ページの本文へ

Hitachi
お問い合わせ

基幹システム

BIツールとDWHの違いを分かりやすく解説

企業に散在する膨大なデータを整理して蓄積し、分析して経営の意思決定に役立てるために有効とされるのがBIツールとDWHです。この二つにはどのような違いがあり、それぞれどのような役割を担っているのでしょうか。企業が持つ重要な資源である情報を可視化し、一元管理し、迅速に分析するための重要なツールについて解説します。

  1. BIツールとは
  2. DWHとは
  3. BIとDWHの違い
  4. 併せて理解したい! BIとDWHの活用に重要なETLとは

BIツールとは

BIツールとは企業の日々の業務の中で蓄積されていく膨大なデータを収集して分析し、経営上の意思決定に役立てるためのツールです。

BIは「ビジネスインテリジェンス(Business Intelligence)」の略であり、企業の各部署がバラバラに持っているデータを収集・蓄積・加工・分析・報告することで経営戦略のための意思決定に役立てることを意味する言葉です。企業が持つデータとは、生産管理システム、販売管理システム、在庫管理システム、人事システム、会計システム、顧客管理システムなどの、主に各種基幹系システムで利用され、保管されているデータを指します。

BIというワード自体は1958年にIBM研究所の研究員によって初めて使用され、その後、1960年代には意思決定支援システム(DSS)の一部と捉えられるようになりました。さらに1980年代から1990年代にかけてコンピューターを用いたビジネスにおける意思決定の手法として広まり、現代の基幹系システムをはじめとするさまざまなシステムのデータを利用するものへと発展してきました。

現在、そのBIを実現するためのツールとして使われているのがBIツールです。BIツールを用いれば、とくに難解な分析作業を行わなくても、売上データ・在庫データ・顧客データ・営業データなどの情報を分析でき、経営管理や迅速な意思決定、売上予測のシミュレーションなどに活用できるとされます。

DWHとは

DWHは「データウェアハウス(Data Warehouse)」の略で、ウェアハウスは倉庫という意味です。データウェアハウスとは企業のさまざまな業務の中で発生した大量の情報を時系列とサブジェクト(内容)別に整理して保管する管理システム、データベースのことを指します。

基幹系システムでは通常、過去のデータは長期間蓄積されることはなく、半年〜1年程度のスパンで更新されていきます。しかしDWHでは過去の蓄積されたデータと現在のデータを比較して分析することを目的として、データの削除や更新を行うことなく保持し続けます。したがって、そのデータ量は非常に巨大なものとなり、それを処理できるよう作られたDWH 専用機など特別なコンピューターを用いるのが一般的です。

DWHを有効活用すれば、たとえばコンビニエンスストアの売上データから、特定の天候・気温の特定の時間帯に決まった商品の売上がアップするといった分析結果が得られるようになるとされます。

BIとDWHの違い

DWHとBIは社内のさまざまなデータを活用するという点では共通していますが、それぞれ活用する範囲と機能が異なります。

DWHの役割は、社内の複数のシステムからデータをエクスポートして、一元管理できるように最適な形式で集約・集積することにあります。BIツールの役割は、DWHに蓄積されたデータを取り出して分析し、グラフなどに加工して可視化することにあります。

そのため、DWHはBIツールの一部とみなすこともできます。言い方を変えれば、BIを実現するために、企業内に散在するデータを巨大な倉庫に整理して入れておくのがDWHであり、そのデータを活用するための道具がBIツールです。BIツールは一種類だけではなく、データ集計、データ分析、データマイニング、データ加工など用途別にさまざまなツールがあります。

併せて理解したい! BIとDWHの活用に重要なETLとは

DWHを利用してBIを実現するには、もう一つ用意したいツールがあります。それがETLツールです。

ETLは「Extract(抽出)、Transform(変換)、Load(書き出し)」を略したものです。つまり、ETLはDWHに蓄積するためのデータを複数のシステムから抽出し、変換し、書き出すための役割を担います。ETLを用いれば、企業内の各システムから効率的にデータを収集し、DWHに蓄積していくことができます。

まとめると、ETLが各システムから抽出・変換・書き出しを行ったデータを、DWHに時系列ごとに整理して保管し、それらのデータをBIツールによって分析します。最近ではこれらの機能を統合した製品もありますが、いずれにしろ三つの機能が連携することで、企業内のデータを管理し、自在に取り出し、分析して有効活用することが可能になります。

BIツールとDWHは活用する範囲と役割が異なります。また、BIを実現するためにはETLも欠かせません。近年ではビッグデータの活用がビジネスチャンスを広げると言われ、BIはその一環としても注目されています。また、中小企業にとってもBIツールやDWHは身近で有用なものとなってきています。企業内に潜在する資源であり、財産ともいえるデータを有効活用する方法として、BIツールやDWHの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

あわせて読みたい

関連記事はこちら

BOM(部品表)とは? 役割やシステム化のメリットなど

昨今、業界や業種を問わず業務の効率化などを目的としてIT化が進められています。製造業におけるIT化を実現する上では、BOM(ボム。部品表)の作成やBOM管理シス...

詳細はこちら

インボイス制度とは? わかりやすく解説

2023年10月から開始された「インボイス制度」は、事業規模にかかわらず多くの事業者に関係のある制度です。インボイス制度の対応有無により、今後の事業活動に多大な...

