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経営戦略

クラウド移行とは? メリットや移行すべきシステムについて解説

新型コロナウイルス感染拡大の影響によるテレワークの普及もあり、社内システムをクラウドへ移行する企業が増えました。しかし、社内システムのクラウド移行はさまざまなメリットをもたらす反面、知っておくべきデメリットも存在します。
この記事では、クラウド移行の基礎知識と併せて、クラウド移行のメリット・デメリット、移行すべきシステムの判断方法について解説します。

  1. クラウド移行とは
  2. クラウド移行を検討する上で知っておきたい基礎知識
  3. クラウド移行のメリット
  4. クラウド移行のデメリット
  5. クラウド移行すべきシステムの判断方法

クラウド移行とは

クラウドサービス(クラウド)は、インターネット経由でさまざまなサービスを提供する仕組みです。社内システムのインフラ基盤から特定のアプリケーションのみを利用する場合など、その利用形態はさまざまです。

従来、企業の社内システムは自社でサーバーを用意して運用維持していました。クラウド移行は従来の自社管理ではなく、インターネット経由でインフラ・アプリケーション環境を利用できる状態にすることです。そのため、自社でサーバーやネットワークを構築し、運用維持する必要があり、専門知識・スキルが求められ、そのための人材確保や維持管理コストが課題となる場合が多くありました。

クラウドは必要なリソースを必要な分だけ利用する仕組みであり、いまや多くの企業が社内システムをクラウド移行しています。

クラウド移行を検討する上で知っておきたい基礎知識

クラウド移行を検討する前に、おさえておきたいクラウドに関する基礎知識について解説します。

クラウドとオンプレミスの違い

クラウドと対をなす言葉として「オンプレミス」が挙げられます。

オンプレミスとは自社運用システムのことであり、社内システムに必要なインフラ環境(サーバーやネットワーク)からアプリケーションまでを自前で用意、保有、運用するシステムの利用形態です。従来の社内システムはオンプレミスが一般的でしたが、クラウドの登場により現在はクラウドへ移行する企業が多くなっています。

オンプレミスは閉じられたネットワーク内で利用することが前提ですが、クラウドはインターネット経由で利用することが前提であり、そこが大きな違いです。

クラウドの種類

クラウドと一言でいってもそのサービス形態はさまざまです。代表的なクラウドの種類として次の3種類を紹介します。

  • IaaS(Infrastracture as a Service):サービスとしてのインフラ
  • PaaS(Platform as a Service):サービスとしてのプラットフォーム
  • SaaS(Softoware as a Service):サービスとしてのソフトウェア

IaaS/PaaS/SaaSの違いは、自社で管理する範囲にあります。

IaaSはサーバー、ネットワークなどのインフラが提供されるサービスです。インフラの維持管理はクラウド事業者側、プラットフォームやアプリケーションの維持管理は自社で行います。

PaaSは自社開発のアプリケーションなどを稼働させるためのプラットフォームが提供されるサービスです。プラットフォームの維持管理はクラウド事業者側、アプリケーションの維持管理を自社で行います。

SaaSはインターネット経由でソフトウェア(アプリケーション)を提供するサービスで、ユーザーはインターネット経由でソフトウェアを使用します。

自由度の高さはIaaS>PaaS>SaaSの順となっており、自社の目的に合わせて選択する必要があります。

クラウドシステムとは

クラウドシステムはクラウドサービスを活用したシステムを表します。クラウド上に業務システムや基幹システムを構築し、運用するシステムです。

既存のオンプレミス環境からクラウドへ移行する場合、以下のように選ばれます。

  • システムを動かすサーバーからインターネット経由で使用する場合にはIaaS(例:Microsoft Azureの利用など)
  • システムを開発する際に必要なOSやミドルウェアなどをインターネット経由で使用して、システムを開発する場合にはPaaS(例:Amazon Web Servicesの利用など)
  • 自社開発システムから、パッケージソフトウェア・アプリケーションをインターネット経由で使用する形に変更とする場合にはSaaS(例:Microsoft Office 365の利用など)

クラウド移行のメリット

企業システムのクラウド移行が進む理由としては、次に挙げるようなメリットの存在があります。

  • コストの削減
  • 保守運用、障害対応の負担軽減
  • BCP対策
  • 拡張性の確保
  • データコンプライアンス対応
  • 関連企業間でのデータ統合がしやすい

オンプレミスの場合、自社システムに問題が発生した際にはすべて自社で対応する必要があります。通常運用にも多くのコストが必要ですが、クラウド移行することで基盤周りの対応から解放されます。そのため、コストの削減効果が大きく、クラウド移行の際の大きなメリットの一つになっているといえるでしょう。

また、クラウドは必要なときに必要な分だけ利用できるため、拡張性が高く有事の際の対応が行いやすいことから、BCP(事業継続計画)対策も容易に実現できます。

コンプライアンス要件に対応した環境が事前に用意されていることも多く、データコンプライアンス対応も行いやすく、共通のデータ形式を使用することになるため関連企業間でのデータ統合も行いやすい点がメリットです。

クラウド移行のデメリット

多くのメリットをもたらすクラウド移行ですが、覚えておくべきデメリットも存在します。

  • インターネット接続が必須
  • カスタマイズ性が低い
  • 自社システムと連携できない可能性がある
  • クラウドに適したセキュリティ対策が必要

クラウドサービスはインターネット経由で提供されるものであるため、当然のことながらインターネット接続が必須です。環境によってはインターネット接続ができない可能性も考えられるため、この点はデメリットの1つとしてあげられるでしょう。

また、すべてを自社内で完結するオンプレミスに比べてカスタマイズ性は低くなります。既存の自社システムとクラウドサービスを相互に連携しようとしても、対応していない場合もあるため注意が必要です。

クラウドはインターネットにさえつながっていればどこからでもアクセスできることから、オンプレミス環境とは異なったセキュリティ対策が必要になります。セキュリティ対策に関しては、クラウド環境に適した形で再構築しなければならない点もデメリットとして挙げられるでしょう。

クラウド移行すべきシステムの判断方法

クラウド移行は多くのメリットをもたらしますが、むやみやたらに移行するべきではないといえます。クラウド移行を検討する際は、対象システムに対して少なくとも次の項目を検討するとよいでしょう。

  • コストの削減効果
  • 運用負荷の削減効果
  • リモートアクセスの必要性
  • 拡張性
  • セキュリティ基準

クラウド移行の大きなメリットの一つはコストの削減です。しかし、移行するための対応にもコストが必要であり、その後の運用コストと併せて移行後の削減効果を事前に検討する必要があります。

また、コストと同様に運用負荷の削減効果も移行すべきシステムの判断基準にするとよいでしょう。その他には、クラウドを利用する上での拡張性が必要か、リモートアクセスは必要か、といった観点からクラウド移行すべきシステムを判断します。

セキュリティに関しても従来とは異なるクラウドに適したセキュリティ対策が必要となるため、その点も忘れずに考慮しましょう。

インターネット経由でサービスを提供するクラウドは、いまや多くの企業が社内システムを移行する先として活用しています。多くのメリットをもたらす反面、注意すべきデメリットも存在するため、移行するべきシステムをしっかりと検討した上で活用しましょう。

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