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基幹システム

ERPとは? できることや導入形態を徹底解説

販売管理システムや会計管理システムなど、企業内の各部署で異なるシステムを利用している場合と違い、ERPを活用すればそれら複数システムを統合し、データを一元管理することが可能になります。ERPとは何か、ERPでできることや導入形態について、わかりやすく解説します。

  1. ERPとは
  2. ERPはいつ登場したのか?
  3. ERPにできること
  4. ERPと基幹システムの違い
  5. ERPの導入形態

ERPとは

ERPとは「Enterprise Resource Planning(企業資源計画)」の略で、もともと経営の効率化を実現するための概念です。

しかし現在では多くの場合、企業内で使われる「統合基幹業務システム」や「基幹系情報システム」を表す言葉として定着しています。簡単に「ERPシステム」と呼ばれることもあります。

ERPは企業が利用しているさまざまな基幹系業務を統合し、部門間のデータのシームレスな連携を行うことを目的に生まれたシステムです。

ERPはいつ登場したのか?

ERPは1973年にドイツで誕生しました。SAP社が開発した「R/1」がそれです。R/1は欧米を中心とした企業に徐々に受け入れられ普及していきました。

日本ではそれからおよそ20年後、1992年にERPが入ってきて90年代半ばから使われるようになりました。欧米でBPR(Business Process Re-engineering)という「業務改革」を意味する経営コンセプトが注目され、日本でもその影響を受けてERPの導入が始まったとされています。

ERPの歴史について詳しく知りたい方は、「日本企業が使い始めたのはいつから? ERPの歴史」をあわせてご覧ください。

ERPにできること

ERPには次のような機能が搭載されています。

  • 生産管理
  • 販売管理
  • 購買管理
  • 在庫管理
  • 会計管理
  • 人事給与管理

ここからもわかるように、社内のさまざまな業務システムを統合したものがERPです。製品によって対象となるシステムは異なり、さらに多くの機能を備えた製品、あるいは必要な機能を加えることのできるサービスもあります。

ERPの特徴と利点は、業務システムを統合することでデータを一元管理できることにあります。業務システムが別々に存在していた場合、例えば同じ顧客に関するデータを別々に入力し、管理しなければなりません。各部門がそれぞれ異なるシステムを使って業務を進めることになるため、孤立してしまうサイロ化という状況に陥ります。統合されたシステムで同じデータを共有できれば作業効率が向上するのは明らかだといえるでしょう。

ERPと基幹システムの違い

ERPは基幹システムのことを指す、という説明をよく見かけます。しかし厳密には、ERPと基幹システムは異なるものと捉えたほうが良いでしょう。

基幹システムとは企業内の主要業務を担うシステムの総称です。具体的には、上述した生産管理、販売管理、購買管理、在庫管理、会計管理、人事給与管理などが企業の経営活動を支える主要業務です。そして、基幹システムは生産管理システム、販売管理システムなどそれぞれの部門における独立したシステムのことを指します。業務システム、バックオフィス系と呼ばれることもあります。

ところで、こうした基幹システムのほかに、近年では企業によって顧客管理システム(CRM:Customer Relationship Management)やマーケティングオートメーション(MA:Marketing Automation)ツール、情報共有やコミュニケーションのためのグループウェアなども活用されています。これらは基幹システムと区別して、よく情報系システム(または情報システム)と総称されます。

ERPは基本的に基幹システムを統合するシステムです。しかし、一部の情報システムも加えることが可能です。したがって、ERPは基幹システムに加えて情報システムも含む総合システムだということになります。

ERPの導入形態

ERPを導入する際は、オンプレミスとクラウドという選択肢、さらにパッケージとスクラッチという選択肢があります。それぞれ、詳しく見ていきましょう。

オンプレミスとクラウド

オンプレミスは自社内にサーバーを設置し、社内のネットワークを使って運用するERPです。セキュリティ面で優れ、カスタマイズ性が高いのがメリットですが、初期費用は高額になります。

一方、インターネットを介してクラウド上に構築されたERPを利用するという形態もあります。これがクラウド型です。自社でサーバーを保つ必要がないため初期費用・ランニングコストが抑えられます。ネットワーク障害があると利用できなくなる点には注意が必要です。

パッケージとスクラッチ

パッケージは一般的に必要な機能があらかじめ組み込まれているERP製品を選び、導入する方法です。ある程度業務に合わせたカスタマイズが可能ですが、スクラッチ(フルスクラッチ)と比較するとどうしても限界があり、製品の仕様に合わせて業務フローを変えなければならないこともあります。ただし、スクラッチに比べると導入費用を抑えることができます。

スクラッチは自社に合わせて一からシステムを開発する導入方法です。独自の業務内容や商慣習にマッチしたシステムが必要な場合には有力候補となります。大企業に採用される傾向にありますが、開発費用がかさむことと開発期間がかかることがネックだといえます。

部門や業務ごとに分断されたシステムを使うことの非効率性を解消し、企業の情報資産を有効に活用できるのがERPです。ERPの導入について検討している方、導入メリットについてもっと詳しく知りたい方は、「基幹システムとERPの違いとは? ERP導入のメリットって何?」という記事もお読みください。

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