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インダストリー4.0とは? IoTとの違いについても解説

「インダストリー4.0」は、IoTとも関連性が高く、日本における今後のものづくりの方向性を左右する重要な用語と言われています。インダストリー4.0とは何なのか、それによってどんな未来像が描かれているのか、IoTとの関連性や違いはどこにあるのか、といった疑問について答えていきます。

  1. インダストリー4.0とは?
  2. インダストリー4.0におけるスマートファクトリーとは?
  3. インダストリー4.0の狙いは?
  4. IoTとインダストリー4.0は違うの?

インダストリー4.0とは?

インダストリー4.0(第4次産業革命)は、ドイツ政府が同国内の産官学連携体制を整え、主導し、進めている国家プロジェクトですが、IoTの進展とともに日本でも注目を集めるようになりました。
そのコンセプトの中心にあるのは「スマートファクトリー」(考える工場)という考え方です。

インダストリー4.0におけるスマートファクトリーとは?

スマートファクトリーは工場内のあらゆる機械設備や管理システムをインターネットに接続し、そのことによって製造プロセスを円滑化、効率的に少量多品種、高付加価値の商品を大規模生産するための仕組みです。

工場のスマート化を実現するには、インターネットだけでなく、IoT、ビッグデータ、AI、産業用ロボットなどの活用によるエンジニアリングチェーン、サプライチェーンのネットワーク化が欠かせないと言われています。IoTやロボットなどの先進的な技術を最大限活用し、ネットワークでつながる工場……というのがスマートファクトリーの骨子です。

インダストリー4.0の狙いは?

インダストリー4.0は具体的に何を実現するための構想なのでしょうか。特に重要と考えられているのは次の3点です。

1.ダイナミックセル生産の実現

スマートファクトリーによる少量多品種、高付加価値の製品の大規模生産を現実する方法として考え出されたのが「ダイナミックセル生産」です。ダイナミックセル生産は、従来の「ライン生産」と、1人または少数の作業者チームで製品を組み立てる「セル生産」の長所をミックスして、進化させた生産方式だと言われています。

ダイナミックセル生産では、ラインの工程を分類して数種類に分け、各工程で組み立て作業を受け持つロボットが、ネットワークを通じてクラウド上の情報、上位系システム、周囲の装置、現場の作業者などとリアルタイムに情報を交換し、状況に応じて最適化された数、種類の生産を進めていきます。

2.マスカスタマイゼーションのアピール

ダイナミックセル生産をさらに推進していくと、最終的に一つひとつ仕様の異なる製品の生産にも対応できるようになります。コストを増大させることなく、タイムリーに、多様な顧客ニーズを反映した製品を「ロットサイズ1」から生産して市場に提供する製造手法は「マスカスタマイゼーション」と呼ばれます。この言葉は、大量生産を意味するマスプロダクションと受注生産を意味するカスタマイゼーションを組み合わせて作られました。

インダストリー4.0では将来、数多くのスマートファクトリー同士がつながり、一国の製造業全体があたかも一つの大きなスマートファクトリーであるかのように機能するようになるだろうと予測されています。

マスカスタマイゼーションはそのような未来の環境下において、最も理想的な形で実現するはずです。ニーズに合わせて仕様を変えた一つひとつの製品は、サプライチェーンの中で最も効率的なラインや工程が自動的に選択されることで、スピーディーかつスムーズに生産されるようになるでしょう。これにより消費者は誰もが安い価格で速やかにオーダーメイド製品を手に入れることが可能になるとアナウンスされています。

3.サイバーフィジカルシステム(CPS)でものづくりを進化させる

インダストリー4.0では、実世界=フィジカル世界にある多様なデータを、センサーネットワークなどを駆使して集約し、サイバー空間に存在するコンピュータシステムで処理して分析する「サイバーフィジカルシステム」によってものづくりを進化させることを目指しています。

センサーネットワークとはデータを計測する複数のセンサーが相互に接続されたネットワークのことです。そしてサイバーフィジカルシステムとは、実世界とサイバー空間内のコンピューティング能力を密接に連携させることで、効率的かつ高度な社会を作り上げていくシステムやサービスを指します。

例えばマスカスタマイゼーションによって製造された製品が消費者に提供されると、次は製品自体がデータ取得端末として稼働し、利用状況や消費者ニーズに関するデータを設計・製造現場に送るというサイクルが作られます。

こうしたサイバーフィジカルシステムによるインフラが整えば、設計や開発、生産に至るまでのものづくりに関わるあらゆるデータが蓄積され分析され、自律的に動作して消費者に届くといったインテリジェントな生産システムが構築されると考えられます。

IoTとインダストリー4.0は違うの?

IoTは「モノのインターネット」と訳されます。IoTはさまざまなモノがインターネットに接続され、情報交換することによって必要なアクションを起こす仕組みのことです。IoTでは基本的にモノとインターネットがつながって情報をやりとりします。

一方、インダストリー4.0では、モノとインターネットに加えて、モノとモノがつながります。さらにモノの集合体=業務プロセス同士もつながって情報交換します。この複雑な結びつきによって、最適化された生産体制を維持しつつ自律的・自動的に稼働するというのが、インダストリー4.0における新しいものづくりのかたちです。

ドイツでは現在、積極的にインダストリー4.0の基盤づくりが進められています。そのインパクトは大きく、日本でもインダストリー4.0に似た仕組みを作り上げる試みが始まっています。製造業に携わる企業はもちろん、さまざまな業界の企業にとっても、インダストリー4.0は重要な概念を多く含んだ構想だと言えるでしょう。

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