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セキュリティ

脅威インテリジェンスとは? 企業防衛の新常識

サイバー攻撃は日々進化し続けており、企業防衛の常識も大きく変わってきています。そうした中で注目されているものが「脅威インテリジェンス」です。攻撃者の動向を先回りして把握し、リスクを可視化、対策することで、従来のセキュリティでは防げなかった被害も最小限に抑えられます。
この記事では、脅威インテリジェンスの基礎知識から、活用方法とメリット、課題と対策について解説していきます。

  1. 脅威インテリジェンスの基礎知識
  2. 脅威インテリジェンスの活用方法と企業へのメリット
  3. 脅威インテリジェンス導入時の課題と対策
  4. 脅威インテリジェンスを活用した企業防衛

脅威インテリジェンスの基礎知識

はじめに、脅威インテリジェンスの基礎知識として、概要からその重要性について見ていきましょう。

脅威インテリジェンスとは

脅威インテリジェンスとは、サイバー攻撃者の意図や手法、攻撃パターンなどを多角的に収集・分析し、企業のリスク低減に役立てる知識や情報の総称です。これは単なる情報の集約ではなく、実用的な洞察を導き出し、攻撃の予測や迅速な対応を可能とするものです。収集する情報はインターネット上の公開情報だけでなく、セキュリティベンダーから提供される脅威情報や業界ごとのインシデント情報など、多岐にわたります。

脅威インテリジェンスの重要性

サイバー攻撃は年々、巧妙化・複雑化が進んでおり、従来型の対策では不十分になってきています。このような変化に対し、最新の脅威動向を把握して先手を打った対策が欠かせません。企業が持つ情報資産やサービスは、攻撃者にとって格好の餌食となり、企業運営を続ける中でこれらを守ることの重要性はいうまでもないでしょう。脅威インテリジェンスはサイバー攻撃に合わせて進化した、次世代に欠かせない防御策の一つなのです。

脅威インテリジェンスの活用方法と企業へのメリット

脅威インテリジェンスがもたらす企業へのメリットと併せて、活用方法について簡単に解説します。

情報収集と分析によるリスクの可視化

脅威インテリジェンスは、インターネット上の公開情報(サーフェスウェブ)やダークウェブ、業界情報などの多様なソースから脅威情報を収集します。それらの情報は、AIや専門家による分析によって、自社に関連するリスクや攻撃傾向を明確化するために活用されます。この分析結果をレポート化し、経営層や現場で共有することで、リスクを可視化して組織全体の危機意識を高めることが可能です。

セキュリティ対策の優先順位付けと効率化

企業はさまざまな脅威にさらされていますが、全ての脅威に対して均等に対応することは非現実的です。脅威を優先順位付けし、対策すべき脅威に注力することが重要です。脅威インテリジェンスを活用すれば、現実的なリスクに絞った「リスクベース型」の対策が実現できます。企業内の攻撃されやすい資産やぜい弱性を特定し、対策の優先順位を明確化することが可能です。優先順位付けによって限られたリソースを最大限に活用できるようになり、セキュリティ運用の効率化にもつながります。

インシデント対応の迅速化と被害の最小化

脅威インテリジェンスのサービスの中には、リアルタイムなアラートで攻撃を即時検知できるものも存在しており、迅速な初動対応を実現できます。脅威インテリジェンスの構成要素であるIoC(侵害の痕跡)や、攻撃者・脅威に関する情報によって攻撃手法も特定でき、的確な対応を可能とします。このような対応の迅速化は、インシデント発生時の被害拡大を防ぎ、被害を最小化させるだけでなく、復旧時間の短縮にも貢献します。

脅威インテリジェンス導入時の課題と対策

脅威インテリジェンスを導入する際には、固有の課題に対して認識し、対策を講じることが欠かせません。ここでは、導入時の主要な課題とその対策について解説します。

情報の信頼性と精度の確保

脅威インテリジェンスは多様な情報源からデータを収集します。このデータには誤情報が含まれる可能性があるため、情報の信頼性や精度が重要です。また、データを評価・フィルタリングする仕組みも欠かせません。収集した情報は古くなるため、継続的な更新と検証体制の構築も重要になります。

専門人材の確保と育成

脅威インテリジェンスを活用するためには、高度な専門知識を要する人材が欠かせません。しかし、このような専門知識を持つ人材が不足しているという企業は多いでしょう。外部の専門家に委託することも手ですが、社内での人材育成も重要です。外部の教育サービスなどを活用し、人材リソースを補完することも検討するとよいでしょう。

組織内での情報共有と活用体制の構築

導入しても部門間での情報共有が進まなければ、その価値を最大限に活かすことは難しくなります。情報セキュリティはシステム的な対策だけでなく、人的な対策も欠かせません。従業員一人ひとりのセキュリティ意識を向上させることも、セキュリティ対策として重要です。脅威インテリジェンスによって得られた情報を全社的に共有できるよう、組織全体での共有ルールや体制を整備し、現場だけでなく経営層も巻き込んで実施することが求められます。

脅威インテリジェンスを活用した企業防衛

脅威インテリジェンスは、サイバー攻撃者の意図や攻撃パターンなどを収集・分析し、企業のリスク低減に役立てる知識や情報の総称です。サイバー攻撃は今後も巧妙化・多様化が続くため、脅威インテリジェンスの活用は企業規模を問わず必須となるでしょう。脅威インテリジェンスは、企業防衛の「新常識」として今後さらに重要性が増すと考えられるため、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:IPA「脅威インテリジェンス 導入・運用ガイドライン

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