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セキュリティ

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?目的・仕組みから導入の課題まで解説

サプライチェーンを取り巻くリスクの高まりを背景に、サプライチェーン全体の把握・強靭化(きょうじんか)の重要性が指摘されています。この記事では、サプライチェーンマネジメント(SCM:supply chain management)の概要から、必要とされる理由、目的、仕組み、メリット・デメリットに至るまで、詳しく解説します。

  1. サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?
  2. サプライチェーンマネジメントが必要とされる理由
  3. サプライチェーンマネジメントの目的
  4. サプライチェーンマネジメントの仕組みと主な機能
  5. サプライチェーンマネジメントのメリット・デメリット
  6. まとめ

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?

サプライチェーンマネジメント(SCM)を理解するために、まずは「サプライチェーン」そのものについて説明します。

サプライチェーンとは、商品の原材料調達から生産、流通を経て消費者に届くまでの、一連のプロセス全体を指します。そして、サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、このサプライチェーンにおける「モノ(製品・部品)」「カネ(資金)」「情報」という各要素の流れを統合的に管理し、企業や組織の壁を越えて連携することで、プロセス全体の最適化を図る経営管理手法です。

従来は、各企業や部門が個別に最適化をめざす「部分最適」が主流でした。しかし、部分最適は、サプライチェーン全体で見ると過剰在庫や品切れといった課題を引き起こす原因となり得ます。そのため、全体最適を実現するサプライチェーンマネジメントが重要です。

サプライチェーンマネジメントが必要とされる理由

サプライチェーンマネジメントがこれほどまでに重要視されるのでしょうか。その背景には、現代のビジネス環境における、主に次のような変化が挙げられます。

ビジネスモデルの多様化と複雑化

近年、サブスクリプションやD2C(Direct to Consumer)など、新しいビジネスモデルが次々と生まれています。これにより、消費者への製品の届け方が多様化し、サプライチェーンはより複雑な体制になっています。

企業のグローバル化

企業のグローバル展開が加速し、原材料の調達先や製品の販売先が世界中に広がっています。これにより、国境を越えた全体像を把握し、管理する必要が出てきました。

競争の激化と顧客ニーズの多様化

市場の競争は激化し、顧客はより迅速な納品、より高い品質、そして個別化された製品を求めるようになっています。これらの需要に的確に応えるためには、サプライチェーン全体の効率化が不可欠です。

労働人口の減少と働き方改革

少子高齢化に伴う労働人口の減少は、特に製造業や物流業界において深刻な問題となっています。限られた人的リソースで高いパフォーマンスを維持するためには、業務の効率化が急務であり、その解決策としてサプライチェーンマネジメントが注目されています。

予測困難な外部環境の変化

自然災害、地政学的リスク、そしてパンデミックのように、予測困難な事態がサプライチェーンに大きな影響を与えるリスクが常に存在します。こうした不確実性の高い状況下で安定供給を維持するためにも、サプライチェーン全体の可視化と強靭化が求められています。

このような背景から、原材料の調達から消費者に製品が届くまでのサプライチェーン全体を最適化するサプライチェーンマネジメントの必要性が高まっています。

サプライチェーンマネジメントの目的

サプライチェーンマネジメントの最終的な目的は、サプライチェーン全体の連携を強化・効率化し、顧客への安定供給とコスト効率の両立、ひいては企業価値の向上を図ることです。結果として、在庫圧縮などを通じてキャッシュフロー改善にもつながります。 具体的には、以下の3つの最適化をめざします。

  • 在庫の最適化によるコスト削減:需要予測の精度を向上させ、適切な生産計画と在庫管理を行うことで、過剰在庫や在庫切れを防ぎます。これにより、在庫保管コストや廃棄ロスを削減し、コスト削減につながります。
  • リードタイムの短縮による顧客満足度の向上:調達、生産、配送といった各プロセスの連携を密にすることで、製品が顧客に届くまでの時間(リードタイム)を短縮します。迅速な納品は、顧客満足度の向上に直結します。
  • 経営資源の最適化:需要と供給の状況を正確に把握することで、人員、設備、資金といった経営資源を最も効果的な場所に配分できます。これにより、経営全体の効率が向上します。
  • これらの目的は、部分的な業務改善だけでは達成できません。サプライチェーン全体を俯瞰(ふかん)し、統合的に管理することで初めて実現可能となるのです。

