基幹システム
基幹系システムとは? 情報系システムとの違いや分けて考えるべき理由など
基幹系システムと情報系システムの違いについて、しっかりと説明できるでしょうか? 一見、似たように思え、同じように企業内で使用するシステムですが、両者は異なる特徴と役割を持っています。基幹系システムと情報系システムについて、その違いを中心に解説していきます。
- 基幹系システムとは?
- 情報系システムの特徴
- 基幹系システムと情報系システムの違い
- 基幹系システムと情報系システムを分けて考えるべき理由
- 主な基幹系システムの種類
- 情報系システムの種類
- 基幹系システム導入のポイント
基幹系システムとは?
基幹系システムは、その会社の業務内容と直接関わるシステムです。生産、販売、在庫管理システム、人事給与システム、財務会計システムなどが該当し、大まかに、企業の基本的要素である「ヒト、モノ、カネを管理するシステム」とも表現できます。その目的はそれぞれの業務の効率化や標準化、見える化を実現して企業経営を支えることにあります。
また、止まってしまうと企業として業務を進めることが難しくなるシステムであることも特徴です。基幹系がストップすると、受注、料金計算、配送などの業務も停止してしまう可能性があります。簡単には代用が効かず、そのため運用するうえで堅固なセキュリティ環境が求められるシステムでもあります。
情報系システムの特徴
では、基幹系システムと混同されやすい情報系システムとはどのようなシステムなのでしょうか。一般的に情報系システムとは社内外のコミュニケーション、事務処理の効率化、あるいは意思決定支援などに利用されるシステムを指します。また情報系システムは「業務系システム」「部門別システム」と呼ばれることもあります。
基幹系システムと情報系システムの違い
基幹系システムと情報系システムの違いは、そのシステムが止まったとしても業務を進められるかどうかにあります。情報系システムの場合は、概ね代わりのツールを使うことが可能で、業務が進められないということは避けられるものが多いといえます。
紛らわしいのですが、情報系システムとは別に「情報システム」という用語もあります。情報システムとはコンピューターや情報ネットワークを使って情報の伝達や処理を行うシステムの総称です。つまり、基幹系システムも情報系システムも、情報システムという大きな枠組みに含まれるシステムです。
基幹系システムも情報系システムも企業にとって重要なシステムですが、業務継続性に直結する点では基幹系システムのほうが重要度は高いといえるでしょう。
基幹系システムと情報系システムを分けて考えるべき理由
基幹系システムは業務の根幹を担うシステムであり、より効率性を高めるために導入するものが情報系システムです。両者の違いから、それぞれのシステムは分けて考えることが望ましいとされています。
その理由としては、優先度の違いからくる可用性レベルの差や、セキュリティレベルの差が挙げられるでしょう。基幹系システムは原則として止まることが許されないシステムです。そのため、常時稼働できるように監視・運用することが求められ、セキュリティ事故も発生しないように高度なセキュリティ対策が必要です。
もちろん、情報系システムの可用性・セキュリティは高く保つことが望ましいといえますが、基幹系システムよりもその優先度は落ちます。
また、仮にどちらのシステムも一元的に管理してしまうと、システムの改修やアップデート、セキュリティ事故が発生した場合の影響範囲が広がります。両システムを分けて考えることは、リスクを分散することにもつながるため重要です。
主な基幹系システムの種類
基幹系システムは特定のシステムのみを指す言葉というわけではなく、企業によって何を基幹系とするかが変わってきます。一般的には次のようなシステムが基幹系システム(の一部)として利用されています。
1.生産、販売、在庫管理システム
製造業や流通業では生産管理システム、販売管理システム、在庫管理システムなどが基幹系システムに含まれます。
例えば生産管理システムには在庫・倉庫管理、購買・仕入先管理、不良率管理、需要予測などの機能が備わっています。ただしこれも業務内容によって個別に機能や範囲が異なるので、各企業が自社にとって最適なシステムを構築して導入しています。
2.人事給与システム
人材は言うまでもなく企業にとって重要な経営資源であり、人事給与システムも企業を支えるシステムの一つです。従業員の採用から退職までの情報管理、就業管理、給与管理、タレントマネジメントなどを担います。
3.財務会計システム
財務会計システムも業種を問わず重要なシステムだといえます。会計処理の管理と記録、財務諸表の作成などを担います。
人事給与システムも財務会計システムも、基本部分には汎用性がありますが、一方で企業ごとにオリジナルの業務が存在し、他社と差別化した機能が求められることがよくあります。このように基幹系システムはオリジナルのシステムが開発されたり、カスタマイズして使用されたりすることが多いのも特徴です。
情報系システムの種類
情報系システムの具体例も見てみましょう。一般的に次のようなシステムが情報系に分類されます。
1.メールソフト(メールシステム)
おなじみの電子メールのことです。最近はクラウド上のメールサーバーを利用するクラウドメール(Webメール)サービスが普及し、よく使われています。
2.グループウェア
メールに加え、スケジュール、広報(掲示板)、ファイル共有などの機能を統合したツールです。ネットワークを活用した、情報共有のためのツール群とも言えます。こちらも現在はクラウドサービスとして提供されているものが主流です。
3.スケジュール管理ツール
個人個人のスケジュールやタスク管理だけでなく、社内や組織、チーム内のスケジュールを共有して一元管理できるようなソフトウェアです。グループウェアとはいくつかの機能が重なりますが、本ソフトウェアはスケジュール管理に特化しているのでスケジュールの変更なども簡単にできるなど、細かい機能が充実しています。
4.社内SNS
社外との接触をブロックし、社内の人間のみで利用できるSNSです。メールなどと違って複数の人間が同時に情報発信、情報交換、情報共有できるのが特徴です。端的な情報が行き交うことで、利便性の高さに加え、やりとりの中から新しいアイデアが生まれるなどの効果も期待できます。
基幹系システム導入のポイント
基幹系システムを導入する際には、次の3つのポイントに気をつけましょう。
- 基幹系/情報系システムを分離する
- 目的を明確にする
- 計画的に進める
前述のとおり、基幹系システムと情報系システムはリスクを分散するために分けて導入・運用しましょう。それぞれの役割を分けて運用するためにも、事前に基幹系システムを導入する目的を明確にし、計画的に進める必要があります。
基幹系システムの導入は多くの業務に影響が及ぶため、業務自体の見直しやシステムの見直しを並行して行わなければ、情報管理が煩雑化してかえって業務効率が低下する可能性があります。このような課題を解決するために、基幹系システムをパッケージ化した「ERP」というソリューションもありますので、選択肢の一つとして検討するとよいでしょう。
基幹系システムと情報系システムの違いがおわかりいただけましたでしょうか。適切にそれぞれのシステムを使い分け、業務を効率的に進めるためにも、その違いや特徴をしっかりと理解しておく必要があると言えるでしょう。
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