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5Gの次に来る通信規格「6G」とは

次世代の通信システムとしてサービスが開始された5Gは、現在主流の4Gのおよそ20倍もの高速通信を可能にするといわれています。しかし、2030年の実用化をめどに開発が進められている「6G」は、さらに利便性の高い通信が可能になるとされています。ここでは、6Gの導入によって想定される変化や6G活用の展望について解説します。
5Gの次に来る6Gとは?
2020年現時点で主流となっている通信システムは、第4世代移動通信システムと呼ばれる4Gです。フィーチャーフォンなどでは一つ前の通信規格である3Gが利用されていました。2015年に4Gサービスが開始されてスマートフォンが普及。大容量データの送受信が可能になり、より高品質なリアルタイムの映像を受信できるようになりました。
5Gは次世代の通信システムとして世界中で導入・整備が進められており、超高信頼・低遅延という特長によって4Gでは叶わなかった高速通信が可能になります。4Kや8Kといった高画質の動画データを瞬時に送受信したり、車の操作を遅延なく行う自動運転にも搭載されたりする予定です。
そして5Gからさらに進化した6Gとは、2030年をめどに導入される予定の第6世代移動通信システムのことです。100Gbps以上のスピードでデータの伝送が行え、宇宙空間からの衛星通信にも実装されるといわれています。6Gの高速通信が身近なものになると、多くの人が同時に接続し情報を共有することが当たり前となるといわれており、通信エリアや通信速度を意識することがなくなると予想されます。5Gで実現できるとされる自動運転や遠隔操作による診療などにおいても、6Gではより安定した高速通信で改善を図っていくことができるでしょう。
5Gから6Gでは何が変わるのか?
6Gで100Gbps以上の通信速度が実現すると、5Gによって当たり前となっていた高速通信がさらに多彩な環境で行えるようになります。国内外や室内外など場所を問わずリアルタイムな情報が手に入れられるようになり、人々がその場の情報やデータをより速く、より遠くまで共有できるようになるでしょう。
6Gでは「超カバレッジ拡張」と呼ばれる技術の実現が到達目標として示されています。カバレッジとは通信用の電波が及ぶ範囲のことで、5Gまでの移動通信システムがカバーしきれていない自然の中や遠隔地域、宇宙にまで範囲を広げることを目標としています。範囲が広がれば、今では考えられないような用途もまた増えていくことでしょう。
「超多接続」も6Gにおける特長のひとつで、1平方キロメートルあたりの多接続は4Gでは約10万台、5Gで約100万台であるものが、6Gでは約1000万台をめざしています。これによりアクセス集中による伝送遅延の問題が解決し、リアルタイム監視によるセキュリティの強化やオンライン会議・授業も容易に。住んでいる場所を問わず、同じ情報や体験を得られることが期待できます。
このようにさまざまな変化を生む可能性を秘めた6Gですが、通信にかかる費用はというと「低コスト化」が目標とされています。併せて超低消費電力も目標となっており、利用者の負担や環境への負荷の軽減まで考えられたものとなっています。
また、今後のIoTの発展に備えるためにも、6Gが必要であるといわれています。あらゆる製品のIoT化が進み高度化した場合、5Gでさえ接続が難しくなる状況に陥る可能性があるからです。
何が実現できるのか? 6G活用の展望
6Gを活用すると、仮想現実と呼ばれる「VR」によるさまざまな取り組みが可能になります。例えば、離れた場所にいる家族と映像を送り合うことで相手が目の前にいるような感覚が体験できたり、イベントやライブを遠隔で行ったり、実際の職場環境と遜色のないテレワーク環境やオンライン会議が行えるようになるとされています。
モバイル端末については、これまではコードをつなぐか、ワイヤレスといっても充電台に置く作業が発生していましたが、6Gでは自動ワイヤレス充電という技術により、6Gの通信エリアに入ると自動で充電されるという便利なしくみの実現も計画されています。
腕時計などのウェアラブル端末も、自動ワイヤレス充電によって毎日充電する手間がかからず、外出先で電池切れになる心配も少なくなり、使い勝手が飛躍的に上がることが期待できます。
5Gは高画質・大容量のデータを伝送することに特化していますが、6Gではさらにその精度が増すためリアルタイムでの大容量通信は当たり前のものとなります。複数の医療機関をつないでオンラインに遠隔手術を行ったり、遠方の地域からでも名医による診察が受けられたりするようになることが期待できます。
現在5Gが世界中で提供され始め、さまざまな場所で検証や整備が進められています。しかし2030年にはその次の世代である6Gが控えており、すでに日本国内でも研究が進められています。超高速多接続や超カバレッジ拡張によって時間と距離を超えたつながりを可能にする新たな技術の進歩を注意深く見守っていきましょう。