ページの本文へ

テクノロジー

人工無能とは? 人工知能の違いなど分かりやすく解説

業界や業種を問わず、さまざまな場面で人工知能(AI)の活用が進んでいます。そんな人工知能と同様に「人工無能」も活用の幅が広がっており、注目を集めています。しかし、言葉としては聞いたことがあっても、具体的な内容についてはわからない、という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「人工無能」の概要から種類、人工知能との違いについて解説し、「人工無能」の活用方法を紹介します。

  1. 人工無能とは
  2. 人工無能のチャットボットの種類
  3. 人工無能と人工知能のチャットボットの違い
  4. 人工無能チャットボットの活用例

人工無能とは

人工無能とは、会話形式で質問・疑問に自動的に回答する「チャットボット」の一種です。質問に対して自動的に回答するという点で、チャットボット=人工知能と考える方も多いでしょう。人工無能と人工知能の違いについては後ほど詳しく解説しますが、人工無能の場合は事前に定義された内容しか応答できません。
人工知能に比べて柔軟性が低いことから、比較して「無能」と表現されていますが、適切に活用できれば人工無能でも大きな成果を得られます。

人工無能のチャットボットの種類

人工無能のチャットボットは「ルールベース型」と呼ばれ、大きく次の4種類に分けられます。

辞書型(ハッシュ型)

対話相手の質問・疑問のキーワードとその応答文を事前に登録しておき、会話として成立させる方式です。例えば、商品のカスタマーセンターにおいて「◯◯の問い合わせ先」という質問に対して、「電話番号」という応答文を事前に登録しておけば、応答の自動化を実現できます。
辞書型は応答のルールが合致しやすい場面では有効ですが、ルールの作成に手間がかかり、ルールに合致しない質問・疑問では会話が成立しないことが欠点です。

シナリオ型(選択肢型)

シナリオ型は、事前に用意したシナリオに沿って回答することで会話を成立させる方式です。質問を自由入力させるのではなく、事前に用意した選択肢に該当する疑問を選択してもらい、その選択に合わせて回答する流れで自動応答を実現します。
活用できる用途は限られますが、商品説明や取扱説明書などの質問・疑問がある程度想定される場面で効果を発揮します。

ログ型

大量の会話のログを保存しておき、質問・疑問に対して最も近い発言をログから探して応答文を作成する方式です。人工無能のなかでは、最も人工知能に近い仕組みといえるかもしれません。ただし、あくまでも保存しているログのなかからキーワードを抜き出して応答文に含めているだけであり、人工知能とは全く異なる仕組みであることは覚えておきましょう。

会話型

Eliza(イライザ)は、1966年にジョセフ・アイゼンバウム博士によって開発されたプログラムです。事前にさまざまな会話の回答パターンを用意しておき、パターンマッチングのルールによって回答を行う仕組みです。Elizaの特徴は、まるで人と会話しているかのように自然な会話を実現できるところにあります。自然言語を処理して人と対話することを目的として開発され、iOSの人工知能である「Siri」の起源にもなっています。

人工無能と人工知能のチャットボットの違い

人工無能と人工知能のチャットボットの大きな違いは「自ら学習できるか否か」です。それぞれで簡単な例を交えながら、違いについてもう少し見ていきましょう。

徐々に精度が上がる人工知能型チャットボット

人工知能型のチャットボットの大きな特長は、自ら学習して徐々に回答の精度が上がることです。AIが搭載されているため「強化学習機能」が搭載されており、人と同じように質問・回答の結果を学習していきます。より人らしく自然な会話を実現できる可能性が高く、さまざまな場面で活用できる汎用性の高さが特長です。

設定したとおりに正確に回答する人工無能チャットボット

対して、人工無能型のチャットボットにはAIは搭載されていません。そのため、自ら学習する機能は備わっておらず、あらかじめ設定されたとおりに回答を行います。汎用性の高さは人工知能型のチャットボットに劣りますが、事前に設定した回答のみを行うため正確に情報を伝達できます。
人工知能型のチャットボットに比べると汎用性は高くありませんが、定型的な受け答えで十分な場合は、コストもおさえられる人工無能型のチャットボットが有効です。

人工無能チャットボットの活用例

前述のとおり、人工無能型のチャットボットは設定したとおりに正確に回答できます。そのため、制御がしやすくFAQなどの定型的な受け答えを得意としています。また、ECサイトなどで顧客が求める商品の特徴などを事前に登録しておき、商品ページまで誘導するような使い方もできるでしょう。
実際に、行政機関や企業の問い合わせ窓口などで人工無能は利用されており、よくある質問の回答を自動化したり、専用の窓口まで誘導したりすることに活用されています。人工無能は人工知能と比べて仕組みが簡単で、導入も比較的容易に行えます。コストの面でも人工知能に比べれば低コストで導入できるため、活用用途によっては人工知能よりも大きな費用対効果を得られるでしょう。

人工無能はチャットボットの一種であり、事前に登録した回答やシナリオに沿って質問者と会話を行います。人工知能型のチャットボットとの違いは、AIを搭載しておらず自ら学習することができない点です。人工知能型と比べて汎用性は劣りますが、低コストかつ構造・仕組みが簡単であるため、比較的容易に導入できます。
人工無能と人工知能型のチャットボットの導入で悩んだ場合には、双方の違いを理解した上で目的によって使い分けると良いでしょう。

当社の関連ソリューション/サービス

関連記事はこちら