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IoT

「仮想化」とは何か? 仕組みやメリット・デメリットなど

仮想化技術を取り入れてリソースの無駄を省き、コスト削減やセキュリティ強化も実現しているという企業が増えています。今回は、サーバー、デスクトップ、ストレージという代表的な3つの仮想化について取り上げ、それぞれの仮想化の仕組みやメリット・デメリットについて解説します。

  1. 仮想化とは
  2. サーバーの仮想化
  3. デスクトップの仮想化
  4. ストレージの仮想化

仮想化とは

仮想化とは、物理的に存在するIT資源=ハードウェアを、仮想化ソフトによって実際とは異なる資源であるかのように見せかけて利用する技術です。

例えば仮想化によって、1つしかないハードウェアを分割し、複数のハードウェアがあるように見せかけて運用することができます。逆に、複数のハードウェアを1台のハードウェアであるかのように見せかけることも可能です。

サーバーの仮想化

ここでは、仮想化の具体的な例を見ていきましょう。まず、1台の物理サーバー上に複数の仮想サーバーを構築して運用する「サーバーの仮想化」について説明します。

サーバーの仮想化の仕組み

サーバーを仮想化するには仮想化ソフトを使います。仮想化ソフトは、1台のサーバーを複数の領域に分割し、それぞれの領域が1台のサーバーであるかのように見せかけることができます。その仮想化ソフトが作り上げた仮想化基盤上で、各仮想サーバーにサーバーOSをインストールし、アプリケーションを動作させます。これがサーバーの仮想化の大まかな仕組みです。

サーバーの仮想化におけるメリット・デメリット

サーバーを仮想化すると、1台のサーバーが有しているCPU、メモリ、ディスクなどのリソースを効率的に配分して活用できるようになります。その分、これまで何台も必要だった物理サーバーの数を減らして、コスト削減にもつなげられます。

また、複数のOSを使い分けられるので、古いOS上でしか動かないアプリケーションがあっても、そのOSとアプリケーションを継続使用できます。同じ物理サーバー上で、古いOSと新しいOSとを別々に共存させることができれば、古いOSのためにわざわざサーバーを新たに確保する必要がなくなります。

こうしたメリットの一方、デメリットもあります。1台のサーバーを分割して利用することから、1台の物理サーバーをそのまま使うよりは、処理速度などのパフォーマンスが低下することがあります。仮想化したサーバーをスムーズに運用するには、最適な仮想化環境を構築するための技術や知識が求められます。

デスクトップの仮想化

デスクトップの仮想化では、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)と呼ばれる方式がよく用いられます。

デスクトップの仮想化の仕組み

サーバーの仮想化基盤上に、複数の仮想デスクトップを実装し、そのデスクトップ画面を端末(クライアント)に転送します。利用者はネットワークを通じて自分に割り当てられた仮想デスクトップに接続し、通常のPCを扱うのと同じようにそのデスクトップを操作することができます。

デスクトップの仮想化におけるメリット・デメリット

デスクトップを仮想化すると端末側にデータが残ることがなくなります。そのため端末から情報が漏えいするリスクを軽減できます。また、アプリケーションの管理、OSのアップデート、ウイルス対策ソフトの更新も一括で行うことができるようになり、セキュリティ強度を高められます。

サーバーによる一元管理はコスト削減にもつながります。端末は最低限のスペックを備えていればほぼ問題ありません。メンテナンスやデータバックアップも一括で行えるようになるので管理者の運用管理業務の負担も減ります。また、デスクトップ仮想化はリモートワークにも活用可能です。

デメリットはやはりサーバーに負荷がかかることです。高性能なサーバーを用意する必要があり、ある程度の初期投資が必要です。また、万一、サーバーがダウンしたときには配下にあるすべての端末で作業ができなくなってしまいます。

ストレージの仮想化

保存データの増加に伴い、ストレージの仮想化を利用する企業も増えてきています。

ストレージの仮想化の仕組み

これまでバラバラに存在していた異なる複数のストレージを仮想的に統合して、あたかも1つのストレージであるかのように利用する技術です。利用者は仮想化されていることを意識することなくストレージを扱うことができます。

ストレージの仮想化にはさまざまな方式がありますが、近年注目されているのはスケールアウト型と呼ばれるものです。スケールアウト型ストレージでは複数のサーバーをスイッチでつなぎ合わせて束ね、1つの論理的なファイルシステムとして管理します。複数のストレージを連携させる仕組みなので、最初は少ない数から始めて、必要に応じてストレージを追加し、容量や性能を拡張していくことができます。

ストレージの仮想化におけるメリット・デメリット

アプリケーションが生成するデータはもとより、画像や動画を含む非構造化データなど、企業が活用し、蓄積しているデータは日々増加し続けています。コンプライアンスへの対応のため、長期保存が必要なデータも増えています。ストレージの仮想化は、こうしたデータの保存や運用、それに伴うコスト増大や管理の手間を軽減するのに役立ちます。

一方、小規模な環境ではコストが割高になってしまうケースもあります。また、ストレージの仮想化はネットワークやサーバーありきの技術なので、それらに障害が起きると利用できなくなるリスクも内包しています。

近年、さまざまな仮想化技術が次々と登場して利用されるようになっています。オンプレミスだけではなくクラウドの形で提供されているものも多くあります。自社にとって最適なシステムやサービスはどれなのかを見極め、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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