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経営戦略

DX人材育成のポイントとは? 社内で育てて人材不足を解決

DXを推進するにあたって多くの企業で障壁となっているのが、DXを担う人材が不足しているという問題です。DX人材は市場でも不足が続いているため、社内のリソースを活用して人材育成に取り組む動きが活発化しています。社内でDX人材育成を進めるために押さえておきたいポイントを紹介します。

  1. DX人材の不足
  2. 人材育成がDX人材の不足を解消するカギ
  3. DX人材に求められるスキルと役割
  4. 社内でDX人材を育成するときのポイント

DX人材の不足

DX人材とは、企業がDXを推進する際に必要とされる、データ活用やデジタル技術に関するスキルや専門知識を有する専門家やエンジニアのことです。

DX人材となり得る専門性を持った人材は現在、深刻な人材不足に陥っています。ITエンジニア自体が市場で不足している上に、DXを推進する企業が急増していて、DXによる商品や業務、ビジネスの変革を担う人材に対する需要が非常に高くなっているためです。日本のDX推進においてこの人材不足の問題は、レガシーシステムの存在などとともに大きな障壁の一つとなっています。

人材育成がDX人材の不足を解消するカギ

DX人材を確保する方法は大きく分けて3つです。1つ目はDX人材としてふさわしいスキルを持つ人材を中途採用する方法。しかしすでに述べたように、既存のDX人材は市場で引く手あまたなので採用できる確率は高いとはいえない状況です。

2つ目は社内のDX人材への適性を持つ社員を育成する方法。3つ目はこちらも教育すればDX人材となり得るエンジニア、もしくは機械学習や統計学などの知識を持つ人材を、新卒を含めて採用し、育成する方法です。

すでにDXに関するキャリアを持つ人材を探して採用するより、適性や近いスキル・知識を持つ人材を育てるほうが現実的だと考える企業も少なくありません。この方法は、より自社の状況に適合したDX人材を確保しやすいというメリットもあります。

DX人材に求められるスキルと役割

では、具体的にDX人材にはどのようなスキルや役割が求められるのでしょうか。ここでは6つの職種を取り上げてその概要を紹介します。

ビジネスプロデューサー

企業内でDXを実現するための牽引役となるリーダー格の人材です。DX推進のためのDX部署を設置した場合、その部署のリーダーとなります。経営陣とともに事業全体を俯瞰して把握し、意思決定するマネジメント力が求められます。

ビジネスデザイナー

DXやデジタルビジネスの企画立案を担当する人材です。市場や顧客のニーズ・課題を抽出してDX実現に向けた新しい製品やサービス、ビジネスを創出します。発想力、企画力に加えて、チームやビジネスパートナーを巻き込んでプロジェクトを推進させていくためのコミュニケーション能力や折衝力も求められます。

アーキテクト

DXやデジタルビジネスに関連した情報システムを設計する人材です。いわゆるITアーキテクトと同様、システム開発における共通仕様や要件を定義し、システム全体の方向性や仕組みを構築していきます。異なるのはDXやデジタルビジネスに関連するシステムを専門に扱うことです。アーキテクチャ設計や設計技法などの知識が求められます。

データサイエンティスト

AI、IoTなどを使ってデータの収集・分析を行い、DXやデジタルビジネスに役立つインサイトを導き出す人材です。主にビッグデータを扱い、新しいビジネスモデルを作り出すためなど自社にとって有益な情報を引き出して示します。統計解析スキルや機械学習に関する知識などが求められます。

UXデザイナー

DXやデジタルビジネスに関連した情報システム、アプリケーションのUX(User Experience)を設計する人材です。UXはUI(User Interface)を発展させた、ユーザーが製品やサービスに触れたときに得られる体験を表す言葉です。DX推進には、ユーザーに新たな体験価値を提供するようなUXデザインが欠かせないといわれています。

エンジニア

情報システムの実装やインフラ構築を担う人材です。SEやプログラマーが含まれます。通常のITエンジニアと同様のスキルに加えて、DXやデジタルビジネスに関連した知識が求められます。

社内でDX人材を育成するときのポイント

社内でDX人材を育成するには、まず社内にどんなスキルや知識、キャリア、志向を持った人材がいるのかを把握する必要があります。また同時に、自社にはどのようなDX人材が必要なのかという人材要件も定義します。その上で候補となる人材を選定しますが、もしも人員数が不足しているのなら、候補となる人材を社外からも採用することになるでしょう。

人材育成は、座学によるスキルセットやマインドセットの習得を行い、続いて現場での実践力の強化に進むことになります。その際、社内に講師役となるDXに精通した人材がいればもちろん理想的ですが、リソース的に難しい場合、DX人材に関する外部研修に参加して知識を得る方法があります。

また、次段階の実践力を身につけるには、DX人材育成に通じたコンサルティング会社などに支援を求めるのも良いでしょう。将来的には社内で研修プログラムを用意し、OJTで実践スキルを磨くことができるような環境を整備していく必要がありますが、当初はまず外部サービスを活用するのが現実的です。

社内でのDX人材育成は、DX人材の不足を解消するための有効な方法です。ある程度の先行投資が求められますが、早くスタートさせるほどノウハウを得られ、他社との将来的な差別化にも結び付けられるでしょう。

また、DXに関する概要については「デジタルトランスフォーメーションとは? 概要や企業の課題について解説」を、DX戦略のメリットや進め方については「DX戦略とは? 取り組むメリットや進め方のポイントなど」という記事を、それぞれあわせてご覧ください。

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