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サンドボックスとは? 仕組みやメリット・デメリットなど

サイバー攻撃の多様化、巧妙化が進む中で、サンドボックスの仕組みを備えたセキュリティ機構は重要な役割を担います。しかし「サンドボックスという言葉は知っているが、具体的なことについてはよく分からない」という方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、サンドボックスの基本的な知識として必要とされる背景や仕組みを解説し、サンドボックスが持つメリットやデメリット・注意点を解説します。

  1. サンドボックスとは
  2. サンドボックスが必要とされる背景
  3. サンドボックスの仕組み
  4. サンドボックスのメリット
  5. サンドボックスのデメリットや注意点

サンドボックスとは

サンドボックスは日本語に訳すと「砂場」になりますが、IT用語としてはコンピューターの中に隔離された仮想的な空間を表す言葉です。ソフトウェアによってコンピューターの環境を模した仮想的な擬似環境を作り出し、その中でアプリケーションなどを実行します。サンドボックスはパソコンだけでなく、iPhoneやiPadなどでも利用されており、セキュリティを高めるための技術として活用されています。

サンドボックスが必要とされる背景

近年、サイバー攻撃は多様化、巧妙化が進んでおり、企業が持つ情報資産は大きな価値があるものとして狙われるようになりました。特に、企業の情報資産を狙い、取引先や顧客などを装って特定の人物を狙い撃ちにする「標的型攻撃メール」の危険性が増しています。マルウェアも進化し続けており、従来のパターンマッチングでは未知のマルウェアを検出できず、サンドボックスのような仕組みが必要とされるようになりました。

サンドボックスで実行されたアプリケーションなどは、疑似環境の外にはアクセスできません。そのため、サンドボックス内でマルウェアを実行してもコンピューターには影響がありません。この仕組みを活用することで、未知のマルウェアを実際にサンドボックス内で実行し、振る舞いから検出することが可能です。

サンドボックスの仕組み

例えば、メールのセキュリティ製品であれば、受信したメールの添付ファイルをチェックします。はじめに仮想環境化で添付ファイルを検証し、マルウェアの疑いがある場合にはサンドボックス内で実際に実行します。前述のとおり、サンドボックスは隔離された仮想環境であるため、サンドボックス外へは影響が及びません。

サンドボックスで実行した結果、マルウェアの振る舞いが検出できればマルウェアとして判定し、処理することができます。反対に、マルウェアの振る舞いが検出できなければ安全なファイルとしてクライアントに送信することができるという仕組みです。

この仕組みであれば、標的型攻撃やゼロデイ攻撃にも対応できるため、近年のセキュリティ技術として欠かせないものとなってきています。

サンドボックスのメリット

サンドボックスを活用するメリットとしては、主に次の3つの点が挙げられます。

標的型攻撃への対策

ここまでにもお話ししたとおり、サンドボックスは隔離された環境下で実際に実行してマルウェアかどうかを検証できるため、標的型攻撃やゼロデイ攻撃への対策となります。標的型攻撃やゼロデイ攻撃は、IPAが公表する「情報セキュリティ10大脅威2023」においても、組織部門で3位と6位に挙げられるほど危険視されています。このことからも、近年のセキュリティ対策として欠かせないことが分かるでしょう。

未知の脅威にも有効

従来のマルウェアを検出する仕組みは、マルウェアの特徴を照らし合わせるパターンマッチングでした。しかし、パターンマッチングでは未知のマルウェアに対応できません。サンドボックスであれば、実際に実行した上で振る舞いを確認できるため、未知のマルウェアに対しても有効です。

システムの導入が容易

サンドボックスはコンピューター内に仮想的な環境を作り出すことから、導入に際して既存のネットワーク構成などを大きく変更する必要がありません。アプライアンス製品であれば、従来のネットワーク構成に付け加えるだけでサンドボックスによるセキュリティ対策が実現できるものもあります。

サンドボックスのデメリットや注意点

さまざまなメリットがある反面、利用する際に気をつけるべきデメリットや注意点も存在します。

マルウェアを検出できないケースもある

攻撃者側もサンドボックスに対応するようにマルウェアを作成する可能性があり、必ずしもすべてのマルウェアが検出できるというわけではありません。例えば、マルウェアがサンドボックスを検出し、サンドボックス環境内では動作しないようになっている場合があります。そのため「サンドボックスを利用しているから絶対に安心」というように過信しないように注意する必要があります。

検証に時間がかかる

サンドボックスの仕組み上、仮想的な環境下で実際にファイルを実行して動作をチェックするため、検証にはある程度の時間がかかります。導入する際には、業務への影響も考慮した上で、検討を進めなければなりません。

導入コストが高い

サンドボックスの機能を備えるセキュリティ製品の多くは、価格が高い傾向にあります。初期導入費用はもちろんのこと、適切に運用するためには専門的な知識を持つ人材の存在が欠かせず、運用コストも無視できません。コストがかかることを念頭に置き、費用対効果をしっかりと検証した上で導入を検討する必要があります。

サンドボックスはコンピューター内に隔離された仮想環境を作り出す技術であり、セキュリティを高めるために利用されます。標的型攻撃やゼロデイ攻撃など、従来のセキュリティ対策では対応が難しいサイバー攻撃もサンドボックスであれば対応できます。サンドボックスのメリット・デメリットを理解した上で、セキュリティ向上のために導入を検討してみてはいかがでしょうか。

日立ソリューションズ・クリエイトでは、標的型攻撃などの危険性の高いメールを排除する「Barracuda Email Security Gateway」を提供しています。配送段階からメールを保護し、高確率で標的型攻撃メールを検出できる製品です。標的型攻撃メールへの対策を検討されている場合は、ぜひ一度ご相談ください。

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