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テクノロジー

利用率約80%・年間約5.5万時間の作業時間削減に至った
「生成AI全社定着」推進の舞台裏

日立ソリューションズ・クリエイト(社員数4,168名:2026年4月1日時点)では、全社での生成AI活用を推進するプロジェクトが2023年よりスタート。生成AI環境の利用率約80%*、年間約55,000時間の作業時間削減の実現に至った経緯と、今後の課題を、推進メンバー自らが語ります。社内活用の経験を生かした「AIプラス 生成AIソリューション」についても紹介します。

*全社員に対する生成AIの利用率は約80%(2025年度末時点)。

  1. 生成AI活用の推進メンバー(株式会社 日立ソリューションズ・クリエイト)
  2. 生成AI活用の推進部署立ち上げと立ちはだかった壁
  3. キャラバン活動が奏功し、生成AI環境の利用率は約80%まで上昇
  4. 生成AI活用で年間約55,000時間の作業時間削減を実現
  5. 定着の先に見えた新たな課題「コストと利益のバランス」
  6. 社内実践で得た知見を、お客さまの現場へ

生成AI活用の推進メンバー(株式会社 日立ソリューションズ・クリエイト)

経営戦略統括本部 事業推進本部 AIトランスフォーメーション推進部

部長 中矢 雄志

  • 社内の生成AI活用推進の統括責任者として、全社の生成AI環境の整備・活用定着を推進
  • 生成AI環境の全社展開、キャラバン活動による現場定着をリード

デジタルトランスフォーメーション事業部 ワークスタイルビジネス本部 AIビジネス部

チーフAIスペシャリスト 新井 達成

  • 生成AIソリューションのビジネス推進を担当
  • お客さまへの提供・事業化の推進、現場での活用推進・実務を担当

生成AI活用の推進部署立ち上げと立ちはだかった壁

当社は生成AIブーム以前からAI技術に注力しており、2018年には「AIプラス」というコンセプトのもと、画像認識AIやチャットボット案内サービスなど多数のAIソリューションの提供を始めました。その後、2022年のChatGPT登場をきっかけに、世界的な生成AIブームが到来することとなります。

当社では2023年、全社員が利用できる生成AI環境を構築し、社内での提供を開始しました。ただ、環境さえ整えれば使ってもらえる、というほど簡単ではありませんでした。生成AIが業務にどのような効果をもたらすのか、どう使えば成果につながるのかが十分に知られておらず、回答の正確性に不安を感じる声もありました。結果として、当初の利用は一部の社員にとどまっていたのです。

必要だったのは、環境の提供にとどまらず、社員一人ひとりが生成AIの特性を理解し、自分の業務で効果を実感できる状態をつくることでした。そこで2024年、全社的な生成AI活用の推進と定着を担う専門部署として「AIトランスフォーメーション推進部」を設置しました。

私たちがまず考えたのは、とにかく一度使ってもらうこと。実際に触れて効果を感じてもらうことが、社内定着の第一歩になると考えました。

キャラバン活動が奏功し、生成AI環境の利用率は約80%まで上昇

使ってもらうには、まず活用方法を知ってもらう必要があります。ただ、全社にメールを流す、大きな説明会を一度開く。そうした方法では、現場の受け止め方までは変わりません。だからこそ、部署単位で細かく回る「草の根のキャラバン活動」を実施することにしました。

社員は4,000名を超えますから、膨大な数の説明会を開く必要がありました。とはいえ、部署によって抱えている事情は異なります。一つひとつ丁寧に説明し、その場で課題を聞き取れたことには、手間をかけるだけの価値がありました。

キャラバン活動を継続するなかで、利用は着実に広がっていきました。効果を実感し熱心に活動するキーマンが各部署に増えていき、部内でさらに広めてくれるといった好循環が生まれていきます。

生成AI環境の利用率は、2024年度上期の39%から半期ごとに上昇を続け、2025年度下期には約80%に到達しました。2025年度末時点の数字であり、現在はさらに増えていると考えています。

とはいえ、利用が広がれば広がるほど気になってくるのが、情報漏えいなどのセキュリティ面です。当社の生成AI環境では、入力した内容は暗号化して外部のLLMに送信され、入力したデータが学習に使われることはありません。第三者への回答に再利用されることもないため、安心して業務に使ってもらえる環境になっています。

