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テクノロジー AI(人工知能)のエキスパートシステムについて詳しく解説

AI(人工知能)のエキスパートシステムについて詳しく解説

AI、人工知能、機械学習といったワードが最近では当たり前のように使われるようになり、これらの技術は今後の技術革新において欠かせない存在になっているといえるでしょう。それでは、AI(人工知能)のベースとして「エキスパートシステム」と呼ばれるコンピューターシステムが開発されていることをご存知でしょうか?

ここでは、エキスパートシステムの概要や歴史、課題について説明します。

エキスパートシステムとは

エキスパートシステムとは、特定の専門分野の知識をもち、専門家のように事象の推論や判断ができるようにしたコンピューターシステムのことです。エキスパートシステムを使うことで、専門知識のない人であっても専門家と同等の問題解決・判断が可能になると言われています。

エキスパートシステムは基本、「推論エンジン」と「知識ベース」の2つで成り立っています。専門的な知識を含む、規則、事実などを収集した知識ベースを元に、推論エンジンが推論し、結論を導き出します。

推論エンジンは、問題解決処理を行うエキスパートシステムの頭脳ともいえる重要な役割を担っています。一方、知識ベースは、推論エンジンとは分離されたデータベースであり、「もし〇〇であれば、××である」といった「if〜then〜」のデータが蓄積されていきます。

エキスパートシステムの歴史

1965年に世界で初めて「Dendral」というエキスパートシステムが誕生し、この開発に携わったエドワード・ファイゲンバウムは、「エキスパートシステムの父」と呼ばれています。その後、1972年に開発された「Mycin」によって、エキスパートシステムが人々により認知されるようになりました。Mycinは専門医に匹敵するまでには至りませんが、正答率約65%の細菌感染診断が可能なシステムとして、医療の現場で活躍する可能性が十分にありました。しかし、システムの「誤診」が起きた際の責任の所在をどうするかや医師たちの理解を得られなかったことが壁となり、実用化されることはありませんでした。

その後、1980年代には第二次人工知能ブームが起こり、さまざまなエキスパートシステムが活用され始めました。日本においても、1982年に「第五世代コンピュータープロジェクト」が発足され、570億円の予算が投入されています。ただし、膨大なデータ入力やルール化を人間が行う必要がある、複雑な学習に対応できないなどの課題もあって、エキスパートシステムの実用は一部のシステムのみにとどまりブームは過ぎました。

再びエキスパートシステムが注目されたのは、2010年ごろになります。データ入力やルール化のコストを改善したのが「機械学習」の存在です。IBMのWatsonなどディープラーニングが登場したことで、人工知能は目覚ましく進化しました。この2010年から現在までは第三次人工知能ブームといえるでしょう。

エキスパートシステムの課題

第二次人工知能ブームの頃には、エキスパートシステムにはさまざまな課題がありました。エキスパートシステムには、あらかじめ膨大なデータを人間の手でルール化した上で入力する必要がありました。専門分野の知識をシステムに入力するための形式にした上で、データ入力そのものも人間が行わなければなりません。そこには莫大なコストと時間がかかっていました。

エキスパートシステムに求められる業種や職種の知識は非常に複雑なものが多いため、単純なアルゴリズムでは適切にデータ化することが難しい点も課題として挙げられます。また、知識やルールの数が増えることで矛盾が生じ、一貫性が取れないなど管理していくことが難しかったのです。

その上、第二次人工知能ブーム当時のハードウェアは、人間の手で入力したデータをシステムが自動で抽出するほどの処理能力を備えていませんでした。現在のような高性能なインフラやインターネット、クラウドサービスもなかったため、技術以前にさまざまなパフォーマンスの限界もあったのです。

しかし昨今では、機械学習によって大量のデータを自動的に学習でき、技術が進歩したことよってエキスパートシステムの課題が少しずつ改善されてきています。機械学習を搭載したシステムの代表例がIBMのWatsonです。Watsonは機械学習によって自然言語を解釈でき、蓄積したデータを基に仮説を立てて評価・判断を行います。ヘルスケアや医療現場での活用が進められ、特に日本では銀行や保険会社などにも導入が進んでいます。

その他にも、材料を指定することで最適な料理レシピを提示してくれる「シェフ・ワトソン」や、駐車違反の異議申し立てをしてくれる弁護士ボットの「DoNotPay」、ECサイトの評価を行うレコメンドシステムなど、幅広い業界・職種でエキスパートシステムの活用が広がっています。

技術の進歩により、エキスパートシステムは実用可能なレベルのものとなりました。今後もより一層さまざまな分野で導入、活用が進むでしょう。エキスパートシステムをぜひ、あなたのビジネスにも活用してみませんか。

※IBM、IBM Watsonは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp. の商標です。