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AIOpsとは? 機能や活用例などを紹介

ITの世界は急速な進化を続けており、企業が利用するシステムもどんどん複雑になってきています。システムを十分に活用するためには、システムの効率的かつ効果的な運用が欠かせません。そんな中で注目されているものが「AIOps」です。AIOpsはAIを活用することで業務やシステム運用を効率化・自動化を図ります。
この記事では、AIOpsの基本的な知識から、導入のメリットや注意点、将来性について解説します。
AIOpsの基本
まずは、AIOpsの基本知識として、概要から主な機能について解説していきます。
AIOpsとは
AIOps(Artificial Intelligence for IT Operations)は、AI技術を駆使してIT運用を自動化・最適化するソリューション、またはその考え方です。AIOpsの正式名称は「Artificial Intelligence Operations」や「Algorithmic IT Operations」ともいわれていますが、いずれもAI(機械学習)を用いてIT運用に活かす、という点では同じです。
IT環境の進化に伴ってシステムは複雑になり、取り扱うデータ量は飛躍的に多くなったことで、従来の運用方法では対処しきれなくなってきています。そんな中で、AIOpsはAIがパターンを解析し、インシデントの予測や異常検知を行います。AIOpsを利用することで、従来の運用方法では見つけられなかった脅威の発見や、既知の問題に対する迅速な対応が可能です。
AIOpsの主な機能
AIOpsの主な機能としては、大まかに次の4つが挙げられます。
・データ収集と統合
AIOpsは多種多様なソースからデータを収集し、それらを統合します。IT環境全体の可視性が向上し、問題の発見や分析が容易になります。
・異常検知と予測
機械学習アルゴリズムを用いて、システム内の異常を検知し、潜在的な問題を予測することでインシデント発生前に対策を講じることが可能です。
・自動化とオーケストレーション
ルールベースや機械学習に基づく自動化機能により、インシデント対応や運用タスクの自動実行を行います。自動化は人為的ミスの削減や、対応時間の短縮に貢献します。
・根本原因分析
インシデントが発生した際に、その根本原因を迅速に特定し、再発防止策を講じるための分析機能を提供します。
AIOpsを導入するメリット
AIOpsを導入するメリットとしては、大きく次の3つが挙げられます。
- 運用の効率化
- 障害対応時間の短縮
- コスト削減
AIOpsにより、運用チームが日常的に行っている単純作業を自動化できます。自動化によって、運用担当者はより戦略的な業務に集中でき、チーム全体の効率が向上するでしょう。また、異常検知や予測機能により、問題の早期発見と対応が可能となり、運用の安定性も向上します。
障害対応においても、AIOpsの異常検知と自動化機能により、インシデント発生時の対応時間が大幅に短縮されます。システムダウンタイムを最小限に抑えられ、ビジネスへの影響も軽減される点は大きなメリットの一つです。加えて、迅速な根本原因分析が可能となり、再発防止策を迅速に実行できます。
その他にも、AIOpsの導入により人的リソースの削減や運用の効率化が進み、コスト削減が期待できます。インシデント対応時間も短縮できるため、システムダウンタイムによるビジネスの損失を防ぐことが可能です。さらに、長期的にはシステムの安定稼働によるメンテナンスコストの削減も期待できます。
AIOps導入における注意点
AIOpsは多くのメリットをもたらしますが、導入の際にはいくつか注意すべき点も存在します。
1つ目は「導入の難しさ」です。AIOpsの導入には高度な技術と知識が求められ、特にAIや機械学習・ビッグデータに関する専門知識が必要です。加えて、既存のITシステムとの統合やデータ整備も課題となります。
2つ目の課題は「高品質なデータ」です。AIOpsは与えられたデータから学習してアクションを起こすものであるため、効果を最大限に引き出すためには高品質なデータが欠かせません。データの正確性や一貫性が保たれていない場合、誤った解析結果や予測が導き出される可能性があります。そのため、データのクレンジングや整備が重要です。
いずれの課題にも共通する部分ですが「専門知識の必要性」という点が大きな課題といえるでしょう。運用するにしても、適切なアルゴリズムの選定やモデルのチューニングが必要であり、これらを実行するためには専門家のスキルが不可欠です。
AIOpsの将来性
AIOpsの市場規模は、これからもどんどん拡大していくとの予測が出されています。また、今後のAI技術の進化に伴い、AIOpsもますます高度化していくことが予想されます。例えば、より高度な異常検知アルゴリズムや予測モデルが開発されることで、さらに正確なインシデント予測が可能となります。
さらに、AIOpsはIT運用のみならず、他のビジネスプロセスにも応用される可能性が考えられるでしょう。例えば、製造業の生産管理や金融業のリスク管理など、幅広い分野での活用が期待されます。AIOpsの活用が広がることで、ビジネス全体の効率化と最適化が進み、競争力の向上が図られるようになるかもしれません。
AIOpsをIT運用に取り入れていきましょう
AIOpsは、IT運用の効率化と最適化を実現するための強力なツールです。その導入には専門知識と準備が必要ですが、得られるメリットは非常に大きいといえます。今後のAI技術の進化とともに、AIOpsの可能性はますます広がっていくでしょう。