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経営戦略

なぜ進まないのか? ペーパーレス化の課題

ペーパーレス化することの重要性は分かっていても、なかなかオフィス内の書類が減っていかない……と感じてはいないでしょうか。なぜペーパーレス化が進まないのか、課題を解決するためのヒントを探ってみましょう。

  1. 企業におけるペーパーレス化のメリット
  2. なぜペーパーレス化が進まないのか
  3. ペーパーレス化に向けての課題
  4. 確認しておきたい「電子帳簿保存法」

企業におけるペーパーレス化のメリット

まずはペーパーレス化によって得られるメリットを整理しておきましょう。

  • 印刷代、紙代、保管代を削減できる
  • 管理が簡単になり検索性が向上する
  • 情報の共有がしやすい
  • セキュリティが向上する
  • バックアップや分散管理がしやすい
  • 保管スペースが削減できる
  • オフィス内やデスクがきれいになり、整理整頓できる

こうしたメリットは、社内の情報システムの整備、インターネットやクラウドサービスの普及、デバイスやアプリケーションの多様化などによって以前よりも一層大きなものになっています。現在では、デジタルデータ化することで、場所や時間を問わず情報にアクセスする、必要な情報を探す、共同で編集するといったことが簡単にできます。これらペーパーレス化によるメリットの多くは業務効率の向上につながるものです。

なぜペーパーレス化が進まないのか

仕事で扱う情報のほとんどがデータ化されている企業がある一方で、いまだに紙に印刷された書類や資料を使っている企業も存在します。なぜペーパーレス化は進まないのでしょうか。

紙に印刷した書類や手書きのメモを使う方が簡単だし、安心できるから……というのも理由の一つになるでしょう。実際に柔軟さが求められるなどの理由でデータ化が難しい書類もあり、フォーマットを統一するとすれば大変な手間がかかるというケースも考えられます。データ化して保存し閲覧するためのデジタル機器やソフトウェアを揃え、社内LANを構築し、インターネットにつないでセキュリティ対策を施すにはコストもかかります。

経営陣や社員のITリテラシーが不足している場合もあるかもしれません。特定の担当者がパソコンを使うというだけならまだしも、全社員がデジタルデータを扱うようにするには知識やスキルが不足しているというようなケースです。

また、データ消失、情報漏えい、システム障害、サイバー攻撃といったリスクを警戒してデータ化に踏み切れないという場合も考えられます。

あるいはペーパーレス化の意思はあったとしても、ちょっとした事情で簡単には進まないという企業も少なくないのではないでしょうか。例えば取引先の理解が得られない、各種契約書や書類を提出する際にハンコが必要、といったことがハードルになっているケースです。

ペーパーレス化に向けての課題

では、どうすればペーパーレス化が実現できるのかを見ていきましょう。おすすめは現状の課題をリストアップして、優先順位を付け、一つ一つを解決していくやり方です。

社内にまだペーパーレス化の有用性が十分に浸透していないのであれば、社内セミナーなどでペーパーレス化の意義などについての周知活動を行いましょう。社員一人ひとりのペーパーレス化に対する疑問や不安などもこの時点で払拭しておくべきです。

ITリテラシーやスキルの不足が認められる場合は、これらを補うための研修も必要になるでしょう。ただ、必ずしも全社員が同等レベルのスキルを身につける必要はないはずです。例えばパソコンを使わなくても、業務内容によっては書類を扱うのと近い感覚で使用できるタブレットとアプリが役立つ可能性があります。

ペーパーレス化のために一気にIT化を進めるのであれば、システムインテグレータ(SIer)などに依頼するというやり方もあります。しかし一方で、導入コストを抑えつつ、できるところから少しずつ必要なハードウェアやソフトウェアを利用する方法も可能でしょう。

スキャナやスキャナ機能付きの複合機を使って既存の書類をPDF化してパソコンに保存する、というのは多くの企業が行っている方法です。あるいは取引先がFAXを多用しているためペーパーレスFAXで対応している、といった事例もあります。

現在、すでにペーパーレス化がある程度進んではいるものの、拡大・浸透していかないという場合は、個別にペーパーレス化対象を見つけて解決を図ることになります。会議ではまだ紙資料を使うのが常態化しているなら、ペーパーレス会議システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。ハンコによる社内の承認手続きは排除するか、電子印鑑を利用するのが良いかもしれません。

総じていえば、とくに中小企業の場合は、ペーパーレス化は長期的に取り組んでいく方が上手くいくことが多いようです。一つの業務文書をペーパーレス化して、その有用性が明らかになれば、次へのモチベーションやアイデアも生まれてきます。PDF化した書類が増えてくれば、それらをタグ付けして整理し活用する方法を考えるなど、順次ペーパーレス化を進めていけば良いでしょう。

確認しておきたい「電子帳簿保存法」

ペーパーレス化を進める際にぜひ知っておきたいのが電子帳簿保存法の存在です。

電子帳簿保存法は1998年に制定され、その後、2016年、2018年に大きな改正が行われました。この法律は、会計帳簿や決算書などの国税関係の帳簿書類を、電子データ(電磁的記録)として保存することを認めたものです。現在ではスキャナ保存、スマートフォンやデジタルカメラによる電子データ保存も認められるようになっています。

帳簿や書類を電子データ化して保存すると、コスト削減、経理業務の効率化、保存体制の強化ができるといわれています。社内のペーパーレス化を進めるのであれば、この電子帳簿保存法の導入も視野に入れておきましょう。

ペーパーレス化を進めていくには、現時点で何が妨げになっているのかという課題を見つけることが先決です。その上で、それらを解決していくための計画を立て、時間をかけて取り組んでいきましょう。

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