ページの本文へ

Hitachi
お問い合わせお問い合わせ

基幹システム

基幹システムとERPの違いとは? ERP導入のメリットって何?

ERPというシステムを導入し、経営に活用するという方法は、大企業だけでなく中小企業でも行われています。従来の基幹システムとも似ていると言われるERPとは一体どのようなシステムなのでしょうか。基幹システムとERPとの違い、そしてERP導入で得られるさまざまなメリットについて解説します。

  1. 基幹システムとは? どんな種類がある?
  2. 基幹システムとERPの違い
  3. ERP導入のメリット
  4. ERPの現状

基幹システムとは? どんな種類がある?

基幹システムとは、「会計」「人事」「生産」「物流」「販売」といった企業経営にとって主要な業務システム全般を指す総称です。

基幹システムを構成する業務システムには、「会計システム」「人事給与システム」「勤怠管理システム」「生産管理システム」「販売管理システム」「在庫管理システム」の主に6種類があります。

基幹システムとERPの違い

ERPは「Enterprise Resource Planning」の略で、もともとは生産・在庫管理の一手法が発展して考え出された概念でした。しかし現在ではERPは各業務システムを統合したシステムの名称として定着しています。

ERPの考え方の中心にあるのは、社内のすべての業務を統合し、部門間でシームレスなデータ連携を行って一元管理することで、データを経営戦略に役立てるというものです。したがって、ERPは業務システムを統合して一元管理するシステムと考えることができます。基幹システムとほぼ同義とも言えますが、実際には従来の基幹システムに置き換えて、より強固なデータ連携を実現します。

ERP導入のメリット

ERPを導入することで得られるメリットをみてみましょう。これまで部門間や業務システム間でデータ管理が分離していたという状況があるほど、これらのメリットは大きなものになります。

1.業務の一元管理

ERPでは従来のシステムでは必ずしもすべて紐づけされていなかった部門や業務システムごとのデータが、完全に連携・連動できるようになります。これは統合データベースという仕組みを用いるためで、このことにより、ある業務システムで変更が加えられたデータはすべてリアルタイムで更新され、別の業務システムからも参照できるようになります。このシームレスなデータ連携が、業務の一元管理を可能にします。

2.業務時間の圧縮

従来は異なる業務システムごとに行っていたデータ管理を一つの統合データベースで管理できるため、部門間でのデータの受け渡しに手間をかける必要がなくなります。例えば、販売管理システム内の受注データを一旦、請求書に起こし、それを会計システムで扱うために再度データ入力する……といった作業はERPでは発生しません。これにより作業工数が減り、業務時間の圧縮が可能となります。

3.経営におけるリソースをリアルタイムに把握できる

統合されたシステムによって、各業務システムのデータはもちろん、複数の業務システムから統合されたデータをリアルタイムかつ俯瞰的に把握できるようになります。これは経営のために役立つリソースをいつでも確認して、それを経営戦略に活かせるようになることを意味します。

4.経営戦略をスピーディに立てやすい

業務時間の圧縮とデータのリアルタイムな把握によって、移り変わる市場動向などに合わせた経営戦略をスピーディに組み立てることが可能となります。特に短期的な戦略を立てて素早く実践するには他社に負けないようなスピード感が要求されるため、ERPによって得られるリアルタイムデータが強力な武器となります。

5.成功企業のベストプラクティスを把握できる

一元管理しているデータを活用することで、ある結果を得るための効率的なプロセスを組み立てられます。例えば今、自社のどんな商品が売れていて、どのような形での受注が増えており、それに対する在庫と生産がどんな状況にあるのかをまとめて把握する……といった一連のデータ収集からデータ分析までの流れを作ることが可能です。

ERPソリューションを販売するベンダーは、こうした業種別・目的別のデータ収集・データ連携・データ分析のノウハウを蓄積しています。「ベストプラクティス」とも呼ばれる成功企業の事例、蓄積されたノウハウがあり、それらを導入企業に提供します。導入企業はそのベストプラクティスを自社の経営に活かすことができます。

6.内部統制の強化

ERPは内部統制の強化にも活用できます。これは統合データベースによる一元管理によって、常にデータの整合性が保たれ、またデータに対するアクセス権限や承認管理を設けることでデータの改ざんなどを防ぐことができるためです。

ERPの現状

ERPソリューションは現在、オンプレミスだけでなく、クラウドに対応したシステムが急激に増えています。このクラウド化されたERPでは、通常のオフィス以外の場所、例えば自宅やサテライトオフィスなどでも、作業することが可能です。

このことは今後、高齢化社会が進むにつれて深刻化していく労働力人口の不足を補うために、ERPが大きな役割を果たすであろうことを示唆しています。高齢の人はもちろん、育児や介護で離職している人、オフィスに通わない働き方を選択する人たちが働ける環境を、クラウド版のERP技術が中心となって提供できると考えられるからです。こうしたERPは企業内の効率化ツールや経営戦略の武器としてだけでなく、新しい働き方をサポートするシステムになることも期待できます。

従来の基幹システムを進化させたシステムとも言えるERP。今後もさらに時代に合った形へと変化していく可能性を秘めています。オンプレミス、クラウドなど、自社の状況に合わせて、ERPの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

あわせて読みたい

関連記事はこちら

BOM(部品表)とは? 役割やシステム化のメリットなど

昨今、業界や業種を問わず業務の効率化などを目的としてIT化が進められています。製造業におけるIT化を実現する上では、BOM(ボム。部品表)の作成やBOM管理シス...

