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セキュリティ

特権ID管理とは? 方法や押さえておきたいポイントなどを解説

情報セキュリティがますます重要視される現代、企業はサイバー攻撃や内部不正から自身を守るための対策を講じる必要があります。その中でも特に注目されているのが「特権ID管理」です。なぜなら、特権IDとその管理方法について理解することは、企業のセキュリティ対策における基礎ともいえるからです。

本記事では、特権ID管理の基本から具体的な管理方法、管理における課題と解決策について解説していきます。

  1. 特権ID管理の基本
  2. 特権ID管理の具体的な方法
  3. 特権ID管理の課題と解決策
  4. 特権IDを適切に管理していきましょう

特権ID管理の基本

はじめに、特権ID管理の基本として特権IDの概要から、リスクと潜在的な脅威について見ていきましょう。

特権IDとは

特権IDとは、システムやネットワーク上で特別な権限が付与されたアカウントのことを指します。これらのアカウントは、一般的なユーザーIDとは異なり、システム設定の変更やデータのアクセス制限解除、ユーザーアカウントの管理など、広範囲にわたる操作が可能です。

管理者アカウントやシステムアドミニストレータのIDが典型的な例です。Windowsであれば「Administrator」、macOSやLinux/Unixであれば「root」といった名前となっています。

特権IDのリスクと潜在的な脅威

特権IDのリスクは、権限の高さゆえに、そのアカウントが不正に利用された場合に企業全体に甚大な被害をもたらす可能性がある点にあります。不適切な管理が引き起こすリスクと、それによって生じるセキュリティ問題の例としては「ランサムウェア攻撃」や「内部不正」などが挙げられるでしょう。

ランサムウェア攻撃は、重要なデータを暗号化して身代金を要求するサイバー攻撃ですが、マルウェア感染などをきっかけに特権IDが奪われてしまうことで引き起こされます。

内部不正は、特権IDを持つ従業員が、不正な意図でデータにアクセスし、情報漏えいやシステム破壊を行うことです。特権ID管理がしっかり行えていない場合、本来なら権限を持たない従業員が特権IDを奪う、ということも考えられるでしょう。その他にも、特権IDを利用して重要なデータやシステム設定を不正に変更するデータ改ざんなどのリスクも考えられます。

特権ID管理の具体的な方法

特権IDの具体的な管理方法については、基本的な考え方を知った上で特権ID管理ツールなどを利用します。

特権IDの管理手法

特権ID管理を効果的に行うためには、次の3点が重要です。

  • アクセス制御
  • パスワードの管理
  • 利用状況の監視

まずは、特権IDの利用を必要最小限に制限し、権限の分離を徹底します。特権IDを利用できる人物や機会を減らすことが重要です。加えて、特権IDの認証パスワードを強力なものにし、定期的な変更を義務付けることで、セキュリティを強化します。よりセキュリティを強化する場合には、多要素認証の導入も検討するとよいでしょう。

さらに、特権IDの利用状況は常に監視しておきます。アクセスログなどの記録の収集と分析を行い、常時監視状態であれば不審な行動を即座に検知でき、不正アクセスなどが発生した際に早期発見することが可能です。

特権ID管理ツールの選び方

特権IDの管理を人の手ですべて行おうとすると、煩雑になりやすいため推奨されません。特権ID管理ツールを利用して、効率的に管理することが推奨されます。

特権ID管理ツールは「リアルタイム監視」や「ログ管理・分析」「申請ワークフロー管理」「認証の強化」などの機能が備わっています。特権管理ツールを選ぶ際には、自社のシステムや運用状況に応じて、次のような点を中心に選ぶとよいでしょう。

  • どのような機能が必要となるか
  • 自社のシステム・運用状況に適合するか
  • 高い費用対効果が見込めるか

これらを考慮し、適切に特権ID管理ツールを導入できれば、アクセス制御や利用状況の監視を自動化し、多要素認証などを導入することでより強固なセキュリティ環境の構築が可能です。

特権ID管理の課題と解決策

最後に、特権ID管理における課題とその解決策について、簡単に解説します。

パスワードの管理

特権IDのパスワード管理は、最も基本的でありながらも重要な課題です。強力なパスワードを設定し、定期的に変更することが必要ですが、手動での管理には限界があります。

そこで、パスワード管理ツールの導入が有効です。パスワードの生成、保存、変更を自動化し、セキュリティを強化できます。特権ID管理ツールを選ぶ際には、パスワード管理の機能についてもチェックしておきましょう。

特権ID悪用のリスク

特権IDの悪用リスクを軽減するためには、使用状況の監視と異常検知が不可欠です。監視ツールを導入し、リアルタイムでの監視を行うことで、不正利用の早期発見と迅速な対応が可能になります。また、定期的なセキュリティ監査を実施し、管理体制の見直しを行うことも重要です。

特権IDの割り当て状況の把握

特権IDの割り当て状況を把握することは、管理の基本です。すべての特権IDを一覧化し、誰がどの権限を持っているのかを常に把握する必要があります。自動化された管理ツールを利用することで、特権IDの割り当てと変更を追跡し、適切な管理が行えます。

特権IDによる操作の監視

特権IDによる操作は、通常のユーザー操作とは異なり、高リスクの操作が含まれるため、詳細な監視が求められます。操作ログを収集し、定期的にレビューすることで、異常な操作を早期に発見し、対応できます。また、監視結果をもとに、さらなるセキュリティ強化策を講じることも重要です。

特権IDを適切に管理していきましょう

特権ID管理は、企業のセキュリティを守るために欠かせない重要な取り組みです。適切な管理手法とツールを導入し、常に最新のセキュリティ対策を講じることで、リスクを最小限に抑えられます。特権ID管理を徹底し、サイバー攻撃や内部不正から企業を守りましょう。

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