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薬剤師を対象とした教育支援プログラムのeラーニングに積極的に活用

徳島大学薬学部様 導入事例

お客さま情報

所在地:徳島市庄町1丁目78番地の1
創立:大正11年10月1日
URL:https://www.tokushima-u.ac.jp/ph/

徳島大学薬学部は、日本薬学界の祖でエフェドリンの発見者として世界的に著名な長井長義 博士の進言により、大正11年博士の郷里徳島の、徳島高等工業学校応用化学科に新規な薬の創製(創薬)を目的として設立された製薬化学部を発祥とし、昭和26年に徳島大学工学部より分離独立したものです。
現在は薬学科と創製薬科学科の2学科からなり、わが国唯一の工学系に端を発する国立大学薬学部として歴史と伝統のもとに創薬を目的とした特徴ある教育と研究を行っています。
「創製薬科学科」では創設理念である「新薬の創製を目指す」伝統により培われた「創薬学」を標榜する教育・研究を基盤とし、医薬品をとおし国民の健康を守り、健康を確保するという重大な任務を負う人材を養成することを基本として、世界の生命科学、創薬科学に貢献する人材を養成しています。
また、「薬学科」では医療人として国民の命を守り、健康を確保するという重大な任務を負う人材を養成することを基本とし、社会から望まれる薬剤師を養成しています。

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お客様インタビュー

頻繁に更新するeラーニングでは音声合成のメリットが格段に大きい

薬剤師を取り巻く環境は医薬分業の進展、薬剤師教育6年制のスタートなど大きな変化の時を迎えています。
徳島大学薬学部では、医療の現場を離れた元薬剤師の再就職支援、および既に働いている薬剤師のスキルアップ(学び直し)を図るため 『社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム』 をeラーニングで提供されています。
このeラーニングのナレーション作成に日立ソリューションズ・クリエイトの音声合成システム「ボイスソムリエ」をご採用いただきました。
この『社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム』について、そしてeラーニングと音声合成について、徳島大学 薬学部 土屋浩一郎教授にお話をうかがいました。

徳島大学 薬学部 土屋浩一郎 教授
徳島大学 薬学部
土屋浩一郎 教授

導入システムの内容

このたびは『社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム』に弊社のボイスソムリエをご活用いただき、ありがとうございました。
まず、この「教育推進プログラム」とはどのようなものなのでしょうか。

安倍内閣時に制定された、『再チャレンジ支援総合プラン(行動計画)』「III 複線型社会の実現」にある「2.学び直し」について
・就職後の学び直しの機会が少ない
・学び直しの学習歴の正当な評価が困難
・学校卒業後の離職者の増大
・再就職が困難
という問題点を克服する方法として、大学における教育研究資源を活用した、社会人の再就職やキャリアアップ等に資する実践的教育への取組を推進するための施策とした「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」を、文部科学省では平成19年度から委託事業として開始しました。

そのプログラムの中で沢山の試みがなされていますが、その一つとしてeラーニングを積極的に活用すると掲げられています。その内容はどのようなものなのでしょうか?

本学部では当該事業に対して、『既卒薬剤師のキャリアアップを目指した教育支援プログラムの構築』という事業名で以下の内容で応募し、採択されました。
そして当初からeラーニングの活用を念頭に置いていました。

「既卒薬剤師のキャリアアップを目指した教育支援プログラムの構築」 応募要項より引用

薬剤師教育6年制が始まり、平成24年度からは臨床教育を受けた薬剤師が登場する。
これに対し、従来の4年制薬学教育を履修した薬剤師、特に地方で就労している、もしくは就労を希望している薬剤師の多くは最新の医療情報に接する機会が限られており、今後薬剤師業務において地域格差・情報格差の一層の助長が懸念されている。
そこで本事業では、これら薬剤師を対象に

  1. 薬理学
  2. 医療薬学
  3. 処方解析学
  4. 医学用語

を中心とした学習プログラムを提供し、体系立った薬剤師能力のスキルアップ(学び直し)を図る機会を提供するものである。
本プログラムは代表的な120の疾患について、eラーニングによって学習を行う。
受講者はインターネット上のバーチャル患者の問診・臨床データへのアクセスを通じ、課題となる疾患に対する適切な薬物治療法について学習する。
それと同時に、対象疾患に対応した疫学および病態生理学についても学習を深める。
(以下略)


『eラーニングを念頭においていらっしゃった。』となると、当初からナレーション録音ではなく、音声合成を導入することを決めておられたのでしょうか?

