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「校閲」は出版業界だけじゃない!校閲女子にインタビュー!

最近、何かと話題の「校閲」。みなさん、どのような仕事かご存知ですか?
そうです。分かりやすいところでは、新聞社や出版業界のあれです。でも、ちょっと待ってください。
校閲っていうのは、何も新聞社や出版業界だけの特別な仕事ではありません。
というわけで、今回は当社の校閲担当に「校閲って何?」という素朴な疑問をぶつけてみました。

校閲って具体的にどんな仕事なんですか?

校閲って具体的にどんな仕事なんですか?

Q
こんにちは!インタビュアーの小菅です。今日は、今、何かと話題の「校閲」という仕事について当社で数多くの校閲を担当している磯部さんにお話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
A
こちらこそよろしくお願いいたします。
当社で扱うドキュメントは、主にソフトウェア製品のマニュアルや業務手順書ですが、その他、Webサイト、教育資料、発表用資料まで多岐に渡っています。
校閲のことなら、何でも聞いてくださいね。
Q
ありがとうございます。それではいきなりで恐縮ですが、直球で。
「校閲」って、どんなお仕事ですか?
「印刷物の誤植を見つけ出す仕事」って思っている方も多いと思うのですが。
A
そうですよね。「誤植を見つけ出す仕事」というのも間違いではありません。
パソコンの日本語変換機能はとっても優秀ですから、昔のいわゆる「誤植」は減っていますが、 変換ミスや思い込みによる間違いは、まだまだあります。
でも、それは厳密には「校正」という作業になります。
「校閲」の一般的なイメージは、文章中の誤字・脱字を見つけるということだと思いますが、実際の「校閲」は、それだけではありません。「校閲」には、正しいだけでなく、分かりやすいことも求められます。 そのため、校閲者には、文章を読み込んで、矛盾点や曖昧さ、重複した表現を見つけることがミッションとして課せられます。

「校閲=正確で分かりやすい文章」気を付けていることは何ですか?

Q
そ、そうですね。私も恥ずかしい変換をそのままにして上司に報告書を提出したことがあります。提出してからすぐに気が付いて「すみませ〜ん。報告書、差し替えさせてください!」って…
気を取り直して伺います。「正しくて分かりやすい文章」にするために、作業上、気を配っていることは何ですか?
A

「校閲=正確で分かりやすい文章」気を付けていることは何ですか?

恥ずかしい変換、ありますよね。私も、うっかり見逃してしまうことがありますよ。
自分の書いたものは、自分では間違いに気付かないものです。思い込みって、ありますから。
それと同じように、校閲でもじっくり読み込んでしまうと、かえって間違いに気が付かないことがあります。いつも、ニュートラルな状態で校閲することを心掛けています。なかなか難しいですけれど。校閲するときに、最初に確認することは、その文章の対象読者です。読む人によって「分かりやすさ」はまったく変わってきます。
Q
「分かりやすさが変わる」って、どういうことですか?
A
初心者が読むのでしたら、難しい内容も、なるべく日常使っている言葉に置き換えて説明してほしいかもしれませんよね。当然、専門用語の説明は必要です。
では、エキスパート用のマニュアルだったら、どうでしょうか。専門用語を的確に使わないと、かえって分かりにくくなってしまいます。その業界に精通している人なら誰でも知っているようなことを一から説明されたら、回りくどくて読む気が失せてしまうでしょう。
また、正しいからといって、すべての情報を載せていたら、自分の知りたいことになかなかたどり着けない、ということも起こり得ます。読む人にとって必要な情報だけを、探しやすい形で提供することも大事な校閲のポイントです。

校閲って地道な作業?

Q
そうなんですか。なんか奥深いですね。
ところで、校閲とか校正っていうと、すごく大量の文章を読み込まないといけないと思うんです。やっぱり時間が掛かるものですか?
A
当然、時間は掛かります。しかし、経験を積んでいくと、間違いがありそうな個所がビビッと分かるようになってきます。
Q
誤りの方が、目に飛び込んでくる感じですか?
A
種明かしをしますと、間違いが起きやすいポイントを網羅したチェックリストがあるんです。それに沿って、チェックをしますので、誤りを逃さないというわけです。
また、品質の良い文章は、引っ掛かるところがないわけですから、校閲にも時間が掛かりません。
Q
当然、校閲後の修正も少なくなる…
ドキュメント品質が良くなれば、作業全体の効率が良くなるというわけなんですね。
A

大量の文章を校閲/校正する際に、ツールを使って効率化を図ることもあります。

実は、私たちの仕事においてもデジタル化が進んでいます。
大量の文章を校閲/校正する際に、ツールを使って効率化を図ることもあります。
当社ではソフトウェアのマニュアルを開発する際に、1冊のマニュアルを2、3人で分担して執筆することがよくあります。最初に方針を決めて、意識を合わせて執筆するのですが、どうしても表記が揺れてしまうこともあります。例えば、「見積」「見積り」「見積もり」が混在してしまうケースです。このような表記の揺れはツールを使って素早く洗い出すことができます。
また、似たような意味でも、人によって違う言葉を使っていることがあります。例えば、
  • 更新する
  • 反映する
  • アップデートする
  • リニューアルする
などの表現の揺れです。
「意味が分かればいいんじゃないの?」と思われるかもしれませんね。でも、このような揺れがあると、統一感がないだけでなく、読者が混乱したり、「このマニュアルに書いてあることは正しいのか?」という疑いを持たれたりするおそれがあります。そのため、おろそかにはできません。表現の揺れの検出にもツールを使うことができます。
Q
そういうチェックにツールを使うのは大変有効そうです。
A
ツールを使うのは、揺れのチェックだけではありません。内容が分かりづらくなる二重否定の文章や、目的語のない文章など、文章構造についてもツールを使ってチェックしています。
「校正」はツールに任せて、「校閲」として最適な提案をすることに注力できます。
もちろん、最後はせっせと読むしかないわけですけど。
Q
なるほど。校閲するにもメリハリが大事ってことですね。誤字・脱字のような単純ミスは機械を使えば速く簡単に抽出できますから、「読みやすさ」や「分かりやすさ」の観点に時間を割けるということですね。
納得です。でも、そんな便利なツールがあるんですか?
A
はい。ドキュメント作成のためのガイドラインに従い、今までに培われたノウハウを誰でも簡単に活用できるようにしたものです。
当然、ツールを実行すれば100点満点!ということではありません。そこで、経験がものをいうわけです。
Q
最後に、お願いがあります。このインタビューを校閲していただいてよろしいでしょうか?
A
もちろんです。
きっと、校閲結果から、いろいろな気付きが生まれると思いますよ。

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