日本の産業を支えるIT・ICT・IoTの違いとは?

日本の産業を支えるIT・ICT・IoTの違いとは?

IT、ICT、IoT……いずれも日本の産業を支える技術分野を表す重要な言葉です。これらの用語について大まかには意味を理解できていても、それぞれの違いや関わり合いについて説明するのはなかなか難しいのではないでしょうか。こちらの記事では改めてこれらの言葉の意味と違いについてご紹介します。

ITとは?

ITとは「Information Technology(情報技術)」の略で、インターネットなどの通信と、コンピュータなどの情報機器を組み合わせて活用する技術の総称です。

日本でインターネットが一般に普及し始めたのは1995年のWindows95の発売以降。1999年から2000年にかけて、都市部を中心にADSLなどブロードバンドによる一般個人向け常時接続サービスがスタートして広まっていきました。

「IT革命」という言葉が登場したのが2000年頃のことです。当時の内閣総理大臣であった森喜朗氏が国会の所信表明演説で「e-Japan戦略」について触れ、IT基本法と関連法案を成立させていくきっかけとなりました。ただ、くだんの所信表明演説では、森氏がITを「イット」と読み間違える一幕も。「IT革命」は2000年の新語・流行語大賞を受賞しています。

2006年にはe-Japan構想の理念を受け継ぐ形で、ユビキタスネットワーク社会の実現に向けた「u-Japan政策」が始動します。光ファイバーを使ったFTTHも一般化して高速通信時代が始まります。また、総務省はそれまでの「IT政策大綱」を、2005年に「ICT政策大綱」と改称。この頃からITに代わってICTという用語も使われるようになりました。

ICTはITとほぼ同義

ICTは「Information and Communication Technology(情報伝達技術)」の略称です。海外ではITよりもICTのほうがよく使われています。

ITと同様、ICTも広範な意味を持つ言葉です。インターネットやコンピュータはもちろん、スマートフォン、ビッグデータ、ソーシャルメディア、スマートスピーカーなどさまざまなデジタル技術やサービス、ビジネスを指す際にも使われます。

ITとの違いは、ICTはどちらかと言えばインターネットおよびコンピュータ関連技術の活用方法や未来ビジョンを示す際に使用される傾向が強いことでしょうか。行政機関での使い方を見ると、総務省や文部科学省では「ICT成長戦略」「ICT地域活性化大賞」「ICT教育」などICTを使うことが多く、経済産業省などはITを使うことが多いようです。

IoTとは?

IoTは「Internet of Things(モノのインターネット)」の略称です。モノをインターネットに接続し、相互に情報をやりとりすることで、遠隔からの認識、計測、制御などを可能にする仕組みを指します。

インターネットにつながるモノと言えば、従来はパソコンや携帯電話が中心でした。その後、スマートフォン、ゲーム機、音楽プレイヤー、テレビなどもインターネットにつながるようになっていきます。

今後、IoTが一般化していけば、つながるモノの種類は今とは比べ物にならないほど爆発的に増えていくでしょう。現在、普及し始めているIoT製品にはスマートスピーカーなどの各種電子機器、照明器具やエアコンなどのIoT家電、留守中のペットなどをモニタリングできるネットワークカメラなどがあります。
さらに、自動車、バス、電車といった乗り物や交通機関、小売店内に設置されるセンサーやカメラ、病院内の医療機器、工場内の生産ラインに設置された生産装置やロボット、倉庫内の検品用マシン、農地で活躍する農業ロボットや自動運転農機、農業用ドローン、テーマパーク内で来場者が身につけるウェアラブルデバイス……などがネットワークにつながり、さまざまな分野で重要な役割を果たしていくでしょう。

IoTとIoEの違いは?

IoTには関連する言葉が2つあります。
1つ目はIoD(Internet of Digital)=「デジタルのインターネット」。IoDは最初からインターネットにつながることを想定して作られたデジタル機器のことです。パソコン、スマートフォン、ゲーム機などが該当します。企業の基幹系システム、サーバーなどもIoDの一種です。
2つ目はIoH(Internet of Human)=「ヒトのインターネット」。IoHはモノと同じくヒトもインターネットにつながることを意味します。すなわち、ヒトがコンピュータやデジタルデバイスを介して、モノと通信したり、モノを操作する仕組みのことです。

そして、IoT、IoD、IoHの上位概念として、IoE(Internet of Everything)=「すべてのインターネット」という言葉があります。

IoEはIoTの最終的な段階です。モノだけでなく、ヒト、プロセス、データ、場所といったあらゆるものをインターネットにつなげることを前提としたサービスやビジネス、およびそれを可能とする技術を指します。

例えば、医療現場において、入院患者の脈拍数や呼吸数、睡眠・覚醒時の状態をモニタリングできるスマートベッドシステムを想定してみましょう。IoTではこのベッドから得たデータをナースコールシステムや電子カルテのデータベースにつなげて管理することが可能です。
しかし、IoEが普及した世界ではベッドから送られるデータの種類はもっと増え、つながる先のデータも多様になります。そして患者の病状の変化に応じて最適化された治療がオートマチックになされるような環境が実現するでしょう。そこで得たデータが蓄積されれば、やがて治療の方法が次の段階へと進化していくことも期待できます。

IT、ICT、IoT、そしてIoEは、今後もあらゆる業界、分野に影響を与えながら拡大していくでしょう。数年先には今とはまったく異なる新しいサービスやビジネスモデルが生まれているかもしれません。それぞれの違いを把握し、その動向を注視することで、未来のビジョンが見えてくるのではないでしょうか。