IoT
IoTプラットフォームとは? 概要や選び方を解説

IoT(モノのインターネット)は急速に進化し続けています。IoTプラットフォームを提供する国内外のベンダーも増え、企業がIoTを導入し活用しようと考えたときのハードルも低くなってきています。IoTプラットフォームとはどのようなものなのか、何に着目して選べばいいのかなど、基本的なことについて解説していきます。
IoTプラットフォームとは
IoTプラットフォームとは、企業がIoTを活用するために必要なさまざまな機能やサービスを提供する基盤のことです。
IoTプラットフォームの基本的な役割は、(1)IoT機器をはじめとするハードウェアを相互接続すること、(2)収集したデータの通り道となるデータトラフィックと蓄積するためのストレージを提供すること、(3)データを分析して運用するためのソフトウェアを提供することの3つです。また、これらに加えて、セキュアな環境を提供することもプラットフォームには求められます。
(1)と(2)に関してはクラウドサービスやクラウドシステムとして提供されるのが一般的です。(3)については機械学習やAIによるアナリティクス技術が活用されます。
IoTプラットフォームはまた、大きく分けて水平型と垂直型の2種類があるともいわれます。水平型は汎用性を重視し、幅広い業種に対応できる横の広がりを持つプラットフォームです。これに対し、垂直型は個別の業種に合わせたソリューションをオーダーメイドに近い形で提供する、縦に深く追求していくタイプのプラットフォームです。さらに、水平・業種フルカバレッジ型、垂直・機能フルカバレッジ型、垂直・アプリ提供型、垂直・基本機能提供型といった分類もされています。
IoTプラットフォームでできること
IoTプラットフォームを利用すると具体的にどんなことができるのでしょうか。多くのIoTプラットフォームに備わっている機能を挙げていきます。
IoT機器の接続
IoT機器をはじめとするハードウェアを相互接続するコネクティビティ管理は、IoTプラットフォームの基本機能の一つです。プラットフォームが提供するAPI(Application Programming Interface)、SDK(software development kit)、ドライバなどによって各種IoT機器を接続し、管理することができます。
リモート制御
IoTプラットフォームを使って、IoT機器を遠隔制御することが可能です。機器や設備の稼働開始、停止、作業完了通知、ログ確認、スケジュール設定などの制御ができます。
監視・保守
運用中のIoT機器の監視と保守ができます。システムの稼働状況をリアルタイムでモニタリングし、デバイスのステータスに応じたアラートを発したり、エラーを検知したときに内容を表示したりすることも可能です。IoTプラットフォームによっては不具合発生時にリモートでデバッグする機能が備わっていることもあります。
データの収集・保管
データを収集し、保管することができます。構造化データや半構造化データ、非構造化データなどさまざまなフォーマットのデータを収集して保管するために、データレイクが用いられることもあります。
データ分析
データ分析、データ解析のためのアナリティクスアプリケーションも提供されます。多くのIoTプラットフォームが、リアルタイムでデータを分析する機能を有しています。
自動アップデート
IoT機器に内蔵されるソフトウェアなどを自動アップデートする機能を持つIoTプラットフォームもあります。この機能により、バグ修正などだけではなくアップデート後の新機能追加も可能になります。
セキュリティ対策
IoT機器、クラウド、アプリケーション、IoTに関わるネットワーク通信において強固なセキュリティを確保できます。プラットフォーム間のセキュアな通信についても標準化が進められています。
IoTプラットフォームの選び方
IoTプラットフォームを選ぶときに重視したいポイントについて説明します。業種やIoTの活用目的によって選ぶべきIoTプラットフォームは変わってきますが、以下の基本的な3要素についてはまず確認する必要があるでしょう。
セキュリティ
IoTプラットフォームにおいてセキュリティは不可欠な要素です。セキュリティ強度の高さを知るには、IoT機器の乗っ取りや不正利用を防ぐためにどのような認証・許可サービスを採用しているか、セキュアな通信のためにどのような暗号化や認証技術を用いているかをチェックする必要があります。
また、通常と異なる振る舞いを検知できる「制御システム脅威検知ソリューション」の導入や、遠隔操作によるアップデートやデバイスの制御などの機能もセキュリティ対策に役立ちます。
接続性(コネクティビティ)
セキュリティを担保したうえで、接続の容易さ、安定性が確保されているというのも重要なポイントです。用途によって、数百万クラスのIoT機器との同時接続に対応できるのか、走行中の車両のような通信が不安定になりやすい状況でも確実に接続が持続できるのかといった点を確認しましょう。また仮にクラウドやネットワークで障害が起きたとしても、IoTシステムが稼働し続けられるような対障害性も求められます。
拡張性
IoT機器の数を一気に増やしたい場合に、セキュリティや接続性を確保したままシステムを拡張できるかどうかも検討対象となります。また数だけではなく、IoT機器からの情報データが多様化したときに対応できるか、データの管理方法や分析方法を変更したい場合の対応はどうかといった点もチェックポイントです。
IoTによって最大の成果を得られるかどうかは、どのIoTプラットフォームを選ぶかによって大きく影響されます。自社の目的にマッチしたIoTプラットフォームを選び、活用しましょう。