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ノーコードのメリット・デメリットやノーコードツールの選び方について解説

2020年から小学校・中学校・高校で段階的にプログラミング教育の必修化が進んだように、いまやプログラミングは一般教養として必要とされてきています。しかし、プログラミングは難解で、専門的な知識を要し、習得には一定の時間と労力が必要です。そのような状況でプログラミングの専門知識を必要とせず、誰もが開発できる手法として「ノーコード開発」が注目されています。
ノーコードとは、文字通り「プログラミングコードが不要」という意味です。複雑なコードを記述することなく、開発できるものが「ノーコード開発」と呼ばれています。この記事では、そんなノーコード開発の概要から、注目される理由やメリット・デメリット、ツールやプラットフォームを選ぶ際のポイントまで解説します。
- ノーコード開発とは
- ノーコード開発が注目される背景
- ノーコード開発のメリット
- ノーコード開発のデメリット
- ノーコード開発ツール・プラットフォームを選ぶときのポイント
- ノーコード開発ツール・プラットフォーム導入の進め方
- ノーコードに関するよくある質問
- ノーコード開発のメリット・デメリットを理解して活用しましょう
ノーコード開発とは
ノーコード開発とは、プログラミングに必須の「コーディング」をすることなく、画面操作だけで開発を行う手法です。通常であれば呪文のような命令を書き連ねた「ソースコード」を作成する必要がありますが、ノーコード開発では不要です。
あらかじめ用意された命令を、ブロック玩具のように画面上でマウス操作により組み合わせてプログラミングを行います。そのため、直感的に理解しやすく、専門的な知識がなくとも誰もがアプリ、Webサービスの開発が行えます。
ノーコードでできること・できないこと
より具体的な例として、ノーコードでできることとできないことをいくつか紹介します。
【できること】
- Webサイトの作成
- 業務自動化ワークフローの構築
- モバイルアプリの開発
- データベース管理システムの構築
- API連携による外部サービスとの統合
デザインテンプレートを活用すれば高品質なサイトを短期間で公開でき、データ連携やメール送信などの業務自動化も直感的な操作で実現できます。iOS・Android対応のアプリ開発や、顧客管理・在庫管理といったデータベースシステムの構築も可能です。
【できないこと】
- 複雑なアルゴリズムや独自ロジックの実装
- 大規模システムの構築
- 細かいUIカスタマイズ
- プラットフォーム依存からの完全な独立
高度な計算処理や特殊な業務ロジックが必要な場合、ノーコードツールでは対応が難しい場合があります。また、数万人規模のユーザーを想定した高負荷システムや、ピクセル単位でのデザイン調整も難しいでしょう。
しかし、ノーコードツールは日々進化しており、できることの範囲は拡大し続けています。
ノーコード開発とローコード開発の違い
ノーコード開発と似た言葉に「ローコード開発」があります。ローコード開発とは、必要最小限のコーディングで短期間にアプリやWebサービスを開発する手法です。ノーコード開発と通常のプログラミングを用いた開発の中間に位置する存在であり、双方のメリットを生かせる開発手法となっています。
ノーコード開発とローコード開発の違いは、名称のとおり「一切コードを書く必要がない」か「コードをできるだけ書かない」かの違いです。ローコード開発についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
ノーコード開発が注目される背景
ノーコード開発が注目される背景としては、主に次のような点が挙げられます。
- IT人材の不足
- クラウドサービスの普及
- 環境の多様化、複雑化
現在、多くの企業でIT人材が不足しています。新しいシステムやサービスを開発するにしても、専門知識を有するIT人材が不足しているため対応できない、というケースは少なくありません。そんななかで、ノーコード開発はプログラミング言語の習得が不要なため、IT人材でなくともシステムやサービスを開発できます。
また、クラウドサービスが普及したことでノーコード開発のサービスも多く登場しました。ノーコード開発のための下地が整い、誰もが気軽に開発できるようになったことも大きな要因の一つでしょう。
そのほかには、必要とされるシステムやサービスが多様化・複雑化したことで、より速く・柔軟に開発を行うことが求められるようになりました。従来の開発手法では多くの時間と人員が必要ですが、ノーコード開発であれば省人化の上、スピーディーな開発が実現可能です。
ノーコード開発のメリット
ノーコード開発のメリットは、主に次の3点です。
プログラミングの知識が不要
コーディングが必要なく、プログラミング言語ごとの記述を理解する必要がありません。論理的な思考によって命令を積み上げることができれば良いため、プログラミングの専門知識を必要とせず開発ができる点は、大きなメリットの一つです。
開発費の削減
従来の開発手法では新たに開発するシステム・サービスに関するヒアリングから、設計、コーディング、テストと多くの時間と人員が必要でした。特にコーディングには専門知識が必要であり、人員を確保することも難しく多くのコストがかかります。その点、ノーコード開発では専門知識がなくとも直感的に画面上で開発を進められるため、専門企業へ依頼する必要もなくなります。
