ワークスタイル
テレワークの種類とそれぞれのメリット・デメリット

時間や場所にとらわれない働き方として普及が進んでいる遠隔勤務形態、テレワーク。国が推進するプロジェクト「働き方改革」の一環として各企業で実施されていますが、総務省の「情報通信白書平成29年版」によると、導入した企業の多くが、業務の生産性や効率性の向上に効果があることを認めています。今、注目されるテレワークにはどのような種類があるのか、種類によるメリット・デメリットとともにご紹介しましょう。
テレワークの種類その1:雇用型
まず、社員として企業に雇用されている状態でのテレワークから説明しましょう。雇用型テレワークには次の3種類があります。
1-1.在宅勤務
自宅を就業場所として業務に携わるスタイルのテレワークです。会社とのやりとりは主にパソコンや電話、FAXなどで行います。また、メッセンジャー(チャットツール)やWeb会議システム、業務ログを収集して管理できる業務ログ管理システムなども必要に応じて利用されます。企業によって、すべての労働日を在宅勤務にあてる場合もあれば、週に数日だけテレワークを利用できるといったルールを設けている場合もあります。
1-2.モバイルワーク
顧客先や移動中のカフェなどでパソコン、スマートフォン、タブレット、携帯電話などを使って働くスタイルのテレワークです。このモバイルワークは営業職などの職種でよく活用されています。モバイルワークを導入するには、社外からオフィスの自席パソコンにアクセスできるリモートアクセスシステム、業務報告をタブレットで送れる業務報告システム、業務ログ管理システムといったソリューションの活用が不可欠です。
1-3.施設利用型勤務
サテライトオフィスと呼ばれる自社で用意するテレワーク用のオフィス、あるいは複数の企業や個人が利用する共同利用オフィス、ワークスペースなどを就業場所とするテレワークです。主に通勤負担の軽減、郊外エリアなど地域との連携、生産性・効率の向上を目的として導入されています。
在宅勤務と施設利用勤務それぞれのメリットとデメリット
次に、在宅勤務と施設利用型勤務のメリットはどう違うのか、それぞれの注意点も含めてご紹介します。
在宅勤務
在宅勤務の第一のメリットは通勤時間が発生しないことです。通勤ラッシュによるストレスもありません。また、子育てや介護をしながら仕事ができることも大きなポイントです。経営者側からみた場合には、ワークライフバランスが最適化されることによる生産性の向上や、優秀な人材の獲得を期待できることがメリットとなります。
一方、デメリットとして、家庭内雑務に気をとられたり、ワークスペースが狭かったりといった条件が重なって、業務遂行が阻まれることが考えられます。
また、細かい点ですが、作業時の電気代をはじめとする業務上のコストと生活費とを切り分けづらいため、従業員がコストを自費負担するケースもあります。
施設利用型勤務
施設利用型では、サテライトオフィスなどに通うための通勤時間は発生しますが、施設は本社や支社よりも近い場所にあることが多く、通勤時間は短くなるのが一般的です。
また、周囲に同じようにテレワークで働く人がいて、テレワーカーが孤立感を感じづらいのも良い点でしょう。自宅に就業環境を作れない人でも受け入れられる点は、経営者側からみてもメリットと言えます。さらに、サテライトオフィスを設置すれば、モバイルワークで働く従業員の臨時拠点として利用できるのも見逃せないポイントです。
デメリットとしては、オフィスの賃料や利用料が発生することが挙げられます。賃料の安い郊外エリアに施設を作るなど立地を考える必要があるでしょう。また、共同利用オフィスの場合は、ショルダーハッキングと呼ばれる画面覗き見や、端末の紛失・置き忘れなどのセキュリティ事故発生のリスクが増大する可能性があります。
テレワークの種類その2:自営型
雇用型と異なる、自営型(非雇用型)と呼ばれるテレワークもあります。企業や団体に雇用されていない人が、ICTや情報通信機器を使って働くスタイルです。フリーランス、在宅ワーカー、ノマドワーカーなどとも近い働き方ですが、テレワークにおいては次の2種類の名称で分類されています。
2-1.SOHO
専業性、独立自営の度合いが高い人の自営型テレワークをSOHOと呼んでいます。特徴は特定の事業に従事し、個人事業主的経営者意識が高く、営業活動や宣伝活動にも積極的であることです。自宅やレンタルオフィスで仕事をしますが、取引先へも必要に応じて出向きます。
2-2.内職副業型勤務
専業性が比較的低く、容易な業務を中心に行うスタイルの自営型テレワークは、内職副業型勤務と呼ばれます。案件はクラウドソーシングサイトなどから探すことが多く、得られる収入もSOHOに比べると低めです。副業として行っている人もいます。ほとんどの仕事は自宅内で完結するのが一般的です。
今後、時代の要請により企業のテレワーク導入や活用が増えていけば、テレワークの種類ももっと細かい分類が必要になっていくかもしれません。
また、テレワーク環境を整え、柔軟な働き方を支えるテレワークソリューションも広がりをみせています。テレワーク導入にあたっては、どのようなスタイルのテレワークが自社の目標を達成するためにマッチするか、メリットを最大化するためにはどんなソリューションを活用すべきかをご検討ください。