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基幹システム

移行すべきか? クラウドERPのメリット・デメリット

「クラウドERP」とは、従来、オンプレミスで提供されていたERP(統合基幹業務システム)パッケージの機能をクラウド環境で使えるようになるサービスです。現在、オンプレミスのERPを使用していて、システムを一新することなどを検討している場合、クラウドERPに移行するべきなのか否か、クラウドERPのメリットとデメリットを知ることで探ってみましょう。

  1. クラウドERPの2つの種類
  2. クラウドERPを導入するメリット
  3. クラウドERPのデメリット
  4. クラウドERPに移行した方がよいのか?

クラウドERPの2つの種類

現在、日本で使われているクラウドERPにはパブリッククラウド型とプライベートクラウド型の主に2種類があります。

パブリッククラウド型は、クラウドインフラのベンダーがサーバー上に構築したERP環境を、複数の企業がシェアして利用する方法です。ユーザーはIDとパスワードを入力するなどしてログインしてERPを使用します。ベンダーがソフトウェアを稼働し、アップデートなども管理する、いわゆる「SaaS(Software as a Service)」型のサービスです。

これに対し、プライベートクラウド型は、ベースとなるインフラ部分は複数の企業でシェアするものの、ERPのアプリケーションとミドルウェアは各企業に専用のものが割り当てられます。クラウド上に自社専用のソフトウェアとスペースを所有しているイメージです。

クラウドERPを導入するメリット

そもそもクラウドERPを導入することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

まず挙げられるのは導入コストの安さです。従来のオンプレミスではサーバーをはじめとするハードウェアを用意し、さらにパッケージライセンスも購入しなければなりません。導入費用は数百万円から数千万円に達することもあります。

しかしクラウドERPであれば導入費用を数十万円程度で抑えることができます。中には初期導入費用はほとんどかからず、使用した分だけを月ごとに支払う課金制のサービスもあり、多くの選択肢が用意されています。

導入までの期間を短縮できるのもメリットです。オンプレミスではサーバーの設置、ソフトウェアのインストールといったインフラの構築に各種設定までを含めると、稼働までに1年以上かかることもありました。これに対してクラウドERPは、インターネット環境さえあればベンダーに申し込むだけですぐに使い始めることが可能です。

また、クラウドERPは一つのオフィスにこだわらなくても、PCがあればどこからでもデータにアクセスできるという利点もあります。本社と支社とのデータ共有も簡単で、情報を一元管理できます。最近はスマートフォンなどのモバイル端末に対応するサービスも増えています。

セキュリティに関してはほとんどのベンダーが強固な対策を講じています。インターネットを介して利用するサービスなので自社での対策も重要ですが、オンプレミスのようにセキュリティ対策にも多大なコストや手間がかかるということはありません。

バックアップも同様です。パブリッククラウド型ではソフトウェアのアップデートなどもベンダーに一任でき、常に最新の状態を保持できます。総じて、システム運用に関する業務はベンダーに任せられ、自社の運用に関する負担が軽減されます。

クラウドERPのデメリット

一方、クラウドERPのデメリットも挙げてみましょう。

まず、当然ながらクラウドERPはインターネット環境がないと利用できません。障害が起きてインターネットが使えないときは業務がストップしてしまいます。災害時などの事業継続を考える場合は、通信が不可となった場合を想定して予備のシステムを用意するなど、何らかの対策が求められます。

障害や不具合が発生したときの復旧の早さやセキュリティ対策のレベルが、ベンダーに依存する形になることもデメリットといえます。仮に最初のベンダーの選択を誤ってしまうと、後々大きな損害を被ることにもなりかねません。

また、自社の要件にマッチしたサービスや機能を選ぶ難しさもあります。カスタマイズ性の高さをセールスポイントにしているクラウドERRも増えていますが、企業によっては自社の業務内容に最適化されたERPが必要だと考えるケースもあるでしょう。その場合は一からシステムを構築するスクラッチによるオンプレミスのERPの方が望ましいはずです。

クラウドERPに移行した方がよいのか?

インフラやシステムの運用負荷を軽減したい場合はクラウドERPへの移行が有効な解決策の一つとなるでしょう。とくに現在、オンプレミスERPをパッケージ標準導入している企業、パッケージカスタマイズ導入している企業などは、クラウドERPに移行すると、現在の作業負荷が減る可能性があります。逆にスクラッチのERPを導入している企業では、クラウドERPは使いづらく、負担が増えてしまうかもしれません。

最近はクラウドERPに限らず、クラウドで提供される機能やサービスがあることを前提として、自社の業務をシステムに合わせるという企業も多くなっています。業務の標準化を行うことでコストダウンや負担軽減が図れるという考え方です。このような見方をするなら、クラウドERPへの移行は業務を改善するための機会になるかもしれません。

クラウドERPの魅力は導入コストや運用負荷を抑えられることにあります。しかし、自社の業務内容とマッチするかどうかは事前にリサーチする必要があります。導入を考えるなら、クラウドERPのメリットとデメリットについてよく理解し、どのような問題が発生する可能性があるのかを精査した上で検討しましょう。

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