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ジェネレーティブAI(生成系AI)の活用事例を紹介

ジェネレーティブAI(生成系AI)という言葉は、2022年にアメリカの調査会社であるガートナー社が公表したことで注目を集めるようになりました。新しい用語なのでであるためあまり馴染みがない、という方も多いのではないでしょうか。しかし、ジェネレーティブAIの代表的な例としては、「ChatGPT」や「Stable Diffusion」のようなサービスが挙げられることから、利用したことがある方は多いでしょう。
今回は、ジェネレーティブAIについて深掘りしていきます。ジェネレーティブAIがもたらすメリットやデメリット、ビジネスの現場における活用例について見ていきましょう。
ジェネレーティブAIとは
ジェネレーティブAI(生成系AI)とは機械学習のモデルの一つです。学習済みのデータを活用し、新たなデータを生み出せるAIのことでもあります。ジェネレーティブAIの例としては、テキスト生成系AIの「ChatGPT」や画像生成系AIの「Stable Diffusion」などが挙げられます。
ガートナー社はジェネレーティブAIについて、2025年までに生成される全データのうちジェネレーティブAIが生み出すデータは10%を占めると予測しました。現在は1%未満であるため、これから25年までに10倍以上のデータ・コンテンツがジェネレーティブAIによって生み出されるということです。ビジネスでも活用が広がっており、今後はより一層その存在感は大きくなると考えられます。
ジェネレーティブAIについては、こちらの記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
生成系AI(ジェネレーティブAI)とは? ChatGPTやAI画像などまとめて解説
ジェネレーティブAIのメリット
ジェネレーティブAIはさまざまなメリットをもたらします。代表的なメリットとしては次のようなものが挙げられるでしょう。
業務を効率化できる
ジェネレーティブAIを活用すれば、人間が0から全すべてを対応せずともよくなります。例えば、書類の作成や翻訳、説明のための図の作成、Webサイトの素材作成なども、指示一つで実行できるため業務の効率化が期待できます。
斬新なアイデアが得られる
ジェネレーティブAIは膨大なデータを学習済みであり、一人の人間が思いつく以上のアイデアを持っています。ジェネレーティブAIによって作成されたデータを基元にアイデアを得て、人間がさらにより良い製品を制作する、といったような使い方も可能です。
一定の品質を維持できる
人間の場合は、個人の状況によって品質にムラが出ることもあるでしょう。一方で、ジェネレーティブAIは機械的に処理を実行するため、一定の品質を維持できます。特に単純作業や繰り返し作業などは、ジェネレーティブAIが得意とする部分です。そのような作業はジェネレーティブAIに任せ、人間は異なるクリエイティブな作業に注力する、ということが可能になります。
AI活用における障壁の撤廃(技術の民主化)
技術の民主化とは、特定の人物しか持っていない技術が多くの人々に共有されることを表します。「AIの民主化」という概念も広がってきています。
例えば、イラストの作成やプログラミングなどは専門の知識が必要ですが、ジェネレーティブAIを利用すれば専門知識がなくともクリエイティブな作業が行なえます。専門知識やスキルが必要な作業を、多くの人々が行えるようになり、人手不足の解消や業務の効率化が実現できるようになるでしょう。
ジェネレーティブAIのデメリット
ジェネレーティブAIはさまざまなメリットをもたらしますが、利用する際には次に挙げるようなデメリットも理解しておく必要があります。
フェイクコンテンツの拡散など悪用のリスク
ジェネレーティブAIが生成するテキスト・画像・動画・音声は非常に精度が高く、悪用される可能性があります。例えば、特定の人物になりすました動画や音声を作成することもできるため、フェイクニュースや詐欺サイトなどで悪用されるリスクがあります。
権利や責任の所在が分かりにくくなる
ジェネレーティブAIは学習済みのデータを活用してコンテンツを生成しますが、生成されたデータの権利や責任の所在は事前に確認しておくことが重要です。また、学習データの権利についても議論されることが多く、著作権などの権利関係で問題になることも少なくありません。
雇用の減少につながる可能性がある
ある程度の品質のコンテンツを誰でも作成できるようになるため、クリエイターやエンジニアなどの専門職の仕事がでもジェネレーティブAIに取って代わられるかもしれません。AIは人間と違って24時間稼働し続けることも可能であるため、雇用の減少につながる可能性が考えられます。
生成物を精査するリテラシーが必要
ジェネレーティブAIは精度が高いといっても、必ずしも正しいものを生成するとは限りません。あくまでも学習済みのデータを基元にコンテンツを生成するため、生成物に対する精査が必要であり、そのためのスキルが求められます。
ジェネレーティブAIの活用事例
ジェネレーティブAIはさまざまな業界で活用が進んでいます。ここでは、医療と自動車製造における活用事例を見ていきましょう。
医薬品開発における活用事例
医療業界では、医薬品の開発においてジェネレーティブAIが活用されています。医薬品開発の探索研究の段階で、ジェネレーティブAIによって化合物の組み合わせを試行する取り組みが実施されました。これにより、探索研究におけるリードタイムの大幅な減少を実現し、6〜10億円の費用削減・人的リソースの最適化を実現しました。
自動車のデザイン制作における活用事例
画像生成AIの「Stable Diffusion」を活用し、自動車のデザインを作成した事例もあります。この事例では、全自動運転EVのコンセプトカーのデザインを決める際に、ジェネレーティブAIによって生成された画像をアイデアとしてデザインが進められました。また、完全自動運転を実現するために国産大規模言語モデル(LLM)の開発も進めており、自動車におけるジェネレーティブAIの利用が広がってきています。
ジェネレーティブAI(生成系AI)は、学習済みのデータを活用して新たなデータを生み出せるAIです。機械学習のモデルの一つでもあり、ChatGPTやStable Diffusionなどのサービスが代表的な例として挙げられます。ジェネレーティブAIは多くのメリットをもたらしますが、デメリットも存在するためしっかりと理解した上で活用することが重要です。
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