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IT-BCPとは? 対策の手順や策定時の注意点など

現代のビジネス環境では、ITシステムは欠かせない存在となりました。そのようなITシステムが災害やサイバー攻撃などのインシデントによってダウンしてしまうと、企業活動に多大な被害を及ぼします。このようなリスクを避けるために、企業は「IT-BCP」を用意しておくことが重要です。

この記事では、IT-BCPの基本として概要から重要性を解説し、策定手順や実装・運用のポイントについて解説していきます。

  1. IT-BCPの基本
  2. IT-BCPの策定手順
  3. IT-BCPの策定・運用のポイント
  4. IT-BCPの策定・実装を進めていきましょう

IT-BCPの基本

まずは、IT-BCPの基本として、その概要や重要性について見ていきましょう。

IT-BCPとは

IT-BCP(IT-Business Continuity Plan)とは、ITシステムが停止した際に、迅速かつ効率的に業務を再開・継続するための計画です。BCPは企業全体の事業継続計画を指し、IT-BCPはその一部として、ITシステムに特化した継続計画を意味します。

BCPについては、こちらの記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。
→「BCP対策とは? 企業が実施すべきことを詳しく解説

IT-BCPの重要性

近年の企業・組織におけるITシステムは、業務プロセスを支える基盤となっています。もし、システムのダウンタイムが長引けば、売上の損失、顧客の信頼低下、さらには法的問題に発展することも考えられるでしょう。IT-BCPの重要性・目的は、次の3点といえます。

  • 業務の中断を最小限に抑える:ITシステムが停止しても迅速に復旧することで、業務の中断を最小限に抑える
  • 顧客信頼の維持:システム障害時でも迅速に対応することで、顧客の信頼を維持する
  • 法的リスクの軽減:データ漏えいやサービス提供の停止に伴う法的リスクを軽減する

これらのことから、IT-BCPはビジネスの継続性を確保するための重要な施策です。

IT-BCPの策定手順

ここでは、IT-BCPの策定手順を簡単にまとめて解説します。併せて、策定における注意点も解説するため、一つずつ見ていきましょう。

リスク評価と対策

IT-BCP策定の第一歩は、リスク評価です。ここでは、ITシステムに影響を与えうるリスクを特定し、それぞれのリスクに対する具体的な対策を検討します。ここでいうリスクとは、ITシステムの停止の原因となりうるものが該当します。その例としては次のようなものが挙げられるでしょう。

  • 自然災害:地震、洪水、台風など
  • サイバー攻撃:ランサムウェア、DDoS攻撃、データ漏えいなど
  • 機器障害:ハードウェア故障、ソフトウェアバグなど
  • 内部リスク: 社員のミス(人為的ミス)、内部不正など

これらのリスクに対して、発生頻度と影響度を評価し、優先順位をつけます。例えば、リスクマトリックスを使用して評価します。

  • 高頻度&高影響:直ちに対策が必要
  • 低頻度&高影響:対策を検討
  • 高頻度&低影響:簡易な対策を実施
  • 低頻度&低影響:モニタリングで対応

その後、対応の優先順位に応じて、各リスクに対する具体的な対策を策定しましょう。例えば、次のような対策が考えられます。

  • データバックアップ:定期的なデータのバックアップを行い、異なる場所に保管するなど
  • セキュリティ強化(技術):ファイアウォールなどのセキュリティ製品の導入・強化
  • セキュリティ強化(人):社員の情報セキュリティ教育の実施、CSIRT設立など
  • 代替システムの準備:予備のサーバーやクラウドサービスの導入・活用など

IT-BCPを策定するにあたり、最終的な対策方法を最初に検討してしまいがちですが、リスク評価からしっかりと行うことで、自社に適したIT-BCPを策定できるようになります。

IT-BCP策定における注意点

策定から実装に向けて注意するべき点はさまざまですが、特に意識するべき点をまとめます。

  • 現実的な計画の立案
  • 関係者の合意形成
  • 定期的な見直し

はじめに忘れてはならない点として、実際に実行可能な計画を立てることが挙げられます。理想ばかりを追求しても、実際の運用時に役に立たない計画では意味がありません。

これは、関係者の合意形成にも通ずるところです。IT部門だけでなく、経営層や他部門とも協力し、全社的な合意を形成することが重要です。例えば、定期的な会議を通じて関係者全員が計画の内容を理解し、協力体制を築くことが求められます。ここまでを含めて、実現可能な計画を立てなければならない、ということです。策定する際には、経済産業省などから公表されているIT-BCPのガイドラインも参照することをおすすめします。

また、IT環境やビジネス環境は常に変化しています。そのため、定期的に計画を見直し、必要に応じて更新しなければなりません。例えば、新たなリスクが発生した場合や、システムのアップデートに伴う変更を反映し、運用する中での改善点なども含めて見直しすることが重要です。

IT-BCPの策定・運用のポイント

IT-BCPは策定することがゴールではありません。災害やサイバー攻撃などの有事の際に、策定したIT-BCPを用いて業務に影響が出ないようにすることがゴールです。有事の際にスムーズに行動を起こすためには、テストや訓練が必要になります。

従業員はそれぞれの役割を理解し、有事の際に取るべき行動をしっかりと理解しておかなければなりません。そのため、IT-BCPの内容を全従業員に周知し、緊急時の対応手順を理解してもらうためのトレーニングを定期的に行います。このトレーニングを通じて、従業員の対応能力も高められるでしょう。

そして、前述の通り変化する環境下では、IT-BCPの内容も常に最新状態にしておく必要があります。トレーニングを実施する中で見つかった改善点なども含め、定期的に計画を見直すことが重要です。

IT-BCPの策定・実装を進めていきましょう

IT-BCPは、企業の事業継続を支える重要な要素です。リスク評価から対策の策定、そして実装・運用まで、しっかりとした計画を立てることで、突発的なトラブルにも対応できる体制を整えられます。

日立ソリューションズ・クリエイトでは、個人と組織の両面からインシデント対応能力向上を強力に支援する「サイバーセキュリティトレーニング」を提供しています。当社ホワイトハットハッカーによる実践的なカリキュラムで、個人・組織のレベルに合わせてセキュリティ知識を強化することが可能です。IT-BCPのためにセキュリティ教育を見直したい、といったお悩みにも対応可能です。

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