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AI活用における倫理問題とは? 企業は何に留意すべきか

次世代のテクノロジーとして注目されている「AI(人工知能)」をビジネスに導入する際、私たちはその正しい活用をめざしてさまざまな問題に対処しなければなりません。ここでは、適切なAI活用に欠かせない倫理問題や企業が留意するべきポイントについて解説します。

  1. 倫理とは
  2. AI活用で起こりうる倫理問題
  3. AI活用における倫理問題の原因
  4. AIの倫理問題に対して企業は何に留意すべきか?

倫理とは

倫理とは社会規範の一種であり、人として守る道を指します。「モラル」「道徳」などとも解釈され、社会的なルールを定めた法律とは異なり、それぞれの人の判断に委ねられることが特徴です。

倫理は一人ひとりが意識的に心掛けるものですが、家庭やコミュニティ、社会全体などの大集団を含むこともあります。たとえば、禁止されているわけではない公共の場でタバコを吸わないのは、「タバコを禁止されているわけではないが他者の迷惑になるから控える」という意思がはたらいた結果です。誰かに強制されたわけではなく、個人が倫理を重んじた結果といえるでしょう。

「普段の行動や姿勢に関して、状況に応じた適切な対応を求めるもの」が倫理であるともいえますが、一般的に倫理は法律(法)を含むものとして扱われます。人によって判断が分かれる「他者に親切にするべきだ」といった考えも倫理の一種であり、それぞれの価値観に委ねられますが、社会全体への影響を考えることが倫理を知るうえで重要になります。

AI活用で起こりうる倫理問題

AI(人工知能)を活用すると、利便性が格段に向上する一方で倫理的な問題が生じるおそれがあります。ある企業ではAIを使った人事採用を行ったところ、採用活動が特定の人種や性別に偏ったものになってしまい、結果として差別が生じてしまいました。優秀な人材を探し出すシステムが構築されていたにもかかわらず、履歴書からは男性が中心に選び出され、性別の中立性が働かない機械学習の欠陥が問題となりました。

医療現場にもAIを導入する試みが始まっていますが、すべての判断をAIに任せてしまうと患者の生命にかかわる重大な判断を誤った場合、責任の所在が医療従事者にあるのか、AIにあるのか、判断が難しいといえます。はっきりと責任をとるべき立場の人間が存在しない状況になってしまうと、病院に責任をとるよう訴えたところで「AIの判断によるものなので、病院に責任はない」として患者が泣き寝入りせざるを得ないケースも今後発生するかもしれません。

車が自ら安全性を判断して走行する「自動運転」にもAIが使用されていますが、通行人ではなく運転者を優先的に守るよう設計されていることが倫理上問題となっています。AIはプログラムに基づいて作動するため、不測の事態が起きて被害を出すおそれがありますが、車両走行時は通行人と運転者それぞれの安全を守る必要があるため、AIが車の内と外の両方に配慮できるように設計しなければなりません。

AI活用における倫理問題の原因

AIの判断は設計されたプログラムと参考データによって挙動が左右されます。万が一データにバイアスがかかっていると、それを判断材料としてバイアスのかかった結果を生み出してしまいます。

人間が使う言葉をそのまま蓄積してAIに参照させると、集合体としての人間社会のジェンダーバイアスがそのまま反映される可能性があります。AIは人間とは異なり意思をもたない存在として公平性を推進しなければなりません。

AIに人間と同様の倫理観をもたせるためには、事前に学習させる知識や情報の中の偏りを見直し、改善を加えるプロセスが重要になります。万が一、そのプロセスを飛ばしてしまうと、先ほどの例のようにバイアスがかかった状態で特定の結果を導き出し、思わぬ結果をもたらしかねないため、倫理問題の根本にしっかりとアプローチしていく必要があるでしょう。

AIの倫理問題に対して企業は何に留意すべきか?

AIの活用は決して悪ではなく、人的なデータ分析の手間を省くものとしてこれからの情報社会に必要不可欠です。AIを適切に運用していくことが企業活動やビジネスにも効果をもたらします。AIの倫理問題をクリアするためには、AIが学習するデータ、AIの活用範囲、判断の基準にする内容、最終的な決定や判断に人間がしっかりとチェックを入れ、責任をもつことが基本となります。

AIは参照するデータや活用範囲、判断基準を精査することはできません。そのため、疑問点や問題点が見つかるごとに改善を加え、AIそのものをアップデートしていく必要があります。企業はAIをいつでもアップデートできるように体制を整え、特定のデータだけを参照しないように対策を講じておくことが重要です。

AIは人にとって役に立つ技術ですが、目的に合わせて複数の要素技術 (画像・音声認識など)を組み合わせて利用するものであり、万能なAIは現時点では存在していません。倫理的な課題も多く、人間と同じようにAIを駆使するにはさまざまな取り組みが求められます。用途に沿った適切な質・量のデータが必要であり、大量のデータの中に偏った内容が含まれないように、AIの中立性にも留意し活用していきましょう。

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