本学部では事業の応募に先立ち、諸外国での(医療系学部の)eラーニングをいくつか視察する機会を得、その現状を検討してきました。 その結果、海外の多くの大学では専門のナレーターやイラストレーターを雇うか専門の部署を作り、Flash、埋め込み動画を駆使したWebラーニングシステムを構築しており、それらを有料で公開して大学の収入源としていました。しかしある大学に伺ったところ、初期投資が4000万を下らないということで、そのシステムをそのまま日本の地方の国立大学に当てはめることは困難でした。なるべく初期費用を少なくしたかった訳です。
また、別の問題もありました。それは、更新の問題です。
医療の分野の進歩はエレクトロニクスの分野と同様に非常に早く、ほぼ毎年診療ガイドラインの改定、医薬品の追加・削除、医薬品の適用症の追加、新しい治療法の追加等、2年経過すると情報の約半分は見直す必要に迫られます。
従って一度web上に載せたとしても、頻繁に内容を確認し、変更部位を入れ替えることが必要となります。
この点を考慮したときに、医療関係のeラーニングではヒトのナレーションよりは音声合成の方が、メリットが格段に多いことに気がつきます。
具体的には、次のようなことが考えられます。

  1. 150枚のスライドからなる講義内容でも、スライドセット(スライド1枚+1音声+1文書)を150部、という構成にしておくと、変更するスライドセットを入れ替えるだけで更新が終了する。
  2. ヒトのナレーションだと、時期をおいて録音すると、体調等によって同一の声を作ることが難しいが、音声合成だと声の調子が不変であること。
  3. ヒトのナレーションだと、真夜中や休日は仕事をしてくれませんが、音声合成だと勿論24時間いつでも作業可能であること。
  4. 150枚のスライド中、1枚を変更する場合にも全部読み直す必要が出て来ることも。また1枚スライドセットを作成するにしても費用が発生してしまう可能性もあること。
  5. ヒトのナレーションだと、医療関係のナレーターは少なく、特に地方ではいません。しかし音声合成では辞書登録すれば舌を噛みそうな専門用語も話せ、ナレーション時に各言葉の意味を説明する必要もないところ。
  6. ヒトのナレーションでは声の好みが分かれてしまう可能性が、音声合成だとその点は無難と思われるところ。(将来的に、読み上げ音声の種類を選べるようにしたいのですが)。
  7. ヒトのナレーションだと静かな録音環境が必要であるが、音声合成は場所の確保の必要性がないところ。
  8. ヒトのナレーションだと、原稿を作成した当事者が音声をチェックする必要があるが、音声合成ではその手間が大幅に省ける。
また、音声合成の技術が格段に進歩していることも見逃せません。


数ある音声合成システムのなかで、弊社のボイスソムリエに着目していただいたのは、どのような理由だったのでしょうか?

貴社の音声合成システムを導入する前にいくつか他社製の音声合成の導入を検討していたのですが、価格の点で導入を見送りました。
そのあと、色々な方法で音声合成を開発している企業を探し、音声の質も検討して御社に辿り着いたわけです。

最後に、この教育支援プログラムの中で、今後ボイスソムリエを使いどのような展開をお考えでしょうか?

いま、この学び直し第2弾として、ドラマ仕立ての音声シナリオを検討しております。
現在、医療の分野では、シミュレーションによる教育が盛んになりつつあります。
例えば、注射のシミュレーター、心電図のシミュレーター等、様々な医療教育機器が販売されています。
しかし<医療行為者側>と<患者>がやり取りをする会話を聞いて、それに対しどのような<介入>が適切なのかを学ぶタイプのコミュニケーションシュミレーターは製品がほとんどなく、成長途上の分野と思われます。
そこで<医療行為者側>用の音声と<医療サービス享受者側(患者)>用の音声を利用して、ドラマ仕立てのコミュニケーションシュミレーター音声を作ることができれば、音声合成はシナリオに応じてバリエーションが無限に作り出せるのが魅力ですので面白いなと考えています。
作成に対し今後も御協力いただけるとありがたいです。

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  1. 本事例中に記載の内容は掲載当時のものであり、変更されている可能性があります。
  2. 本文は特定のお客さまでの事例であり、全てのお客さまについて同様の効果が得られるわけではありません。