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自動運転や産業機械の可能性を広げるミリ波レーダーとは?

自動運転や産業機械の可能性を広げるミリ波レーダーとは?

自動車の「ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム)」や自動運転に詳しい人なら、「ミリ波レーダー」がいかに注目されているかもご存知なのではないでしょうか。ミリ波レーダーは今後、産業機械の性能も飛躍的にアップさせる可能性があります。
今、知っておきたいミリ波レーダーについて、その概要と特徴、動作原理、活用シーンなどをご紹介します。

ミリ波レーダーとは

ミリ波は周波数帯30~300GHzという非常に高い周波数の電波のことです。波長にすると1~10mmになることからミリ波という名前が付いています。

ミリ波よりも周波数が高く波長の短い電波としてはサブミリ波(波長は0.1mm~1mm)があり、赤外線、可視光線、紫外線が、周波数が低く波長の長い電波として続きます。ミリ波は電波の中ではサブミリ波に次いで光に近い性質を持つ電波です。

ミリ波レーダーは、ミリ波帯の電波を使って対象物との距離、速度、角度を測定するレーダーです。ミリ波センサーとも呼ばれています。

もともとレーダーシステムは1930年代から40年代にかけて、ミリ波よりもやや周波数が低く波長の長いマイクロ波の性質を利用して開発されました。

ミリ波はマイクロ波と同等かそれ以上に強い直進性があり、マイクロ波よりも大量の情報量を伝送できます。一方、雨や霧による影響を受けやすく、マイクロ波ほど遠くへは伝わりません。そのため比較的短距離のレーダーやセンサーとして使用されています。

ミリ波レーダーの特長

ミリ波レーダーの特長を挙げてみましょう。とくに以下の3つはミリ波レーダーの優れている点です。

1.精度が高い

ミリ波レーダーは波長が短いために対象物を高い精度で検知できます。分解能が高く、最小で0.1mmの動きを検出可能といわれています。

測定距離についてもマイクロ波よりは短いものの、赤外線や超音波方式などほかのセンサーと比べれば長く、優位性を発揮します。赤外線レーザーセンサーは約20m、超音波センサーは約1m先の対象物しか捉えられませんが、ミリ波レーダーは150m以上の距離の対象物を検知できます。

2.対環境性に優れる

空気中の水分や酸素で減衰する性質を持つミリ波ですが、赤外線や超音波方式のセンサーと比べると直進性の高い電波である分、悪環境下での運用が可能です。

検知できる距離は減衰により短くなる一方で、ミリ波レーダーを使えば雨、雪、霧などの環境下でも対象物を捉えられ、光ではないため、夜間、逆光、明るさが急激に変化するシーンでも対象物を検出できます。

3.情報伝達容量が大きい

電波は高周波数であるほど多くの情報を伝送できます。そのためミリ波を使えば比較的、大量の情報を短時間で送ることが可能です。

ミリ波レーダーの動作原理

ミリ波レーダーの動作原理はそれほど複雑なものではありません。距離を測定する場合の動作のプロセスは次のとおりです。

まず、シンセサイザーと呼ばれる装置でミリ波の信号を生成し、送信用のTXアンテナから電波を発します。ミリ波が対象物に反射して戻ってくると、今度は受信用のRXアンテナで受け取ります。送信した情報と受信した情報を計算用のIF信号に変換し、CPUを使って計算すると対象物との距離が判明します。

何を実現できるのか? ミリ波レーダーの活用

最後に、ミリ波レーダーの活用シーンをご紹介しましょう。

1.自動車の自動運転

ADAS(先進運転支援システム)の普及に伴い、自動車へのミリ波レーダーの搭載が急速に進んでいます。周辺監視用レーダーは24/26GHz帯の準ミリ波帯が主流ですが、前方監視用レーダーとして長距離を検知できる77GHz(76~77GHz)のミリ波レーダーが使用されています。

昨今、最も注目されているのは79GHz帯(77~81GHz)の高機能化した新たなミリ波レーダーです。実用化は近いといわれ、世界各国で79GHz帯を車載するための法制整備が進みつつあります。

今後、自動運転市場が開拓されていけば、さらにミリ波レーダーの活用分野は増えていくでしょう。

2.産業機械

産業機械にミリ波レーダーを搭載する動きも活発化してきています。生産ラインの機器にミリ波レーダーを備えることで、機械が人や物体との距離、速度、角度データを捉えて決められた動作を起こせるようになります。

例えば工場や倉庫内を動き回るロボットがミリ波レーダーを搭載すれば、障害物を回避して安全に移動し、人間のハンドジェスチャーなども認識して指示どおりにアクションを起こすといったことが可能になります。

3.ドローン

イベント、撮影、荷物輸送などさまざまなことに活用されているドローンにもミリ波レーダーが搭載され始めています。周囲の物体との距離、角度、速度などを高い精度で捉え、ドローンがインテリジェントな判断能力を発揮して的確な回避行動などを取れるようになります。

ミリ波レーダーはADASや自動運転をはじめ、産業機械、ドローンの運用においてもカギとなる技術の一つです。またこれ以外にも交通量調査などの観測装置、監視カメラ、医療現場向けなどとしても開発・導入が始まっています。さまざまな応用範囲を持つ注目すべき技術といえるでしょう。