詳細はこちら

インボイス制度とは? わかりやすく解説

2023年10月から開始された「インボイス制度」は、事業規模にかかわらず多くの事業者に関係のある制度です。インボイス制度の対応有無により、今後の事業活動に多大な...

詳細はこちら

レガシーマイグレーションとは? 手法や企業における必要性について解説

業務でITシステムを利用するようになって久しい昨今ですが、なかには昔から存在する古いシステムを利用している場合もあるでしょう。「遺産」ともいえる古いシステムは、...

詳細はこちら

マイグレーションとは? 種類や実施する際の注意点について解説

マイグレーションは健全なシステムを稼働させ続けるために欠かせないものですが、具体的な内容についてはよく分からない、という方も多いのではないでしょうか。また、マイ...

詳細はこちら

SoEとは? SoR・SoIとの違いやDXとの関係について解説

SoEとは、システムの種類を指すIT用語です。似ている用語にSoRやSoIがあり、それぞれのシステムは役割が異なります。ビジネスで活用されているシステムを役割に...

詳細はこちら

リファクタリングとは? 目的やメリット・デメリットなど

リファクタリングとは、ソフトウェア開発で行う作業の一つです。リファクタリングを行うと、開発を効率化したり、バグが発生するリスクを抑えたりできます。この記事では、...

詳細はこちら

モダナイゼーションとは? レガシーシステムからの脱却

レガシーシステムとも呼ばれる古いコンピューターシステムを現代的なシステムへと刷新するのが「モダナイゼーション」です。企業にとってモダナイゼーションはなぜ必要なの...

詳細はこちら

レガシーシステムとは? 問題点や解決策をわかりやすく解説

日本では多くの企業が古くからのシステムを継続的に利用しています。「遺産」とも呼ばれる「レガシーシステム」は、多くの問題をもたらすため早急に新しいシステムへの移行...

詳細はこちら

データドリブン経営とは? 実現する方法や注意点を解説

データドリブン経営とは、さまざまなデータをもとにした意思決定によって成果を上げる経営手法です。ただし、データドリブン経営にはメリットだけでなくデメリットもあるた...

詳細はこちら

基幹系システムとは? 情報系システムとの違いや分けて考えるべき理由など

基幹系システムと情報系システムの違いについて、しっかりと説明できるでしょうか? 一見、似たように思え、同じように企業内で使用するシステムですが、両者は異なる特徴...

詳細はこちら

2022年「電子帳簿保存法」改正のポイント

電子帳簿保存法が改正され、2022年1月より施行されました。今回の改正は電子化、ペーパーレス化のさらなる促進、それに伴う業務負担の軽減などを目的としたものです。...

詳細はこちら

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは? 概要や企業の課題について解説

デジタルテクノロジーは日々進化しており、新しいサービスやビジネスモデル、商品が次々と登場しています。これによって、私たちの生活も昔とは比べものにならないほど大き...

詳細はこちら

ERPとは? できることや導入形態を徹底解説

販売管理システムや会計管理システムなど、企業内の各部署で異なるシステムを利用している場合と違い、ERPを活用すればそれら複数システムを統合し、データを一元管理す...

詳細はこちら

企業がBIツールを導入するメリット・デメリット

BIツールは、業務を通じて日々社内に蓄積されていくさまざまなデータを有効活用するために役立つツールとして知られています。なぜBIツールが多くの企業に導入されて使...

詳細はこちら

経済産業省の「2025年の崖」について分かりやすく解説

「2025年の崖」とは経済産業省のレポートに登場した言葉であり、企業に対してデジタルトランスフォーメーションの必要性を訴えるものとなっています。ここでは「202...

詳細はこちら

タイミングや注意点は? 基幹システムの更改

その名の通り、企業にとって中心であり、主要となるシステムである基幹システムは、当然更改に伴うリスクも大きいものです。しかし、レガシーシステムとも呼ばれるような古...

詳細はこちら

失敗しないための基幹システム導入の進め方

基幹システムの導入は企業に多大なメリットをもたらします。しかし、基幹システムの導入そのものに失敗し、システムの機能がまったく有効活用されないという事態に陥ること...

詳細はこちら

ISDNが廃止に! 2024年問題について解説

INSネット「ディジタル通信モード」が廃止になる「2024年問題」をご存知でしょうか。もしも現在、ディジタル通信モードを利用している場合は、早急に対応についての...

詳細はこちら

日本企業が使い始めたのはいつから? ERPの歴史

「ERP」が日本で使われるようになったのは1992年からです。それ以前に、ERPは欧米で普及していました。ERPが欧米で、次いで日本で広まるに至った経緯など、E...

詳細はこちら

移行すべきか? クラウドERPのメリット・デメリット

「クラウドERP」とは、従来、オンプレミスで提供されていたERP(統合基幹業務システム)パッケージの機能をクラウド環境で使えるようになるサービスです。現在、オン...

詳細はこちら

スクラッチか、パッケージか? 基幹システム導入のポイント

新しく基幹システムを導入するときに直面するのが、スクラッチとパッケージのどちらを選ぶべきかという問題です。スクラッチとは、そしてパッケージとはどのようなもので、...

詳細はこちら

BIツールとDWHの違いを分かりやすく解説

企業に散在する膨大なデータを整理して蓄積し、分析して経営の意思決定に役立てるために有効とされるのがBIツールとDWHです。この二つにはどのような違いがあり、それ...

詳細はこちら