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セキュリティ

CASBとは? SASEとの違いと併せて解説

現代のビジネス環境では、クラウドサービスの利用が急速に拡大しており、これに伴う情報セキュリティの課題も増えています。そんな中、注目を集めているのがCASB(キャスビー)です。CASBは企業がクラウドサービスを安全に利用するためのセキュリティソリューションの総称ですが、同じくセキュリティの重要な概念であるSASE(サシー)とどう違うのでしょうか。

この記事では、CASBの概要とその主要な機能、導入するメリット、SASEとの違いについて詳しく解説します。

  1. CASBとは
  2. CASBとSASEの違い
  3. CASBの導入メリット
  4. CASBをセキュリティ戦略に取り入れていきましょう

CASBとは

CASB(Cloud Access Security Broker)は、企業がクラウドサービスを利用する際に、セキュリティを確保しつつ、コンプライアンスを維持するためのソリューションです。近年ではクラウドサービスの業務利用が増えるにつれ、その管理と保護が課題となっています。CASBはこの課題に対処するためのツールであり、クラウドサービスの利用を可視化し、コントロールする役割を果たします。

CASBの主要な機能

CASBの主要な機能は次の4つです。

・可視化と監視

企業が利用しているすべてのクラウドサービスを可視化し、リアルタイムで監視します。どのユーザーがどのサービスを利用しているかを把握し、異常な活動を早期に検出することが可能です。

・データ保護

データの分類と暗号化、DLP(Data Loss Prevention)機能などを提供し、機密情報の漏えいを防ぎます。また、アクセス制御を強化することで、適切な権限を持つユーザーのみがデータにアクセスできます。

・コンプライアンス管理

企業はさまざまな規制に準拠する必要があります。CASBはクラウド環境におけるコンプライアンス要件を満たすためのツールを提供し、企業が法的要件や業界標準に適合するのを支援します。

・脅威防止

マルウェアの検出と防止、アカウントの乗っ取り防止、異常なユーザー行動の検出などのセキュリティ機能を備えています。クラウドサービス利用時のセキュリティリスクを低減し、他の機能と組み合わせることで内部不正にも対応可能です。

CASBとSASEの違い

クラウドセキュリティの話題になると、CASBと同じくSASEも頻繁に取り上げられます。両者の違いを理解することは、適切なセキュリティ対策を採る上で重要であるため、SASEの概要と併せてそれぞれの違いを見ていきましょう。

SASEとは

SASE(Secure Access Service Edge)とは、クラウドセキュリティの新しいアプローチであり、ネットワークとセキュリティを統合したソリューションです。従来のネットワークセキュリティが物理的な境界に依存していたのに対し、SASEはクラウドベースで提供されるため、柔軟でスケーラブルなセキュリティを実現します。

SASEについては、こちらの記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。
→「SASE(サシー)とは? ゼロトラストとの違い・関係も解説

CASBとSASEの違い

SASEはクラウドセキュリティのソリューションでもありますが、概念・考え方でもあります。CASBがクラウドサービスの利用を安全にするためのツールであるのに対し、SASEはネットワークとセキュリティを統合したものです。

両者の違いを簡単に表にまとめると次のとおりとなります。

役割と範囲 技術の統合 提供形態
SASE ゼロトラストの実現、ネットワーク全体のセキュリティ SD-WAN、CASB、FW、ZTNAなどの技術を統合した包括的なソリューション クラウドネイティブ
CASB 安全なクラウド利用、クラウドサービスの利用に対するセキュリティ クラウドサービスの利用を安全にすることに特化 クラウドサービス、またはオンプレミス

SASEとCASBは一見すると似たものに見えますが、実際にはSASEを実現するための機能・手段の一つとしてCASBが用いられる、といえるでしょう。

CASBの導入メリット

CASBを導入するメリットとしては、次のような点が挙げられます。

  • セキュリティ対策の強化
  • 柔軟なアクセス管理
  • コンプライアンスの維持
  • クラウド利用の最適化
  • 脅威の検出と対応

CASBはクラウドサービスの利用を監視し、データの暗号化やデータ損失防止(DLP)機能を提供することで、情報漏えいを防ぎます。リアルタイムで異常な活動を検出する機能も持ち、迅速な対応が可能です。加えて、ユーザーごとに異なるアクセス権限を設定できるため、必要なデータやサービスに対してのみアクセスを許可し、セキュリティを高められます。近年のクラウドサービスの業務利用やリモートワークの増加に対して、これらのセキュリティ対策は有効です。

また、企業はGDPRやHIPAAなどのさまざまな規制に準拠する必要がありますが、CASBはこれらのコンプライアンス要件を満たすためのツールと機能を提供します。さらに、クラウドサービスの利用状況を可視化できるため、無駄なコストを削減して効率的な運用を実現することも可能です。

その他にも、AI機能を用いて従来のセキュリティソリューションでは検知できなかった攻撃を検知でき、企業のセキュリティ体制を大幅に強化します。

CASBをセキュリティ戦略に取り入れていきましょう

CASBはクラウドサービスの利用が増える現代において、不可欠なセキュリティソリューションです。CASBを導入することで、企業はセキュリティリスクを低減し、コンプライアンスを維持しつつ、クラウドサービスを効果的に利用できます。セキュリティ戦略にCASBを取り入れることで、企業のITインフラはより安全で効率的になるでしょう。

日立ソリューションズ・クリエイトでは、「セキュリティ・イノベーション」で企業の継続的な発展に貢献しています。複雑化するIT環境で、適切なセキュリティ対策を講じることは容易ではありません。当社では導入までのコンサルティングから、適切なソリューションの選定、導入後のセキュリティ維持まで、ワンストップで企業のセキュリティ対策を支えています。
「自社に適したセキュリティ対策を検討している」という場合には、ぜひ一度お問い合わせください。

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