生成AI活用で年間約55,000時間の作業時間削減を実現

当社では生成AIの貢献度を正しく評価するため、半期ごとのアンケートによる削減時間、利用率などを、目標値として設定しています。

生成AIの用途は、議事録作成や資料作成、調査、壁打ち(AIとの対話を重ね、思考を深めること)といった日常的な業務から、プログラム開発支援、営業支援(顧客情報収集・分析など)、バックオフィス業務(問い合わせ対応)など多岐にわたります。

具体的な成果としては、業務への全社適用により、年間約55,000時間の作業時間削減につながりました。

まず取り組んだのが、社内問い合わせ業務のチャットボット化です。総務、知財、人事など各部門で、全社では20以上の専用チャットボットが稼働しています。これまで時間のかかっていた内容解析、情報収集、回答生成をAIに任せることで、社員は出力された回答をチェックし、修正するだけで済むようになりました。

こうしたチャットボットは、お客さまへの問い合わせ対応にも活用しています。次の図は、社外からの製品問い合わせに適用した際の効果を示したものです。

  • 記載数値は平均値
  • 生成AI出力チェック作業には修正が必要な場合の修正時間を含む
  • 検索用データベースへの類似質問の登録の有無をもって新規質問と類似質問を分類して検証を実施(新規:類似の割合を4:6で設定)

定着の先に見えた新たな課題「コストと利益のバランス」

現在では全社的にAI活用が定着し、多くの人にとって「生成AIなしの業務は考えられない」ほどの状態になりました。一方で、定着が進んだからこそ見えてきた課題もあります。「トークン費用の増加」と「利益への還元」です。

トークン費用とは、AIを使ったデータの入出力ごとにかかる費用のことです。利用が増えれば、その負担も当然大きくなります。これは当社に限らず、世界的に課題となっている点でしょう。とはいえ、上限を設けるなどの制限をかけてしまえば、せっかく広がった活用の機会を損ねかねません。

そこで機能面では、簡単な処理で済む内容には軽量なモデル(一般的に、スペックの低いモデルほどトークン単価は安くなります)が自動的に選ばれるオートモードを用意しました。

利用者の意識を変えるという点では、1回のチャットにどれくらいのコストがかかっているかを利用者自身が見られるようにするなど、可視化にも取り組んでいます。コストに見合わない使い方はこれからも精査し、調整していく必要があるでしょう。

トークン費用とも関係しますが、AIから利益をどう生み出すかも課題です。作業時間の短縮は大きな成果です。ただ、企業である以上、最終的には利益につなげなければ意味がありません。

例えば、AIをどのくらい使用するか考慮した見積もりを作成し、実際にどれだけコスト削減できたかを集計すれば、効果も見えやすくなるでしょう。

生成AIの普及・定着期を経て、これからは「AIをいかに利益へつなげるか」という本格的な価値創出のフェーズに入ります。コストの最適化を図りつつ、単なる業務効率化の枠を超え、AIを用いて新たなビジネス価値を創出していくことで、全社的な競争力の強化につなげていきます。

社内実践で得た知見を、お客さまの現場へ

当社では、これまで説明したとおり、社内用の生成AI環境を構築し、全社的な活用を推進してきました。この社内実践で得た知見を、お客さま向けの「AIプラス 生成AIソリューション」として提供しています。

生成AIの実行環境を提供するだけでなく、社員への教育、業務のどこにAIを適用するかの課題整理、実際の業務での価値検証、さらに個別のシステム開発まで、私たちが自ら経験してきたプロセスをそのままご支援できる点が特長です。なかでも、自社の社内定着のために実施した「キャラバン活動」の取り組みは、お客さまの定着施策としてもそのまま導入・支援しています。

生成AIの技術進化が急速に進むなか、AI活用推進を担う担当者の方のご負担は大きいものと推察します。私たち自身も同じ立場で試行錯誤を重ねてきました。まずは、ご担当者の方自身が生成AI活用の効果を実感しファンになることで、社内に発信する言葉にパワーを与えることができると考えています。

以下の資料では、生成AI推進担当者に向けて、着実に導入を進めるためのポイントを解説しています。私たちが社内展開で直面した課題と対処法も踏まえた内容です。ぜひダウンロードのうえ、ご活用ください。

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