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IT活用がカギ! ダイバーシティ経営の課題と解決方法

国も積極的にかかわって推進しているダイバーシティ経営のビジョンは、企業がめざすべき姿を示していると同時に、それを実現しようとしている企業に対していくつかの課題も突きつけています。ダイバーシティ経営のメリット、そして課題と解決法についてご紹介します。

  1. ダイバーシティ経営とは
  2. ダイバーシティ経営のメリット
  3. ダイバーシティ経営の課題と解決方法
  4. ダイバーシティ経営実現のためのIT活用

ダイバーシティ経営とは

ダイバーシティとは多様性のことです。ダイバーシティ経営は性別、人種、国籍、年齢、学歴、職歴、障がいの有無などにおいて多様性を持った人材を採用・登用し、その能力を発揮できる機会を提供することで事業を活性化させるという経営アプローチ方法です。もともとはアメリカで始まりました。

日本においてダイバーシティ経営が求められる背景には、グローバル化に代表される市場環境の変化があるとされます。顧客ニーズの多様化、急激な市場の変化への対応力、国内外の投資家からの信頼度の強化といった要請に対応するには、多様な価値観を持つ幅広い層の人材の確保と能力発揮が不可欠だといわれています。

もっと具体的にいえば、女性、高齢者、外国人、障がい者などの雇用強化が、企業としての競争力強化やイノベーション創出につながるというのがその基本的な考え方です。

重要なのは多様な人材を採用すること自体が目的ではなく、また福利厚生の充実やCSR(企業の社会的責任)を促進させることのみをめざすわけではないという点です。あくまで多種多様な人材を活かすことを戦略として捉え、それによって経営上の成果につなげることがダイバーシティ経営の目的とされています。

経済産業省では以上のような趣旨に基づいて、2012年度から毎年、ダイバーシティ経営によって企業価値向上を果たした企業を選定し、「新・ダイバーシティ経営企業100選」として表彰しています。

ダイバーシティ経営のメリット

ダイバーシティ経営にはどのようなメリットがあるのか、企業側からの視点で見てみましょう。

人材確保

少子高齢化により人材を集めることが難しいとされている昨今、女性、高齢者、外国人、障がい者を積極的に採用することは、ストレートに労働力の確保・強化につながります。

例えば、一旦は家庭に入った主婦層、定年を迎えたシニア層、日本での仕事を求めている外国人、働く機会をなかなか与えられなかった障がい者などはそれぞれに異なる視点や発想力を持ち、自社にマッチした活用法を考えることで戦力とすることが可能です。

創造性の向上

多様性のある人材を確保することは、企業としてさまざまな属性を持つ顧客に対する理解力や対応力を有することを意味します。そのことを基盤として、新しい製品やサービスを作り出すことも可能です。

古い考えや画一的な価値観だけに固執していては、新しい価値を創造することは難しい時代です。異なる価値観がぶつかり合うことで、本当に求められているものが見えてくるといえるでしょう。

企業イメージの向上

「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選定されれば、当然、企業イメージは向上するでしょう。たとえ選ばれなくても、「人それぞれの違いを尊重し、違いを活かすことで競争力を付けている会社」として実績が上がれば、ステークホルダーなどによる評価や信頼につながるでしょう。

ダイバーシティ経営の課題と解決方法

ダイバーシティ経営を実現するには、次のような課題があります。解決方法とともに見てみます。

ダイバーシティ経営に対応した環境づくり

多様な人材を活かすには、雇用形態や働き方における柔軟性が求められます。とくに女性や高齢者を採用する場合は、時短勤務、フレックスタイム制、テレワークといった働きやすい環境づくりを進めていくことをセットにして考えるべきでしょう。

社内の人間関係・コミュニケーションへの配慮

価値観の異なる者同士が集まれば、その間で軋轢が生まれやすいとも考えられます。従業員への啓発活動や交流会などを実施し、お互いに理解を深め合い、リスペクトし合える空気を作っていくとよいでしょう。

誤解などが発生したときにそれを解消できるよう、相談窓口などを設けておくことも大切です。またハラスメントの発生にも注意を払わなければいけません。

人事制度の整備

公平な評価が行えるように人事制度を見直すなどの取り組みも必要かもしれません。日本企業特有の残業や出張に対応できる従業員を優遇するといった考えや、終身雇用、年功序列といった慣例は、さまざまな人材が集まるダイバーシティ経営には適さない可能性があります。さままざまな立場の人材を受け入れるために、これまでの制度を見直すことも視野に入れてみましょう。

このような見直しを行った場合、報酬は個人の成果を評価して決めることが基本となり、個別のスキルやキャリア、役割を踏まえた上での職務遂行度や個人業績を正当に評価するシステムの整備が、企業に求められることになります。

ダイバーシティ経営実現のためのIT活用

ダイバーシティ推進のために有効に活用したいのが、新しい働き方や評価システムを支援するITツールです。

例えば、リモートアクセスを利用すれば、外出先や自宅など遠隔地にあるデバイスから会社のネットワークやコンピューターに接続できます。自宅やサテライトオフィスにいながら社内にいるように仕事ができるため、テレワークを実践するには欠かせない技術といえます。ダイバーシティ経営のフレキシブルなワークスタイルともフィットしやすい環境が整えられるでしょう。

勤務状況管理ツールも、個人の実労働時間を記録し、評価システムと連動させるのに役立つツールです。フレックスタイム制やシフト制、裁量労働制など働き方が変わっても従業員の勤務状況を簡単に把握することができます。

ダイバーシティ経営を組織のパフォーマンス向上や経営上の成果に結びつけるためには、一人ひとりの違いを十分に引き出し、活かすことのできる環境を築き上げることが第一です。そのためには働き方などの大胆な改革を進め、またITを上手に活用することがキーポイントなってくるでしょう。

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