いで、同じニュアンスで話せるわけではありません。 でも、聞き手である学生にとってみれば、同じ内容の講義を受けたいわけです。
学生にとって学習機会の公平性や内容の均質性が損なわれないようにすることも、目的のうちにありました。
eラーニングを推進することで、「来館型のサービス=場としての図書館」という従来の内向きな役割に終始するのではなく、震災などの影響により、図書館という場が機能しない場合でも、「オンサイトで安定的提供可能な利用者サービスの充実」に向けて積極的に取り組んでいきたいと思います。