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CNN(畳み込みニューラルネットワーク)とは? わかりやすく解説

ディープラーニングの登場により、AIは飛躍的に進歩しました。そんなディープラーニングにはいくつかのアルゴリズムが存在しますが、そのなかでも画像認識の分野で用いられることが多いものが「CNN(畳み込みニューラルネットワーク)」です。
この記事では、CNNの概要から構造・仕組み、主な用途や活用例まで紹介します。
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)とは
CNN:Convolutional Neural Network(畳み込みニューラルネットワーク)とは、人の脳神経を模した「ニューラルネットワーク」の一種です。ニューラルネットワークは通常3層程度で構成されていますが、さらに多くの層(深い層)から構成されるものが「ディープニューラルネットワーク」であり、CNNはディープニューラルネットワークの一つです。
CNNの主な処理が畳み込み層を用いた空間フィルタリングであることから、「畳み込みニューラルネットワーク」と呼ばれています。
CNNは主に画像認識の分野で活用されており、そのなかでも「一般物体認識」と呼ばれる画像認識のタスクにおいて優れた性能を発揮することから注目されています。
CNNの構造と仕組み
CNNはディープニューラルネットワークのなかでも、「畳み込み層」や「プーリング層」といった独自の構造を持っている点が特徴です。ここでは、CNNの構造と仕組みについて簡単に紹介します。
畳み込み層
畳み込み層の役割は、画像内の局所的な特徴量の抽出です。画像には隣接するピクセル間の関係性があり、エッジや色の変化といった局所的な特徴を検出します。これにより、画像内の情報を保持しつつ、高度な特徴の抽出が可能となります。
プーリング層
プーリング層の役割は移動不変性の付与です。プーリング層では、畳み込み層で抽出された特徴が移動しても影響を受けないようにします。例えば、犬と猫を画像データから判別する場合、本来であればそれぞれの動物が画像内のどこにいても判別には影響を与えません。しかし、畳み込み層で出力された特徴だけでは、学習した画像の左側に動物がいた場合に、右側に動物がいる場合の判別がうまく行えません。そこで、プーリング層では犬や猫といった特徴を維持しながら位置に関する情報を削ぎ落とすことで、重要な情報を保持する役割を果たしています。
全結合層
全結合層は畳み込み層やプーリング層で抽出された特徴を基に、最終的な分類や予測を行う層です。異なる組み合わせによるパターンを学習し、入力データがどのクラスに属するかを決定しており、高度な識別や予測を可能としています。
CNNの主な用途
ここまでにも軽く触れてきたとおり、CNNは主に画像認識の分野における機械学習の手法として活用されています。また、そのなかでも「一般物体認識」と呼ばれる画像認識のタスクにおいて優れた性能を発揮しています。
一般物体認識とは、画像の中に存在する物体の特徴からコンピューターが認識することです。例えば、道路の画像から車や人、信号機などのそれぞれの物体を認識することを表します。人が同様の画像を見れば一目でそれぞれの物体を認識できますが、コンピューター上で認識・処理することは、従来の技術では難しいとされていました。
しかし、CNNの登場によってコンピューターが人と同等以上の認識ができるようになり、さまざまな場面での活用が期待されています。具体的な活用例については、次の章で解説します。
CNNの活用例
CNNの活用例としては、次のようなものが挙げられます。
顔認証
CNNによって高い精度で人の顔を判別できるようになり、顔認証で用いられるケースが多く見られます。例えば、無人のコンビニにおける買い物客の判別や、スマートフォン、パソコンなどのデバイスのロック解除などの活用例が挙げられるでしょう。その他にも、大学の出欠管理にCNNによる顔認証技術を利用する検証も進められており、私たちの日常生活を便利にしたり、防犯に用いたりとさまざまな活用が期待されます。
自動運転
自動運転技術の実現には、CNNは欠かせない要素です。高速で走る自動車で自動運転を実現するためには、道路、信号、自動車、人などのさまざまな物体を確実に認識する必要があります。これらの情報は車載カメラを通して取得し、CNNの高度な画像認識技術によって確実に認識できるように研究が進められています。
医療における画像診断・検査
医療の分野でも活用が進んでおり、例えば検査画像から病気の特徴を抽出・認識し、病気の可能性を判断する、というような活用方法があります。人では画像から発見が難しい症状でも、CNNによって高度な画像診断・検査が実現できます。
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)はディープニューラルネットワークの一つであり、主に画像認識の分野で活用されています。「畳み込み層」や「プーリング層」といったユニークな構造が特徴で、画像認識でも「一般物体認識」のタスクにおいて優れた性能を発揮します。CNNは顔認証・自動運転・医療などさまざまな場面での活用が進んでおり、今後も多くの活用例が報告されることでしょう。
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