経営戦略
販売管理とは? 目的と業務の流れ、システム導入のメリットなど

販売管理とはそもそもどんな目的で、どのようなことを行うものなのでしょうか。自社の業務内容に当てはめて考えることで、販売管理をもっと効率的にできるかもしれません。また、自社に適した販売管理システムを導入すれば、経費削減や情報共有の推進など、さらに多くのメリットを得られるでしょう。販売管理システムを導入するメリットや注意点について解説します。
販売管理とは
販売管理とは、販売活動に関わる商品とお金の流れを管理することを指す言葉です。「何を・誰に・いつ・どこで・いくつ・いくらで」販売したのか、さらに販売した商品の代金をいつ回収し、仕入れた商品の代金をいつ支払うかといった情報を集約して管理します。
販売管理を行う目的は、まず収支の状況を可視化してその時々の損益や商品ごとの売上を把握することにあります。また、モノとカネの動きについての情報を正確に記録することで、納品漏れや重複発注などのミスを防止することも重要な目的です。それらにより、取引先からの信頼を得ること、利益向上のための施策に役立てることもできるでしょう。
販売管理業務は通常、「見積→受注→出荷・納品→売上計上→請求→回収」という流れで行われます。またこれらに伴って、在庫や仕入れの管理も行っていきます。この業務フローを円滑に進めるために導入されるのが、販売管理システムです。
販売管理システムを活用するメリットとは?
販売管理はExcelなどを使って帳簿をつけながら行うこともできます。しかし、販売管理システムを導入して活用すれば、以下のようなメリットを得られます。
業務効率化
販売管理システムを導入すると販売管理に関わる作業を効率的に進められます。複雑な伝票計算を迅速に行い、そのデータをいつでも呼び出して参照し、活用することもできるようになります。複数の作業を同時並行または共同で進める、複数のデータを一元管理するといったことも可能です。これらにより業務の効率化が実現できます。
人的ミスの抑制
販売データを正確に記録して管理すれば、人的ミスも抑制できます。販売管理システムを用いず、販売数、受注数、在庫数などを別々に管理して、多くの項目を手動で入力していると記載ミスや計算ミスが起こる確率が上がってしまいます。また、データが散在していると、在庫切れや発注ミスも起こりやすくなります。販売管理システム導入により、こうしたヒューマンエラーの発生リスクを軽減できます。
保管コストの削減
販売管理システムを活用することで無駄な在庫を抱えなくてすむようになり、保管コストを削減できる可能性があります。
販売データの共有
販売に関するデータを、販売に携わる人員間や異なる部署・部門間で共有できるのもメリットです。受注管理、販売管理、在庫管理をシームレスに行い、営業部門、販売部門、在庫管理部門などの部門間で同じデータを扱えるので、連携プレーもスムーズに行えます。製造業の場合は生産管理を連携させることも可能です。
こうした情報共有の促進は業務効率化に役立つだけではなく、互いに監視し合う環境が自然に構築されることで不正がしづらくなり、コンプライアンスの向上にもつながります。
経営判断への活用
販売管理システムによって販売データをリアルタイムに把握することができます。さらに蓄積したデータを分析して、販売戦略やマーケティングに活かすことも可能です。これらにより、経営判断を素早く行うこともできます。
販売管理の業務内容と販売管理システムの機能
販売管理システムは、販売管理の業務内容に応じた次のような機能を備えています。
受注管理
見積もりの作成から受注情報の入力と登録、管理を行う機能です。見積もりデータや受注データの検索、一覧表示などが可能です。受注と同時に発注を処理できる受発注同時入力機能を備えているシステムもあります。
売上管理
売上や売掛情報の入力、管理を行う機能です。受注データを継承し、売上内容を確認して確定するといった機能もあります。売上伝票や売上明細の作成もできます。売上を集計し、ビジュアライズして確認できる機能を備えているシステムもあります。
請求管理
売上データをもとに請求書を発行する機能です。入金・未入金の管理も行えます。未回収の売掛金の検索や一覧表示なども可能で、回収漏れの防止に役立てられます。
在庫管理
在庫の状況や出荷・入荷の動きを管理する機能です。受注データに基づいて出荷を行い、在庫数に応じて入荷数などを調整します。倉庫間の在庫移動追跡、棚卸の管理機能を搭載したシステムもあります。
販売管理システムを導入する際の注意点
販売管理システムは小売業、卸売業、製造業などの業種で導入されることが多く、業種によってカバーする領域が若干、異なります。自社の販売管理に関する業務内容にマッチしたシステムを選ぶことが重要です。
また、伝票計算や伝票作成の効率化・自動化支援に重きを置くのか、情報共有や情報蓄積によるデータ活用を進めたいのか、販売管理に関する一連の業務フローを円滑化したいのかなどのニーズによっても選ぶべきシステムは異なってきます。あるいは、大規模な企業向けの異なる拠点間のデータを一元管理する機能が備わっているシステムもあれば、ネットショップ向けに特化したシステムやツールもあります。
さらに、会計システムとの連携、POSシステムとの連携、ハンディーターミナルとの連携などの機能を持つシステムも登場しています。「何を実現したいのか・実現できるのか」を考えて製品を選ぶようにしましょう。
自社にとって販売管理とはどのような意味を持つものなのかを考えることで、販売管理システムを導入するメリットもより明確に見えてきますし、必要な機能も整理されるでしょう。これらを踏まえて自社に適した販売管理システムの導入を検討してください。
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