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テクノロジー

RAG(検索拡張生成)とは? 生成AIとの関係や仕組みなど

生成AIを使ったことのある多くの方は「なぜか間違った情報を出力してしまう」という経験があるのではないでしょうか。これは「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる現象で、AIが事実ではないことをあたかも真実であるかのように出力してしまう問題です。この課題を解決する技術として注目されているものが「RAG(検索拡張生成)」です。
この記事では、RAGの概要から仕組み、生成AIとの関係とあわせて、ビジネス活用事例を紹介します。

  1. RAG(検索拡張生成)とは
  2. RAGの仕組み
  3. RAGと生成AIの関係
  4. RAGのビジネス活用事例
  5. RAG技術を活用していきましょう

RAG(検索拡張生成)とは

RAG(Retrieval Augmented Generation)とは、日本語では「検索拡張生成」と呼ばれ、情報検索システムと生成AIモデルの両方の長所を組み合わせた自然言語処理技術です。RAGの特徴は、質問やプロンプトに対する回答を生成する際に外部データベースから関連する情報を取得する点です。
通常、生成AIは学習した時点の情報で回答を生成しますが、RAGは外部データベースの情報を参照し、それをもとに回答を生成できます。そのため、最新情報を反映した回答を生み出せるのです。

RAGの仕組み

RAGは「検索」と「生成」の2つの主要なステップで構成されています。検索フェーズでは、ユーザーが自然言語で問いかけを入力すると、目的や用途に応じたデータから関連する情報を検索します。次の生成フェーズでは、検索ステップで厳選された関連情報を参照先として、回答となる文章を生成して出力する仕組みです。
RAGでは大規模言語モデル(LLM)が利用されていることから、プログラミング言語など専門知識を必要とする特殊な言語ではなく、人が普段使用している言葉(自然言語)で指示や検索が可能です。また、検索結果データも自然な文章で得られるため、ユーザーにとって理解しやすい形で情報が提供されます。

RAGと生成AIの関係

生成AIは与えられた情報から新しいコンテンツを作り出すAIです。例えば、テキスト生成であれば、人間のような文章を生成できるようになっています。しかし、生成AIにはハルシネーションという課題があります。
そこで、生成AIや大規模言語モデルの生成結果を補完・強化するために設計された枠組みとして、RAGが登場しました。RAGを活用することで、企業が保有する信頼性の高いデータなどを組み合わせ、出力の正確性と信頼性を向上させることが可能になります。
生成AIと連携するRAGは、必要なデータと組み合わせることで互いの強みを引き出し、さまざまな業界において高度な知的業務の生産性向上に貢献すると期待されています。

生成AIについては、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
→「生成系AI(ジェネレーティブAI)とは? ChatGPTやAI画像などまとめて解説

RAGのビジネス活用事例

RAGはさまざまな業界で活用され始めています。ここでは、特に効果的な3つの活用事例について見ていきましょう。

カスタマーサポートにおけるRAGの活用事例

小売業界では、RAGによって顧客対応の自動化を進めています。一般的な質問に対して適切な情報を検索・抽出し、的確な回答を自動的に提供することを実現し、顧客満足度を向上させています。
また、医療業界ではオンライン診療や服薬指導にRAGを活用しています。医療従事者はRAGを利用して、サービスマニュアルやナレッジを集約したチャットボットを作成できるようになりました。このようなシステムを活用し、患者への適切なアドバイスを提供しています。医療現場ではRAGにより情報資源を統合したチャットボットの開発が進んでいます。これを活用することで、医療従事者が患者に対して質の高い助言を提供できる体制が整いつつあります。

ナレッジマネジメントにおけるRAGの活用事例

製造業界における事例では、RAGを導入することで精密な知識検索と技術継承を実現しています。具体的には、CAD設計図や資格データ、現場メモなどを一元的にRAGに取り込むことで、過去の問題解決策や製品開発事例に素早くアクセスできる仕組みを確立しました。その結果、非熟練社員でも必要な情報を迅速に取得できるようになっています。
また、ある弁護士事務所ではでは、RAGを活用した法的文書の検索・分析を行っています。リアルタイムで過去の判例や法令文書を検索し、クライアントに対して最適な法的アドバイスの提供が可能となりました。

コンテンツ生成におけるRAGの活用事例

メディア業界におけるRAG活用では、最新のトピックに基づいた記事やレポートの自動生成をしています。迅速かつ正確な情報提供が可能となったことで、特に速報性が求められるニュース記事で活用されています。
その他にも、教育業界ではRAGを活用して学習支援や教材作成を行っています。RAGの活用により、学生の質問に対して、関連情報を検索して適切な回答を提供し、学習効率を向上させることに成功しました。また、個々の学生の理解度に合わせたカスタマイズ教材の作成も可能になり、より効果的な学習環境が実現しています。

RAG技術を活用していきましょう

RAG(検索拡張生成)は、生成AIの弱点であるハルシネーション問題を軽減し、より正確で信頼性の高い情報提供を可能にする技術です。特に企業内の専門知識や最新情報を活用したい場合、RAGは非常に有効です。実際に、小売業界、医療業界、製造業界、メディア業界、教育業界など、さまざまな業界で具体的な成果を挙げています。

今後、ビジネスを継続する上でAIの活用は欠かせないものになります。生成AIの活用を検討していても、ハルシネーション問題などにより断念した企業も多いのではないでしょうか。

日立ソリューションズ・クリエイトの「AIプラス 生成AIソリューション」は、生成AIの業務活用によってお客さまの課題解決をサポートするサービスです。ユーザー独自のRAGデータベース機能があり、社内環境に合わせたオリジナルのチャットボットを作成・公開できます。「生成AIを活用したいが活用方法が分からない」という企業様に向けて、生成AIの業務適用を総合的に支援するサービスであるため、この機会に生成AIの業務活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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