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社内問い合わせ対応をチャットボットで!成功・失敗事例を紹介

社員からの社内問い合わせ対応に人的リソースを割かれているという問題に対し、AIチャットボットを導入する企業があります。AIチャットボットははたしてどのような方法で社内活用されているのでしょうか。成功事例、失敗事例を挙げながら、AIチャットボットを社内導入するメリットとリスクについて考えます。

  1. AIチャットボットで社内問い合わせ対応の工数を削減!
  2. チャットボット導入の成功事例
  3. チャットボット導入の失敗事例

AIチャットボットで社内問い合わせ対応の工数を削減!

社内問い合わせ対応用のツールとして、AI搭載の機械学習型チャットボットを導入する企業が増えてきています。

企業内のサポートデスクや総務・人事・経理などの管理部門には、連日のように社員からの問い合わせが寄せられます。その中にはFAQとしてまとめられるような「よくある質問」も多く、それらに答えるために人的リソースを割かれるのは非効率的と考える人が少なくないはずです。

とはいえ、そうした質問の回答となるマニュアルやFAQ集を充実させても、それらが参照される機会はさほど多くありません。「聞けばわかること」は直接問い合わせたい、「知りたいこと」だけを端的に説明してほしいと思う人は、必ず一定数いるものだからでしょう。

AIチャットボットはそうしたニーズにある程度答えることができます。AIチャットボットは事前に入力したデータや、ユーザーとのやりとりで収集したデータをAIがみずから解析し、学習して適切な回答をするようになります。質問と回答データを事前に大量に入力しておけばチャットボットが人間に代わって問い合わせに答えられます。さらに問い合わせに多く答えるほど、より的確な受け答えができるように成長していきます。

AIチャットボットに人間の担当者とまったく同等の役割が担えるのかといえば、現状はまだそこまで技術が達してはいません。しかし多くの質問に対してはチャットボットが自動で答えることができます。その分、社内問い合わせ対応の工数を削減して、人間はメインの業務に注力できるようになるでしょう。

また利用する側もマニュアルやFAQ集を見るよりも簡単かつスムーズに知りたい情報にたどり着けるようになります。中にはチャットボット相手なら人間にたずねるよりも気軽に問い合わせできるという人もいるはずです。

チャットボット導入の成功事例

実際にAIチャットボットを社内問い合わせ対応に導入し、成功している事例を挙げてみます。

ヘルプデスクにチャットボットを活用

メールやネットワークの設定、不具合発生時の社内問い合わせ対応としてチャットボットを導入。目的は電話問い合わせへの対応工数削減、社員のマニュアルなどの情報検索にかかる時間短縮、社員の問い合わせ内容の可視化とデータベース化など。

その結果、1日100件以上の問い合わせにチャットボットが対応する体制の構築に成功。質問の傾向なども把握でき、受け答えのクオリティも向上。社員の質問に対する正答率は85%に達したそうです。

経理への問い合わせ対応にチャットボット導入

領収証のペーパーレス化を推進したところ、経理部門への社内問い合わせが急増。もともと新入社員や中途社員からの問い合わせが多かったこともあり、問い合わせ対応が本来の業務を圧迫し、月末月初の業務に支障が出るようになったためチャットボットを導入。

その結果、経理部門の担当者が問い合わせ対応に要していた稼働時間が従来の半分に縮小。社員はチャットボットとのやりとりだけで回答を得るのではなく、該当するマニュアルへ誘導されるケースも。そのためしっかりとマニュアルを参照してから交通費・経費の申請を行う社員が増え、申請の方法が間違っていて差し戻しとなるケースも大幅に減ったそうです。

チャットボット導入の失敗事例

上記のような成功事例がある一方で、チャットボットを導入したもののうまくいかなった事例も存在します。

ある企業では社内データベースに蓄積された取引先の企業情報や営業ノウハウなどのデータを加工しチューニング。営業社員がスマートフォンのチャットボットスタイルのアプリを使って、有用な情報を得られるシステムを作り上げました。目的はチャットボットに問い合わせるだけで商談に必要な情報を検索できたり、営業のやり方についてアドバイスを受けられたりできるようにするというものです。

ところがこの試みはうまくいかず、導入からわずか3カ月で営業社員のほとんどがチャットボットを利用しなくなってしまいました。原因はいろいろと考えられますが、最も大きかったのはこのシステムの内容が実際に利用する営業社員のニーズに合致していなかったことだといわれています。

チャットボットが回答するために用意された学習データは事業戦略部門が作成したもので、営業部門に対する十分なヒアリングや調査がなされていませんでした。そのため、いくらチャットボットの機能が優れていても、それを使って営業社員が本当に欲しいと考える情報、実際に仕事に役立つ情報を得ることができないという事態を招いてしまったようなのです。

ITシステムを導入する、とくにAIに関わるシステムを有用なものとして使えるようにするには、「“3+1”の壁」があるといわれます。3つの壁とは「検討の壁」「構築の壁」「導入の壁」、そして残る1つの壁は「定着の壁」のことです。

いわゆる要件定義は検討の壁に当てはまる部分ですが、まずはこれをしっかりと行わなければチャットボットの導入も成功しません。需要を確実に捉え、それに合わせて目的を定めて、目的にマッチしたチャットボットシステムを構築し導入・運用しなければならないということです。

AIチャットボットはまだまだ新しく、注目されている技術だけに、「導入すること」がゴールになってしまうことのないよう注意が必要です。

AIチャットボットを適切に活用すれば社内問い合わせ対応の工数を削減することができます。「“3+1”の壁」があることを前提として、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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