開発のリードタイム短縮
コーディングには多くの時間が必要ですが、ノーコード開発であればコーディングの時間を大幅に短縮できます。開発にスピードが求められる昨今では、リードタイムを短縮できることは大きなメリットの一つです。
ノーコード開発のデメリット
さまざまなメリットがある一方で、ノーコード開発には次に挙げるようなデメリットも存在します。
開発の自由度が低い
すでに用意された命令を積み上げて開発を行うため、できることが限られています。小規模開発であれば問題ありませんが、大規模開発や柔軟性が必要なシステム・サービスの開発には向いていません。一から開発する従来の開発手法に比べて、開発の自由度が低い点はデメリットの一つです。
プラットフォームへの依存度が高い
ノーコード開発では、専用のプラットフォームを利用して開発を行います。プラットフォームごとに実装可能な機能やデザインの種類は異なり、できることもプラットフォームに大きく依存します。また、利用するプラットフォームは、いつサービスを終了するか分かりません。サービスが終了することで、開発したシステム・サービスが利用できなくなる可能性もあるため注意が必要です。
国産ツールが少なく情報も得にくい
ノーコード開発ツールの多くは海外産です。国産のツールも徐々に増えてきていますが、海外産に比べるとあまり多くありません。そのため、日本語の情報を得にくいというデメリットもあります。多くのノーコードツールが英語の画面やドキュメントなどで提供されているため、基本的な英語の読解力が必要な場合があります。
ノーコード開発ツール・プラットフォームを選ぶときのポイント
ノーコード開発ツール・プラットフォームを選ぶ際には、はじめに利用用途を明確にすることが重要です。ツール・プラットフォームごとに得意とする開発の種類は異なるため、アプリを開発したいのか、Webサービスを開発したいのか、などを明確にした上で、用途に適したツール・プラットフォームを選択するようにしましょう。
その後、パソコンだけでなくスマートフォンなどでも操作できるか、ムダのない料金体系になっているか、日本語でサポートを受けられるか、などの点を中心に選定することをおすすめします。
ノーコード開発ツール・プラットフォーム導入の進め方
ノーコード開発ツールの導入を成功させるためには、計画的なアプローチが重要です。以下の手順に沿って進めることで、スムーズな導入と効果的な活用を実現できます。
【導入の手順】
- 目的と要件の明確化
- ツールの選定と比較検討
- 無料トライアルでの検証
- 小規模プロジェクトでの試験導入
- 本格導入と運用ルールの策定
- 継続的な改善と最適化
まず、何を実現したいのか具体的な目的を定めます。業務効率化やコスト削減など、優先順位を明確にすることが重要です。次に、複数のプラットフォームを比較し、機能・料金・サポート体制を評価します。
多くのツール・サービスには無料トライアルが用意されています。無料トライアルで実際の操作性や要件への適合性を確認したら、小規模プロジェクトで試験導入を行い、問題点を洗い出しましょう。
本格導入時には、社内メンバーへのトレーニングと運用ルールの策定が重要です。データ管理やセキュリティポリシーを明確にし、導入後も定期的に使用状況を分析することで、投資対効果を最大化できます。
ノーコードに関するよくある質問
ノーコードについてよくある質問をまとめました。参考にしてください。
ノーコードはどんな会社に向いている?
ノーコードは、ITエンジニアのリソースが限られている中小企業やスタートアップに特に適しています。また、業務部門が主体となってツールを開発・改善したい企業や、頻繁に仕様変更が発生するビジネスモデルの企業にも向いています。社内の業務フローを熟知した現場担当者が直接システムを作成できるため、開発と運用の間のギャップを最小限に抑えられるでしょう。
ベンダーロックインとは?
ベンダーロックインとは、特定のベンダー(提供企業)のサービスやプラットフォームに依存してしまい、他のサービスへの移行が困難になる状態を指します。ノーコードツールでは、そのプラットフォーム独自の仕様でシステムを構築するため、将来的に別のツールへ移行したい場合、データやワークフローを簡単に移せないリスクがあります。ベンダーロックインを避けるには、データのエクスポート機能やAPI連携の柔軟性を事前に確認し、可能な限り標準的な技術やオープンな仕様を採用しているツールを選ぶことが重要です。
ノーコード開発のメリット・デメリットを理解して活用しましょう
ノーコード開発は、コーディングをすることなく画面操作だけで開発を行う手法です。ノーコード開発はプログラミングの知識が不要で、誰もが開発を行えるようになります。加えて、開発費の削減や開発のリードタイム短縮などのメリットも得られるでしょう。
一方で、開発の自由度が低く、プラットフォームへの依存度の高さや国産ツールが少ないことがデメリットとして挙げられます。ノーコード開発を活用する場合には、これらのデメリットも理解した上で、ツール・プラットフォームを選択しましょう。
ノーコード開発と従来のプログラミングによる開発のメリットを生かす開発手法として、ローコード開発が存在します。日立ソリューションズ・クリエイトでは、Webアプリケーションを100%自動生成することで、短納期・高品質を実現するローコード開発ツール「WebPerformer導入ソリューション」を提供しています。
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