経営戦略
メリット・デメリットや導入効果を紹介! クラウドサービスの基礎知識

情報システムといえばオンプレミスが当たり前だった時代は過ぎ、現在、クラウドサービスを利用する企業が急増しています。クラウドサービスを導入し活用することでさまざまな効果が得られます。クラウドサービスの概要、種類、メリット・デメリットなどをあらためて整理してご紹介します。
クラウドサービスの基礎知識
まずはクラウドサービスについて最低限、知っておくべきポイントから整理しておきましょう。
クラウドサービスとは
クラウドサービスとは、ユーザー自身がサーバー・ネットワーク・ストレージなどのインフラやソフトウェアを用意しなくても、インターネット回線を経由して必要なときに必要な分だけ利用できるサービスです。
またそのような仕組みや利用形態はクラウドコンピューティングとも呼ばれます。
例を挙げると、メールを利用するとき、以前はユーザーが自分のパソコンにメールソフトをインストールして使うのが一般的でした。しかしその後、Webブラウザから利用できるメールサービスが充実し、ソフトウェアを用意しなくてもアカウントを持っていればブラウザを使ってさまざまな端末からメールを送受信できるようになりました。また送受信したメール(データ)も、自分のパソコンに接続されたハードディスクではなく、クラウド上に保存され、必要なときに必要なものだけを確認できるようになっています。
パブリッククラウドとプライベートクラウド
こうしたクラウドサービスは、パブリッククラウドとプライベートクラウドに分けることができます。
パブリッククラウドは、企業や組織、個人など基本的に誰もが利用できるオープンなクラウドサービスです。クラウドプロバイダーなどと呼ばれるクラウド事業者がサービスを提供し、ユーザーは専用のハードウェアなどを所有していなくても、パソコンやスマートフォンなどの一般的な端末を使って、自由にソフトウェアやサーバー、ネットワークリソースを使うことができます。また利用したいときはオンラインで申し込みをすればすぐにアカウントが発行され、サービスを利用できます。
これに対し、プライベートクラウドは、ユーザーとなる企業が自社専用のクラウドコンピューティング環境を構築し、社内の各部署や支社、グループ会社などで利用する、クローズドな形態のクラウドサービスです。プライベートクラウドにはさらに、自社でインフラを用意してシステムを構築・運用するオンプレミス・プライベートクラウドと、クラウド事業者が用意したインフラを利用する専有貸出方式のホステッド・プライベートクラウドがあります。
企業の対応状況
総務省、平成30年版情報通信白書を見ると、クラウドサービスを利用している企業の割合は、一部の事業所や部門で利用している企業を含めれば、2017年に全体の半数を超えていることが分かります。実際に利用されているサービスの中ではファイル保管・データ共有が最も多く、他にサーバー利用、電子メール、社内情報共有・ポータル、データバックアップ、スケジュール共有などが上位を占めています。
クラウドサービスのメリット
クラウドサービスを利用することで得られるメリットには次のようなものがあります。
コスト削減
とくにパブリッククラウドやホステッド・プライベートクラウドの場合は、サーバーやソフトウェアを購入しなくてもすむので初期導入費用が抑えられ、既存システムに比べてコストを削減できます。また保守費用・運用費用も安く抑えられます。パブリッククラウドの多くは従量制で、定額プランも選べます。
運用負荷の軽減
サーバーなどの運用・管理・監視はクラウド事業者が行うため、企業内のIT部門やIT担当者の負担が軽減されます。
目的に応じたサービスを選択可
目的に応じて必要なサービスを利用し、必要がなくなれば利用をやめることができます。
セキュリティ強化
情報漏えいなどに対するセキュリティを強化できます。とくにプライベートクラウドは独自のセキュリティ要件を設定することが可能で、高度なセキュリティ体制を構築・維持できます。
データやスケジュールの共有
クラウドサービスを導入すると、出先や移動先などの外部から簡単にアクセスでき、データやスケジュールを共有できるようになります。
また最近では商談データ・顧客情報・位置情報などを自動で記録し、日報システムと組み合わせてハンドリングできるようなサービスも増えています。こうした営業部門でのクラウドサービスの活用は、これまでとは違ったきめ細やかでリアルタイム性の高い営業活動を可能としているようです。
テレワークとの親和性の高さ
クラウドサービスは在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務などのテレワークとも親和性が高く、働き方の改善や生産性向上にも役立つでしょう。
クラウドサービスのデメリット
クラウドサービスのデメリットは次の通りです。
カスタマイズ性が低い
社内システムに比べてカスタマイズ性が低く、提供されるサービスに合わせた運用を強いられる傾向があります。ただし、最近ではある程度柔軟なカスタマイズが可能なサービスも増えています。
インターネット環境に依存する
前提としてインターネットが使用できる環境が必要です。また回線のダウン、速度低下などの影響を受けることになります。
普及が進むと同時に多様化の様相も見せているクラウドサービスは、そのメリット・デメリットを十分に理解し、自社の事情にマッチしたサービスを的確に取捨選択していくことが大事です。まずは自社のどの業務をクラウド化すればメリットを活かせるのかを考えるところから始めてみてはいかがでしょうか。