基幹システム
SoEとは? SoR・SoIとの違いやDXとの関係について解説

SoEとは、システムの種類を指すIT用語です。似ている用語にSoRやSoIがあり、それぞれのシステムは役割が異なります。ビジネスで活用されているシステムを役割に応じて分類し、区別するための概念としてSoEなどの用語が提唱されました。
この記事ではSoEの意味やSoR、SoIとの違い、SoEとDXの関係などについて解説します。
SoE(Systems of Engagement)とは
SoEは「System of Engagement」の略称です。日本語では「エンゲージメントのためのシステム」と訳されます。ビジネスの現場において、エンゲージメントとは企業と顧客のやりとりや結びつきを指す用語です。エンゲージメントを改善し、関係性を強化するために設計されたシステムがSoEと呼ばれます。
SoEの例として、顧客の行動や属性に合わせて最適な施策を行うためのCRMや、購買履歴に応じておすすめ商品を提示するレコメンドシステムなどが挙げられます。また、顧客とのやり取りを行うためのグループウェアやチャットボットなどもSoEに分類されるシステムです。
顧客の購買行動が多様化する中で、企業の競争力を高めるためのツールとして、SoEが重要視されています。
SoEと「SoR」「SoI」の違い
SoRやSoIの意味やSoEとの違いは次のとおりです。
SoRとは
SoR(System of Record)は、業務に関するさまざまなデータを記録するためのシステムを指します。経理情報を記録するための会計システムや、受発注に関するデータを記録するシステムなどがSoRの例です。基幹システムなど、企業に導入されている従来型のシステムの多くはSoRに含まれます。
SoEがエンゲージメントの強化を目的として設計されていることに対して、SoRは正確なデータを長期的に保存するために設計されていることが主な違いです。SoEで扱うデータ構造は、顧客の行動や企業との関係性などに応じて動的に変化します。一方、SoRのデータ構造は、システム設計の時点から大きく変化しない静的なものです。
SoIとは
SoI(System of Insight)は、データを分析し、ビジネスに有益な知見を導き出すためのシステムを指します。SoIの具体例は、顧客情報や売上データなどを分析し効果的な施策を提案するBI(ビジネスインテリジェンス)ツールや、経営資源に関するデータを一元管理するERPシステムなどです。
SoEが顧客と企業のエンゲージメントを強化するためのツールであることに対して、SoIはより幅広い領域の分析に活用されます。例えば、SoIでは商品原価や人件費などのコスト、日別の売上推移などのデータも分析の対象です。ビジネスに関するデータを総合的に分析できる点が、SoIの特徴です。
また、グループウェアやレコメンドシステムなどのSoEは企業側と顧客側の双方が利用します。一方、SoIは企業のデータの分析を目的としているため、システムの利用者は企業側のみです。
SoE・SoR・SoIの関係
SoEとSoR、SoIはそれぞれ異なる役割と機能を持ちます。それぞれの長所を組み合わせて使用すると、相乗効果を得ることが可能です。
例えば、SoEで顧客とやり取りした情報をSoRで管理すれば、正確なデータをもとにエンゲージメントを強化できます。顧客との過去のやり取りを効率的に管理し、アプローチの精度を高められることが、SoEとSoRを組み合わせるメリットです。
また、SoEやSoRで取り扱うデータは、SoIを使って分析できます。例えば、顧客とやり取りした履歴データをSoIで分析すると、顧客満足度や対応スピードを高めるためのヒントが得られます。SoRに蓄積されたデータが膨大で手作業による分析が難しい場合でも、SoIを使えば短時間で分析することが可能です。これらのように、SoEとSoR、SoIは相互に補完しあうことができます。
SoEとDX(デジタルトランスフォーメーション)の関係
SoEは、DXを推進するために必要なシステムです。DXとは、デジタル技術によってビジネスモデルを革新し、顧客に新たな価値を提供する取り組みを指します。SoEで顧客と企業の関係性を強化できれば、DXをスムーズに実現することが可能です。DXの推進が推奨される中で、SoEの重要性も高まっています。
SoEは、企業が顧客とのエンゲージメントを強化し、ビジネスプロセスを効率化するための重要なシステムです。SoEを活用すれば、顧客の属性や行動履歴に応じた施策を実行できます。SoEはDXの推進においても重要な役割を担うシステムのため、賢く取り入れていきましょう。