サプライチェーンマネジメントの仕組みと主な機能

サプライチェーンマネジメントは、多くの場合、専用のIT システムを活用して実現されます。このシステムは、サプライチェーンに関わる複数の企業や部門間で分断されがちな情報を一元管理し、可視化する機能を持っています。

サプライヤーからメーカー、物流業者、小売業者、消費者まで、「モノ」「カネ」「情報」の流れを統合することで、最適な供給計画を立案します。

具体的には、以下のような流れで機能します。

  • 需要予測:販売実績、受注情報、市場トレンドなどを分析し、将来の製品需要を予測します。
  • 在庫計画:予測された需要に基づき、各拠点(工場、倉庫、店舗)で維持すべき最適な在庫水準を計画します。
  • 生産計画:在庫計画と生産能力を考慮し、いつ、どこで、何を、どれだけ生産するかを計画します。これにより、部品の調達計画も立てられます。
  • 配送計画:製品をどのルートで、いつまでに顧客に届けるか、最も効率的な配送ルートとスケジュールを計画します。これらの計画は、ITシステム上で常に情報が共有・更新されることで、急な需要変動や供給の問題が発生した際にも、迅速に対応できます。この仕組みこそが、サプライチェーン全体の最適化を構築する上での核心部分です。

サプライチェーンマネジメントのメリット・デメリット

メリット

サプライチェーンマネジメントを導入し、IT システムを活用することで、「モノ」「カネ」「情報」を全体で共有できるようになり、多くのメリットが生まれます。

  • 正確な需要予測と在庫の最適化:リアルタイムの需要情報をサプライチェーン全体で共有することで、予測精度が向上し、過剰在庫や機会損失を回避できます。これが直接的なコスト削減につながります。
  • リードタイムの短縮:生産・製造に必要な期間であるリードタイムを正確に把握し、短縮することが期待できます。これにより、顧客への迅速な納品が実現します。
  • 品質の向上:適切な仕組みを整えることで、部品の調達から製品の製造、顧客への納品まで、プロセス全体のトレーサビリティが確保される、品質管理レベルが向上します。問題発生時にも、原因の特定が迅速に行えます。
  • 人的リソースの適切な管理:業務プロセスが標準化・効率化されることで、従業員はより付加価値の高い業務に集中できるようになり、人的リソースの適切な配分が可能になります。

デメリット

一方で、サプライチェーンマネジメントの導入には、以下のような課題やデメリットも存在します。

  • システム導入コストと手間:サプライチェーン全体をカバーするIT システムの導入には、高額な初期投資と、業務プロセスに合わせたカスタマイズが必要です。
  • 企業間・部門間の連携:成功のためには、複数の企業や部門をまたいだ密な連携と協力体制の構築が不可欠ですが、利害が異なる場合もあり、合意形成や運用定着に時間と労力がかかることがあります。
  • 導入から効果発現までの時間:システムを導入し、業務プロセスを改革してから、その効果が安定して現れるまでには、多くのマンパワーと時間が必要です。一朝一夕で実現できるものではありません。
  • サプライチェーンへのサイバー攻撃リスク:サプライチェーンマネジメントの重要性が増す一方で、そのサプライチェーンを狙ったサイバー攻撃のリスクも高まっています。セキュリティが比較的ぜい弱な取引先や子会社を踏み台にして、標的となる大企業のネットワークに侵入する「サプライチェーン攻撃」には、細心の注意が必要です。

まとめ

サプライチェーンマネジメントを構築・運用する際には、自社だけでなく、サプライヤーから販売先に至るまで、関係するすべての組織を含めた包括的なセキュリティ体制の構築が極めて重要になります。適切なセキュリティ対策のためには、専門的な知識とスキルが必要です。

日立ソリューションズ・クリエイトでは、サイバーセキュリティインシデントに対する事業継続を支援するソリューションも提供しています。「企業セキュリティレーティングサービス」は、サプライチェーンを構成する企業のセキュリティリスクを評価・可視化し、リスクの高い企業を特定します。また、「ネットワーク脅威検知ソリューション」では、検知した脅威に対して迅速な対応が可能となり、より強固なサプライチェーンセキュリティを実現します。 サプライチェーン全体のセキュリティ強化にご興味をお持ちでしたら、お気軽にご相談ください。ぜひ一度お問い合わせください。

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