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セキュリティ

サプライチェーンリスクとは? セキュリティ対策のポイントを解説

近年、企業間の取引がますますグローバル化し、複雑化する中で、サプライチェーンリスクが大きな注目を集めています。サイバー攻撃や自然災害、政治的混乱など、さまざまな要因がビジネスの継続性を脅かす中、企業はどのようにしてこれらのリスクに対応すべきでしょうか。
この記事では、サプライチェーンリスクの概要からリスクの種類と具体例、効果的な対策のポイントと手法について解説します。

  1. サプライチェーンリスクとは?
  2. サプライチェーンリスクの種類と具体例
  3. サプライチェーンリスク対策のポイント
  4. サプライチェーンリスク対策の具体的手法
  5. サプライチェーンリスクへの対策を見直しましょう

サプライチェーンリスクとは?

サプライチェーンリスクとは、サプライチェーンにおいて発生する可能性のあるさまざまな脅威のことを指します。これらのリスクは、企業の業務プロセスや財務状況、さらには顧客満足度にまで影響を及ぼす可能性があります。
サプライチェーンリスクは企業の内部だけでなく、取引先や協力会社など、外部の要因によっても引き起こされる可能性があるため、注意が必要です。このことから、自社だけではなく、ビジネスパートナー全体を含めた包括的な対策が求められます。

サプライチェーンリスクの種類と具体例

サプライチェーンリスクは大きく分けて、「物理的リスク」と「サイバーリスク」の2つに分類されます。それぞれの特徴と具体例を見ていきましょう。

物理的リスク

物理的リスクは、実際の物理的な事象や環境によって引き起こされるリスクを指します。

  • 自然災害:地震、台風、洪水などによる生産設備や物流ルートの破壊
  • 政治的混乱:戦争、テロ、貿易摩擦などによる原材料調達の困難
  • 品質問題:製品の欠陥や不良品の発生などによるリコールや信頼性の低下

これらの物理的リスクは、企業の生産能力や納期に直接的な影響を与え、結果として顧客満足度の低下や財務的損失につながる可能性があります。

サイバーリスク

サイバーリスクは、情報技術やデジタルシステムに関連するリスクです。近年デジタル化が進んだことで、サイバーリスクへの対策が重要視されています。

  • データ漏えい:顧客情報や機密情報の流出
  • ランサムウェア攻撃:システムの暗号化と身代金を要求するサイバー攻撃
  • 不正アクセス:自社への直接侵入や取引先のシステムを経由した侵入
  • システム障害:自社システム、クラウドサービスのダウンによる業務停止

サイバーリスクは、企業の評判や信頼性に深刻な影響を与える可能性があり、場合によっては法的責任や多額の損害賠償につながることもあります。

サプライチェーンリスク対策のポイント

サプライチェーンリスクに効果的に対応するために、次の要素を考慮しながら包括的な対策を講じる必要があります。

経済的影響とブランド価値低下の防止

サプライチェーンリスクが顕在化すると、直接的な経済損失だけでなく、企業のブランド価値にも大きな影響を与える可能性があります。例えば、製品の品質問題や納期遅延は、顧客の信頼を失い、長期的な売上減少につながりかねません。このような事態を防ぐために、以下のような対策が効果的です。

  • リスクの早期発見と迅速な対応体制の構築
  • 代替サプライヤーの確保による供給の安定化
  • 透明性の高いコミュニケーション戦略の策定

法規制とコンプライアンスへの対応

近年、サプライチェーンに関する法規制が世界各国で強化されています。例えば、EUの「一般データ保護規則(GDPR)」や日本の「個人情報保護法」など、データ保護に関する規制が厳格化されています。これらの法規制に対応するために、以下のような取り組みが必要です。

  • 法規制の動向を常に把握し、適切に対応する体制の整備
  • サプライヤーを含めたコンプライアンス教育の実施
  • 定期的な監査とリスク評価の実施

サプライチェーンリスク対策の具体的手法

サプライチェーンリスクに効果的に対応するために、包括的かつ体系的なアプローチが必要です。ここでは、具体的な対策手法をいくつか紹介します。

リスク評価と管理

はじめに、自社のサプライチェーンに潜在するリスクを正確に把握し、評価しましょう。

  1. サプライチェーンの全体像を可視化する
  2. 各プロセスにおけるリスクを特定する
  3. リスクの発生確率と影響度を評価する
  4. 優先順位を付けて対策を立案する

このプロセスを定期的に実施することで、変化するリスク環境に柔軟に対応できます。

パートナー企業のセキュリティ対策

サプライチェーンのセキュリティは、自社だけでなくパートナー企業全体の取り組みが重要です。パートナー企業の選定基準にセキュリティ要件を含めたり、企業間での定期的なセキュリティ監査を実施したりすることが有効です。また、セキュリティポリシーの共有と遵守の要求、共同でのインシデント対応訓練も併せて実施するとよいでしょう。

物理的対策

物理的リスクに対しては、次のような対策が有効です。

  • 生産拠点や物流ルートの分散化
  • 在庫管理の最適化と緊急時の備蓄
  • 災害に強い施設設計と定期的な点検
  • 従業員の安全確保と事業継続計画(BCP)の策定

サイバーセキュリティ対策

サイバーリスクに対しては、技術的対策と運用面での対策の両方が重要になります。

  • 最新のセキュリティソフトウェアの導入と定期的な更新
  • 多要素認証やアクセス制御の徹底
  • 従業員に対するセキュリティ教育の実施
  • インシデント対応計画の策定と定期的な訓練

サイバーリスクに付随するサプライチェーン攻撃や、サプライチェーンセキュリティに関しては、こちらで詳しく解説しているため、併せてご覧ください。
→「日本は対応が遅い? サプライチェーン攻撃の対策
→「サプライチェーンセキュリティの重要性とポイント

サプライチェーンリスクへの対策を見直しましょう

サプライチェーンリスクは、企業の存続に関わる重大な問題です。リスク評価から具体的な対策の実施、パートナー企業との協力までの一連のプロセスを通じて、強靭なサプライチェーンを構築しましょう。しかし、リスク環境は常に変化しており、定期的な見直しと改善が不可欠です。
より詳細なリスク評価や対策の立案にお悩みの方は、日立ソリューションズ・クリエイトの「企業セキュリティレーティングサービス」をご活用ください。専門家による客観的な評価と具体的な改善提案を通じて、より強靭なサプライチェーン構築のためのセキュリティ対策をサポートします。

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