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今こそ考えたい! 製造業のテレワーク【afterコロナ・withコロナ】

製造業とテレワークはあまり相性が良いとはいえず、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、事務系など一部の部門でテレワークを行ったという製造業者でも、その後、定着に至っているケースはさほど多くないのではないでしょうか。製造業でテレワークを本格導入するには何が必要なのか、製造業のテレワーク化について考えます。

  1. 製造業のテレワーク導入は増えたのか
  2. 製造業のテレワーク化を阻む要素とは
  3. 製造業のテレワーク
  4. 製造業のテレワーク導入事例

製造業のテレワーク導入は増えたのか

新型コロナウイルスの感染拡大は、多くの業界、企業、組織のテレワーク導入を急速に進めました。2020年の夏頃には、在宅勤務をはじめとするテレワークによって働き方が変わり、Web会議システムで仕事を進めるスタイルが日常になったことが話題に上るようになりました。

2020年にテレワークを実施した企業の数は、前年に比べて大幅に増加したとされています。製造業界も例外ではありません。緊急事態宣言の期間中、自社でも何らかの形でテレワークを行ったというところは多いでしょう。ただ、緊急事態宣言解除後もそれを持続させているかどうかは別です。

事務系の部門ではテレワークを行っていたものの、開発、設計、生産部門は例外というのもよく見られたパターンです。今後も製造業の完全なテレワーク化は難しいという見方をする人が多いのではないでしょうか。

製造業のテレワーク化を阻む要素とは

では、なぜ製造業のテレワーク化は難しいのでしょうか。

まず明白なのは、生産の現場である工場内の作業とテレワークの相性が悪いことです。たとえばライン作業をテレワークで行うことは難しいでしょう。十分な作業スペース、専用の機械・設備、作業者の連携作業、点検・保守体制などがなければ製品は作れません。

開発や設計部門も似た事情があります。これらの部門は特殊な実験設備を使う、工場の設備を使って試作品を作るといったケースもあるはずです。社内のシステムやサーバーも使うとなれば、高速・大容量なデータ通信ができるネットワーク環境も整備しなければなりません。

さらに、常時テレワーク化の懸念材料となるのがセキュリティの問題です。開発や設計に関連するデータは社外への持ち出し禁止となっているのが一般的です。テレワークで使うツール、通信回線、クラウドサービスなどに対しても十分信頼に足るものかどうかの検証が必須です。

製造業のテレワーク

それでも、変化する時代への対応を考えるなら、可能な限りテレワークができる環境を作るのが望ましいといえます。コロナに限らず、災害などの不測の事態が発生しても、事業が継続できるように、また人材確保、多様な人材活用のためにも、テレワークは効果的な対策だからです。

製造業のテレワークはどうすれば定着させられるのでしょうか。まず、事務や営業などの部門でデジタル化を進めるのが先決となります。例えば、紙の書類を使わずに申請・承認ができるワークフローシステムや、ビジネスチャット、社内SNSといったアプリなどを導入し、オンラインによる情報共有・コミュニケーションができる基盤を構築します。そうすれば、テレワーク移行のためのハードルを下げられます。

開発や設計、生産部門のテレワーク化については、5Gの普及やAIの進化がカギとなるでしょう。例えば、高速通信でリアルタイムに工場内を監視したりデータを収集したりすることで、問題が発生していないかを確認し、発生した場合は現場にいる作業員にチャットなどを使って指示をだすといった方法が考えられます。また、社内の設備を自宅から遠隔操作できるようにすることで、テレワーク導入の妨げとなっている器機の持ち出しができないといった問題をクリアできます。熟練の技や高い専門性が求められる業務であっても、AIに学習をさせることで現場での対応をAIに任せられる可能性もあります。

今後テクノロジーの進歩によって、さらに有用なツールやサービスが生まれてくると考えられます。事務系の業務に限らず、他の仕事でもテレワークが可能な環境が整えられていくはずです。現段階で、「できるところからテレワーク化」を推し進めれば、必ず将来への投資となるでしょう。

製造業のテレワーク導入事例

ある大手菓子メーカーではコロナ対策として、開発部門や工場内作業者以外のオフィス勤務者は、「原則としてテレワーク」という働き方を強力に推進しています。オフィスへの出社は創造性や効率性の向上、直接の意思疎通が必要な場合に限って認められます。またフレックス勤務のコアタイム廃止、単身赴任の解除、通勤定期券代の支給停止とモバイルワーク手当支給なども制度化しました。

特筆したいのは、この会社では開発部門の人間や工場作業者であっても、出社が義務付けられているわけではないという点です。データ分析などの業務に携わる日は、自分でテレワークを選べます。その日テレワークで働くかどうかは、社員自身が決められます。これはもともと主体性を持って働くことが重要になるテレワークと親和性の高い考え方なのでしょう。

もう一つ別の事例を挙げます。ある大手自動車メーカーもコロナ対策として在宅勤務制度の拡充に踏み切ったことで話題になりました。事務職や技術職の若手、育児・介護で時短勤務中の社員を在宅勤務の対象としている他、制度の恒久化も検討しているとの発表がニュースになりました。

この企業もまた、生産性向上の観点から、工場勤務者に在宅勤務を導入できないかを検討しています。有名メーカーによるこうしたテレワーク化への取り組みは、製造業界に大きなインパクトを与えています。工場の仕事をテレワークで行うことは、まったく不可能というわけではないのかもしれません。

製造現場から人間がいなくなるのは、AIやIoT、ロボット技術などが十分に発展した未来の話でしょう。しかし、製造業のテレワーク化はそこへ至る前のプロセスと捉えることもできます。まずはできるところから、テレワーク化の定着を考えてみてはいかがでしょうか。

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