ワークスタイル
「テレワークは不可能だと思う」人が約6割〜理由別の解決方法を探る〜
テレワークという勤務形態が一般的になってきた現在ですが、テレワークを導入できずにいるという企業もまだまだ多いものです。
それでは、未導入の企業にはどのような事情があるのでしょうか。テレワークに関するアンケート調査の結果から探ってみました。
業種や企業の体質から、テレワークはそもそも不可能だとあきらめている人も多いようです。しかし、本当に不可能なのでしょうか? テレワークに向かないとされる業種でもテレワークを可能にした事例などについても本記事で解説します。
【アンケート調査概要】
- 有効回答数:4,371名(事前調査)、110名(テレワーク未導入者への調査)
- 調査期間:2021/06/28〜2021/07/09
- 調査対象:東京都在住、30歳以上の会社員、経営者・役員
- 調査方法:Webアンケート
「テレワークは不可能だと思う」と答えた人は64.9%
まず、テレワーク導入状況に関する事前調査を行ったところ、「自身が所属する部署でテレワークが導入されている」人が50.9%、「所属する部署ではテレワークが導入されていないが、企業内では一部導入されている」人が10.7%、そして「企業全体においてテレワークが導入されていない」と答えた人は30.2%となりました(※)。
※その他、「所属する部署ではテレワークが導入されておらず、企業内の他の部署で導入されているかはわからない」が4.0%、「答えられない」という方が4.1%います。
5割以上の会社でテレワークが導入されていると推測できる結果となりますが、やはり導入されていない企業もまだまだ多いことがわかります。
そこで、所属する部署でテレワーク未導入の方に「所属する部署の仕事内容として、テレワークが可能なものかどうか」についても質問してみました。
「不可能だと思う」の割合が64.9%と、非常に高い結果となりました。「可能だと思う」(13.2%)よりも、「どちらともいえない」(16.8%)の方が割合は高く、自身で可能かどうかの判断は難しい、もしくは状況や方法次第といった方も多いだろうことがわかります。
テレワーク未導入なのが、検討の結果そうなったのか、検討もされなかったのかについても確認してみました。結果は以下のように、「導入の検討もされなかった」が51.9%と半数を超えていることがわかります。
不可能と思うと答える方が多い中、導入の検討もされなかったケースが多いことがわかりました。
それでは、多くの方が思うように、本当に「テレワークは不可能」なのでしょうか?
不可能との回答があった業種でのテレワーク事例
なぜテレワークが不可能なのかを具体的に聞くと、業種や業務内容を理由に挙げた人が特に多い結果となりました。確かに業種によって導入が難しいことはありますが、部分的なテレワークなどで成功している例はあります。業種別の事例を見てみましょう。
製造業・建設業におけるテレワーク事例
製造業・建設業の方からは、「製造業のため、出社しての業務が必須」「現場作業と事務所内の業務が一体だから。テレワークで現場作業はできません」といった回答がありました。やはり、現場でないと作業ができない仕事内容であるケースが多いようです。
しかし、そのような製造業・建設業でもテレワークに取り組んでいる例はあります。
一つ目は、テレワークが可能な業務を見つけ出し、不可能な業務とは切り分けてテレワークで対応している企業の例です。この企業では、工場の設備が不要な作業、例えば部品の取り付けや研磨作業、検品などを自宅でできるようにしています。
IoTの技術を駆使した、自宅で作業できるキットを用意した企業もあります。この企業では、作業状況の管理などもクラウドのシステムを使って丁寧に行っているそうです。
二つ目は、特定の業務だけテレワーク化する例です。事務作業はもちろん、現場監督だけテレワークにし、遠隔操作できるロボットで業務を行うといった例もあります。これにより現場監督は、現場にいるような感覚で指示を出しつつ、現場作業以外の業務にも集中できるようになったといいます。
医療・福祉業におけるテレワーク事例
医療・福祉業の方からは、「患者への対応が必要」「介護施設で対応が不可」といった回答があり、「医療だから」「病院だから」「介護施設だから」といった、仕事内容や職場を理由に不可能としているケースが多く見受けられました。
しかし、医療・福祉業でもICTを導入する流れは加速しており、テレワークを可能にする技術も多く取り入れられています。
訪問介護における例として、「業務内容の記録は紙に手書き」が当たり前だったものを、スマートフォンに専用のアプリを入れ、そこから記録するようになった企業があります。
書類を作成するために、毎日必ず事務所に戻らざるをえなかったのが、これにより直帰可能になり、業務効率も大幅にアップしたそうです。
病院においては、これまで医師が手分けして行っていた読影業務、画像診断業務を、在宅勤務者が集中して行うようになったという例があります。在宅とはいっても専用の機器を用意し、セキュリティも万全となるよう徹底されています。