詳細はこちら

レガシーマイグレーションとは? 手法や企業における必要性について解説

業務でITシステムを利用するようになって久しい昨今ですが、なかには昔から存在する古いシステムを利用している場合もあるでしょう。「遺産」ともいえる古いシステムは、...

詳細はこちら

マイグレーションとは? 種類や実施する際の注意点について解説

マイグレーションは健全なシステムを稼働させ続けるために欠かせないものですが、具体的な内容についてはよく分からない、という方も多いのではないでしょうか。また、マイ...

詳細はこちら

SoEとは? SoR・SoIとの違いやDXとの関係について解説

SoEとは、システムの種類を指すIT用語です。似ている用語にSoRやSoIがあり、それぞれのシステムは役割が異なります。ビジネスで活用されているシステムを役割に...

詳細はこちら

リファクタリングとは? 目的やメリット・デメリットなど

リファクタリングとは、ソフトウェア開発で行う作業の一つです。リファクタリングを行うと、開発を効率化したり、バグが発生するリスクを抑えたりできます。この記事では、...

詳細はこちら

モダナイゼーションとは? レガシーシステムからの脱却

レガシーシステムとも呼ばれる古いコンピューターシステムを現代的なシステムへと刷新するのが「モダナイゼーション」です。企業にとってモダナイゼーションはなぜ必要なの...

詳細はこちら

レガシーシステムとは? 問題点や解決策をわかりやすく解説

日本では多くの企業が古くからのシステムを継続的に利用しています。「遺産」とも呼ばれる「レガシーシステム」は、多くの問題をもたらすため早急に新しいシステムへの移行...

詳細はこちら

データドリブン経営とは? 実現する方法や注意点を解説

データドリブン経営とは、さまざまなデータをもとにした意思決定によって成果を上げる経営手法です。ただし、データドリブン経営にはメリットだけでなくデメリットもあるた...

詳細はこちら

基幹系システムとは? 情報系システムとの違いや分けて考えるべき理由など

基幹系システムと情報系システムの違いについて、しっかりと説明できるでしょうか? 一見、似たように思え、同じように企業内で使用するシステムですが、両者は異なる特徴...

詳細はこちら

2022年「電子帳簿保存法」改正のポイント

電子帳簿保存法が改正され、2022年1月より施行されました。今回の改正は電子化、ペーパーレス化のさらなる促進、それに伴う業務負担の軽減などを目的としたものです。...

詳細はこちら

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは? 概要や企業の課題について解説

デジタルテクノロジーは日々進化しており、新しいサービスやビジネスモデル、商品が次々と登場しています。これによって、私たちの生活も昔とは比べものにならないほど大き...

詳細はこちら

ERPとは? できることや導入形態を徹底解説

販売管理システムや会計管理システムなど、企業内の各部署で異なるシステムを利用している場合と違い、ERPを活用すればそれら複数システムを統合し、データを一元管理す...

詳細はこちら

企業がBIツールを導入するメリット・デメリット

BIツールは、業務を通じて日々社内に蓄積されていくさまざまなデータを有効活用するために役立つツールとして知られています。なぜBIツールが多くの企業に導入されて使...

詳細はこちら

経済産業省の「2025年の崖」について分かりやすく解説

「2025年の崖」とは経済産業省のレポートに登場した言葉であり、企業に対してデジタルトランスフォーメーションの必要性を訴えるものとなっています。ここでは「202...

詳細はこちら

タイミングや注意点は? 基幹システムの更改

その名の通り、企業にとって中心であり、主要となるシステムである基幹システムは、当然更改に伴うリスクも大きいものです。しかし、レガシーシステムとも呼ばれるような古...

詳細はこちら

失敗しないための基幹システム導入の進め方

基幹システムの導入は企業に多大なメリットをもたらします。しかし、基幹システムの導入そのものに失敗し、システムの機能がまったく有効活用されないという事態に陥ること...

詳細はこちら

ISDNが廃止に! 2024年問題について解説

INSネット「ディジタル通信モード」が廃止になる「2024年問題」をご存知でしょうか。もしも現在、ディジタル通信モードを利用している場合は、早急に対応についての...

詳細はこちら

日本企業が使い始めたのはいつから? ERPの歴史

「ERP」が日本で使われるようになったのは1992年からです。それ以前に、ERPは欧米で普及していました。ERPが欧米で、次いで日本で広まるに至った経緯など、E...

詳細はこちら

移行すべきか? クラウドERPのメリット・デメリット

「クラウドERP」とは、従来、オンプレミスで提供されていたERP(統合基幹業務システム)パッケージの機能をクラウド環境で使えるようになるサービスです。現在、オン...

詳細はこちら

スクラッチか、パッケージか? 基幹システム導入のポイント

新しく基幹システムを導入するときに直面するのが、スクラッチとパッケージのどちらを選ぶべきかという問題です。スクラッチとは、そしてパッケージとはどのようなもので、...

詳細はこちら

基幹システムとERPの違いとは? ERP導入のメリットって何?

ERPというシステムを導入し、経営に活用するという方法は、大企業だけでなく中小企業でも行われています。従来の基幹システムとも似ていると言われるERPとは一体どの...

詳細はこちら