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IoEとは? その概要とIoTとの違いなど

近未来のテクノロジーとして注目されている「IoE」は、従来のIoTを発展させた概念として世界的に注目されています。ここではIoEの概要やIoTとの違い、実際の導入事例について詳しく紹介します。

  1. IoEとは
  2. IoEとIoTの違い
  3. IoE導入事例

IoEとは

IoEとは「Internet of Everything(あらゆる物事のインターネット/すべてのインターネット)」の略称で、文字通りモノだけではなくヒトやサービスも含めたすべてがインターネットにつながることを指します。インターネットにつながった後は情報の伝達・共有・受信を行い、情報を蓄積・分析することで社会に役立てようという期待がもたれています。

現在はエアコンや冷蔵庫、腕時計などの身近なモノがインターネットに情報を伝えるIoT(モノのインターネット)が主流ですが、そこからさらに進んでヒトやサービスなどすべてが内包されたIoEが普及していくことが予想されます。

例えば、IoEでは工場で作業をするスタッフにひとり1台のスマートウォッチを配布し、GPSでその人の位置情報を収集して作業内容や安全の確認、危険箇所の把握などを行います。また、心拍数を手首で取ることによってストレス状況や負荷がかかる作業の把握や、二酸化炭素濃度のデータを取って作業環境の状況や安全性の確認が行えます。

このように複数のデータを一度に集めてそれぞれについて分析を行うことで、その人の状況や環境を分析できるようになります。

IoEとIoTの違い

IoTは「Internet of Things(モノのインターネット)」の略称で、デバイスや家具・家電製品などあらゆるモノがインターネットにつながり、データの送受信を行うことを指します。現在では、製造業をはじめ、物流業や医療・介護業界など、さまざまな分野でIoTが取り入れられており、今後も広がりをみせるといわれています。また、IoT家電が多く販売されており、私たちの生活にも浸透しつつあります。

IoEはこのIoTを含み、さらに発展させたテクノロジーとして期待されています。IoEはすべてをインターネットにつなぐ大きな概念ですが、この中にはIoTと別に「IoC」「IoA」「IoD」「IoH」も含まれます。

IoCは「Internet of Customers(顧客のインターネット)」のことで、IoTの先にユーザーや顧客がいることを意識した言葉です。ビジネスや購買活動にかかわる顧客が、IoTを通してインターネットにつながれることでより良い製品やサービスを受け取れるようになり、企業側も品質向上や製品開発に顧客データを役立てられるという概念です。

IoAは「Internet of Ability(能力のインターネット)」という意味の言葉で、ヒトの能力をネットワーク経由で交換したり、能力同士を結合させて能力を向上させたりすることを指します。ヒトとテクノロジーが一体化することで、ヒト自身のもつ知覚能力や認知機能、学習能力、身体能力などをアップグレードさせることができるとされています。AIと人間の知能を組み合わせて、思考能力を高めることも将来的には可能になるでしょう。

IoDは「Internet of Digital(デジタルのインターネット)」のことで、ネット通信が可能なデジタル機器をインターネットにつなぐことを指します。スマートフォン、携帯電話、パソコンやタブレットなどの端末のほかにも、サーバ・基幹系のシステムなどをネットに接続することも意味しています。

IoHは「Internet of Human(ヒトのインターネット)」を意味する言葉です。時計やメガネなどのウェアラブルデバイスを使ったり、直接ICチップを体に埋め込んだりして生体情報をインターネット接続させます。生体情報をデータ化し、蓄積・分析することで自身の健康管理や医学の発展に寄与することが期待されています。

IoE導入事例

IoEはすでに一部の大都市圏で導入が進められています。スペイン第2の都市・バルセロナでは、市街地にセンサーを設置してデータを収集し、交通システムや街灯、散水システムなどインフラ設備の経費削減や市民サービスの改善と向上をめざしています。

具体的には、容量を自動で計るゴミ箱を市街地に設置し、ゴミの量が少ない日は回収を行わないなど、廃棄物回収の効率化を図っています。また、センサーを設置した駐車場では常時空き状況をチェックしているため、駐車場を利用したいドライバーがスマートフォンアプリを起動させるだけで、空いているスペースを簡単に見つけることができます。

このように、IoEをいち早く市街地に導入したバルセロナではあらゆるサービスやインフラの稼働状況が即座に利用者の元に伝えられ、人の手による作業や時間のロスを削減しています。

IoEはIoT(モノ)のほかにIoC(顧客)やIoH(ヒト)、さらにはIoA(能力)をつなぐテクノロジーとして、大きな可能性を秘めています。あらゆるサービスや製品の質が向上することはもちろん、データの可視化と分析ができるようになるため、手作業や時間のロス、ヒューマンエラーの予防にもつながります。
IoEは従来のIoTの発展型として、今後私たちの生活やビジネスに大きく影響をもたらすことでしょう。これからもIoEの動向を注視し、どのような方向に飛躍していくのかを見守っていきましょう。

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