この病院では、在宅勤務を希望する人が増え、人材確保も難しいといった状況の中で実施し、結果テレワークを実現させただけでなく、在宅勤務を行わない医師の負担軽減にもつながったといいます。
小売業・サービス業におけるテレワーク事例
小売業・サービス業の方からは、「対面必須だから」「実店舗での営業形態をとっている小売業では、ほとんど同じ状況(テレワークができない状況)」といった回答がありました。
しかし、実は遠隔での接客サービスを導入するお店、スポットもじわじわと増えてきています。
ディスプレイにスタッフの映像、もしくはアバターを表示させ、実際に対面で相談しているのと変わらない感覚でお客さまに利用してもらうようなサービスです。
当システムを使ったテレワーク勤務者は、居住地に縛られず、どのような場所からでも対面サービスを提供できることになります。
また、ディスプレイのみならずロボットを導入し、テレワーク勤務者がロボットを遠隔操作し、飲食店などで接客するケースもあります。
このように、「対面だとテレワークできない」という固定観念を壊す事例も続々と生まれているのです。
古い体質にある企業でテレワークを導入するには
テレワークが不可能な理由として、業種に次いでよく挙げられているのは、企業の体質についてでした。
「社長が(テレワークは)効率が悪いと思っており、誰も説得できない」「経営陣に導入意志がみられない」「アナログ体質に慣れてしまっているため体制作りから始めなくてはならない」といった回答があります。
効率の低下という点においては、テレワークが浸透してきた現在、逆に生産性が高まる結果となるケースが多いことがわかってきています。
「テレワーク=さぼりやすい」という固定観念をお持ちの場合もありますが、逆に今問題となっているのは、テレワークによる長時間労働化(つまり、働き過ぎ)です。
このように誤解があるケースも多いと考えられるので、まずはテレワークの現状を知ること(もしくは経営陣に知ってもらうこと)が大事です。以下のようなレポートを一度ご覧になるといいかもしれません。
「新展開を迎えた働き方改革・テレワーク推進〜コロナ下における課題と取組〜」(一般社団法人日本テレワーク協会)
むしろテレワークを活用しないと、他社に追い抜かれ、人材も失ってしまうリスクに晒されるのだという考え方にシフトしていくことも必要でしょう。テレワークの導入により採用の幅が広がり、遠隔地の優秀な人材が獲得できるというメリットもあります。
古い体質でテレワーク導入に消極的な場合は特に、導入にかかる費用が引き合いに出されることもあるかもしれません。そのような場合、以下のような、国、自治体からのテレワークの支援、補助金を確認してみましょう。
人材確保等支援助成金(テレワークコース):厚生労働省
中小企業事業主が助成対象で、良質なテレワークの新規導入・実施が求められる助成金です。外部専門家によるコンサルティング、テレワーク用通信機器の導入・運用の他、労務管理担当者や労働者に対する研修も支給対象となる経費に含まれます。
受給要件などはこちらからご確認ください
人材確保等支援助成金(テレワークコース)
テレワーク促進助成金:公益財団法人 東京しごと財団
東京都内の中堅・中小企業等のテレワーク機器・ソフト等の環境整備に係る経費を助成する制度です。東京都に限らず、このように地元企業のテレワーク支援を行う自治体はたくさんあります。確認してみましょう。
テレワークを成功させるには、経営陣や社員のテレワークに関する理解、ツールの活用ノウハウなどが重要になってくることもわかっています。研修の実施やコンサルティングなどに投資する検討もしてみましょう。
日立ソリューションズ・クリエイトでできること
テレワーク導入を検討される際は、日立ソリューションズ・クリエイトにお任せください。
企業のテレワーク導入を支援するさまざまなソリューションを提供しています。
例えば、リモートアクセスシステムの「DoMobile」を使えば、テレワーク環境が簡単に構築できます。従業員が手持ちのPCやタブレットで社内の端末をセキュアな環境で操作でき、月額料金は1,500円(税別)/ユーザーからとなっています。
製造業でも導入されている企業は多く、ある企業では時短勤務者や復職を支援するツールとしても活用いただいています。また、営業職や施工管理といった外出の多い部門の生産性を向上させるために導入いただいた企業もあります。利用頻度の高かった社内業務をDoMobileを使って社外でも行えるようにし、業務効率が向上したとのことです。
また、業務の見える化に役立つ「快作レポート+」も提供しています。社外からの業務報告を収集し、各種ログの分析も可能なので、生産性の向上、労働時間の是正などにも有効です。
日立ソリューションズ・クリエイトでは、これまで業種を問わずさまざまな企業のテレワーク導入を支援してきました。業種や状況などによりテレワークの導入は難しそうだという企業でも、解決策のご相談が可能です。ぜひ一度ご相談ください。
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