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押さえておきたい機械学習とディープラーニングの違い

AI(人工知能)技術について語るときによく耳にする「機械学習」と「ディープラーニング」。両者はどのように異なるのでしょうか。その仕組みや活用分野の違いなどについてわかりやすく解説していきます。

  1. 機械学習とは
  2. ディープラーニングとは
  3. 機械学習とディープラーニングの違い
  4. ビッグデータ解析に活用されるディープラーニング

機械学習とは

機械学習とは、広義には機械(コンピューターやAIなどのマシン)に学習させることを指す言葉です。機械に指示を与え、大量のデータを反復して読み込ませてパターンを見つけたり、判断したり、分析したりできるよう学習させていきます。

機械学習には、「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3種類の学習方法があります。

「教師あり学習」は最初のうち、マシンに正解を示しながら多くのデータを与えて、訓練を通じてマシンが正解を示すことができるようにする学習方法です。例えば、画像が「猫」なのか「ねずみ」なのかを判別させたい場合、「猫」と「ねずみ」のラベルを付けた画像を大量に与えることでそれぞれの特徴を学習させていきます。するとマシンは「猫」と「ねずみ」の見分け方を覚え、やがてラベルの付いていない画像を与えても正解を示せるようになります。

一方、「教師なし学習」ではマシンに正解を与えることはしません。ラベルの付いていないデータを大量に与えて、それぞれのデータの特徴、全体の傾向やルールを学習させていきます。その結果、マシンはデータを特徴などによってグループ分けし、新しく与えられたデータがどのグループに属するかを判別できるようになります。

「強化学習」は、教師あり学習のやり方に、マシンが出した結果に対して点数を付けるという手法を加えることで最良の方法を学習させる方法です。マシンに報酬もしくは罰を与えることで、よりよいアウトプットを得られるようになります。

ディープラーニングとは

ディープラーニングは機械学習を発展させた手法であり、機械学習の一種といえます。

ディープラーニングは、人間の神経細胞(ニューロン)の仕組みを模して作り出したニューラルネットワークと呼ばれる技術をベースとしています。このことによりディープラーニングでは、人間の認識過程とよく似た過程を踏んで正解を導き出せるようになります。

例えば、「猫」の画像を認識するとき、マシンは画像の耳の形や輪郭など対象物の特徴を見つけて過去のデータと突き合わせて回答を出します。しかし、人間の場合は全体を見てから細部を確認したり、その逆の作業をしたりといくつもの階層的な過程を経て結論を得ます。そのことによって、「猫」とよく似た特徴を持つ「熊」の画像を、「猫」ではない動物と認識することができます(できないこともあります)。

ディープラーニングでは、こういった人間に近い認識過程、ものの考え方をマシンに教えて、実行させます。そして高性能なマシンに大量のデータを与えて学習させた結果、現在ではマシンは人間をもしのぐパターン認識力を発揮できるようになっています。

機械学習とディープラーニングの違い

機械学習とディープラーニングの大きな違いは、ディープラーニングではデータを分析する際の「目の付け所」が多層的であるという点にあります。ディープラーニングはまた、その「目の付け所」自体も自ら学習し、性能を向上させていきます。

例えば、機械学習で色を認識させるには人間が「色」に着目するように指示するのが一般的ですが、ディープラーニングではその必要はありません。ディープラーニングの場合はマシン自身がデータの特徴を自動的に学習し、色を見分けるための方法を探し出して正解を得ます。

さらに、機械学習とディープラーニングでは、実際の活用分野が異なります。機械学習は人の指示どおりに何かを判断するために使われる傾向があります。カメラでの顔検出、メールでのスパム検知、クレジットカード利用での不正検知、紙に書かれた数字認識、会話理解などがその活用例です。

一方、ディープラーニングは人間が指示しないこと、人間も把握できないことを読み取って判断するために使われる傾向があります。自動運転における標識・信号機の自動認識や歩行者検知、医療研究におけるがん細胞検出、製品の外観検査、インフラ施設の劣化診断、設備の保守点検、音声データの自動翻訳システムなどが活用例です。

ビッグデータ解析に活用されるディープラーニング

人間では難しいビッグデータ解析にもディープラーニングが活用されています。ディープラーニングの登場によって画像認識や音声認識の精度が格段に向上したため、ビッグデータに含まれる膨大な情報、画像データや音声データの分析・整理はAIに任せられるレベルになってきています。

ビッグデータ解析にディープラーニング(や機械学習)を活用すると、工場などでの「予知保全」も可能になるといわれています。機器や設備にセンサーやカメラを取り付け、IoTによってビッグデータ化してAIで解析し、故障や不具合を未然に防ぐのが予知保全です。AIはビッグデータの中から故障や不具合の兆候を見つけ出し、必要なときにアラートを発する役割を担います。

AIは今、日進月歩のスピードで進化を続けています。機械学習とディープラーニングの違いを理解し、あなたの会社でどのように活用できるか考えてみましょう。

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