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テクノロジー

ローコード開発とは? ほかの開発方法との違いとメリット・デメリット

最小限のソースコードで業務アプリケーションなどを開発する「ローコード開発」という手法をご存じでしょうか。
ローコード開発とは、どのようなもので、ほかの開発方法とは何が違い、どんなメリットやデメリットがあるのか。今後、主流の開発手法となっていく可能性を秘めたローコード開発について解説します。

  1. ローコード開発とは
  2. ローコード開発が注目される背景
  3. ローコード開発とほかの開発方法の違い
  4. ローコード開発のメリット
  5. ローコード開発のデメリット
  6. ローコード開発のプラットフォーム

ローコード開発とは

ローコード開発とは、できる限りコードを書かずに短期間でソフトウェアを開発する手法を指す言葉です。コードを書かない代わりに、GUI(Graphical User Interface)による視覚的な操作を用いることで開発を進めていきます。

ローコード開発のやり方は、Webブラウザーなどのコンピューターの画面上で必要な部品を選び、部品同士を組み合わせながらシステムやアプリケーションを作っていきます。そのため、ローコード開発はプログラミングの知識やスキルが乏しくとも、プログラムを作ることが可能な開発手法です。

ローコード開発が注目される背景

ITを取り巻く環境は変化が激しく、日々新しい技術が登場しています。より便利かつ効率的な業務を実現するためには、これらの変化に対応していかなければなりません。日本では2018年に経済産業省からDXレポートが公開され、DXの推進は業種を問わず、多くの企業にとって喫緊の課題の一つとなりました。しかし、変わりゆく環境とDX推進に対応するためのIT人材は不足しています。経済産業省によれば、2030年には最大で約80万人ものIT人材が不足すると予測されています。
そのなかで、ローコード開発は専門の知識・スキルを必要とせず、開発速度を向上しながら、品質を担保できる手法として注目されるようになりました。IT人材の不足を解消するためには、開発をはじめとするIT関連業務の効率化が欠かせません。DXの推進でITを活用した業務も増えているなか、高度なプログラミングスキルが不要なローコード開発はこれらの課題に対応できるものであり、今後はさらに重要性を増すと考えられます。

ローコード開発とほかの開発方法の違い

ローコード開発と従来のシステム開発はどう違うのでしょうか。また、ローコード開発と似た手法である「ノーコード開発」との違いについても説明します。

従来のシステム開発との違い

従来のシステム開発では、エンジニアがユーザーの要望をヒアリングし、要件定義を行って機能設計し、コードを書くプログラミングの作業に入り、その後、数度のテストを経てシステムを完成させて、実装をします。

これに対してローコード開発ではコードを書く作業がほとんど必要なくなります。代わりにローコード開発ツールを使って部品を組み立てるようにしてプログラミングします。
そして、ユーザー自身がこの作業を行うことも可能です。そのためユーザー主体で開発を進めることができるのが大きな違いです。
なお、必要に応じたカスタマイズなど、ある程度の調整はコードの記述にて対応できるようになっています。

ノーコード開発とローコード開発の違い

ローコード開発とよく似た名称のノーコード開発は、完全にGUI操作のみで開発し、コードをまったく記述しない開発手法です。ノーコード開発のほうがより簡単で専門知識を必要としない手法なのですが、その分、柔軟性に欠けるところがあります。というのも、コードが使えないため、細かな部分で修正や調整が効かないことがあるためです。

ノーコード開発は開発ツールによってできることが変わってくるので、利用する際は目的に適したツールを選ぶ必要があります。

ローコード開発のメリット

ローコード開発は、今の時代に適した開発手法です。その具体的なメリットとしては、次の5つが挙げられます。

開発期間の短縮

ローコード開発のメリットとして第一に挙げられるのが、開発期間の短縮です。あらかじめ用意されている部品を組み合わせてアプリケーションを開発できるため、開発工程が簡略化され、開発工数を削減できます。

プログラミングスキルが不要

前述したように、ユーザー自身が開発に加わることもできるので、要件定義のためのヒアリングやプログラミング後の確認作業が不要になることもあります。ユーザーが自らアプリケーションを作るのであれば、エンジニアは補助的にディテールの修正などを行うだけで済むことになります。ユーザーの要求や視点に基づいた開発も実現しやすくなるともいえます。

コードの記述ミスを防げる

コードをほとんど必要としないということは、コードの記述ミスによるトラブルが減ることも意味します。人間がコードを記述する場合、どうしても記述ミスが発生してしまいます。そのミスを取り除くためのデバッグ作業には多くの時間がかかりますが、その作業を省略・簡略化できる点は大きなメリットの一つです。

コスト削減

開発期間の短縮や作業工程の省略により、開発工数を削減できます。開発工数を削減できるということは、ひとつの開発に関わる人員を削減して別の開発に人員を割いたり、設備費を削減したりすることが可能ということです。従来の開発手法では特に多くの人件費が必要でしたが、そのコストを削減できる点は大きなメリットといえるでしょう。

完成後の改修がしやすい

ローコード開発はまったくコードの記述をしない、というわけではありません。ほとんどはGUIでプログラミングを進められますが、企業ごとの独自の仕様などを盛り込みたい場合には、コードを記述してカスタマイズできます。その点はノーコード開発と比べると完成後の改修がしやすい、というメリットにつながります。従来の開発手法よりも開発期間を短縮でき、ノーコード開発よりもカスタマイズ性が高い、という点がローコード開発の大きな特長です。

ローコード開発のデメリット

多くのメリットがある反面、いくつか注意すべきデメリットも存在します。ローコード開発を利用する際には、デメリットについてもしっかりと理解しておくことが重要です。

開発の自由度が低い

ローコード開発のデメリットとして挙げられるのは、やはり従来の開発に比べるとどうしてもできることが限られる点です。複雑なことや特殊なことを実現したい場合は、ローコード開発を利用するより、最初からコードを書いた方が早い可能性があります。

多少のプログラミング知識は必要

ローコード開発で細かい調整をする際など、専門知識が必要な場面も出てきます。そこでエンジニアの出番が巡ってくるともいえますが、プログラミング知識のないユーザーだけでは開発できないこともあると覚えておいたほうがいいでしょう。

ローコード開発のプラットフォーム

現在、さまざまなローコード開発ツールが「開発プラットフォーム」として提供されています。例えば、本格的な業務システム開発を行えるもの、簡単なアプリケーションを開発できるもの、Excel業務をシステム化するためのものなどさまざまです。海外製のものも、日本製のものもあって、ユーザーが自由に選ぶことができます。

最近の日本製のローコード開発プラットフォームには、特定のアプリケーションに自社で必要な機能を付加したり、連携して使えるアプリを開発できたりするものも登場しています。これらはアプリケーションをカスタマイズして使うのに近い感覚で、ユーザー自身がプログラムをローコード開発して利用することができます。

ソフトウェア開発に対するハードルを下げるローコード開発は、アプリケーションやシステムを誰もが作り出すことができる未来を予感させるものです。これを機会に、どういったローコード開発が行えるのか、チェックしてみてはいかがでしょうか。もしかしたら、あなたが求めているアプリケーションやシステムを、あなた自身の手で開発できるかもしれません。

※Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

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