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テクノロジー

自然言語処理(NLP)とは? 仕組み・活用例など

昨今のAIの進歩は凄まじく、ビジネスの現場でもAIの活用が進んでいます。そんなAIを支える技術の一つに「自然言語処理(NLP)」が挙げられます。近年話題のChatGPTも自然言語処理によって対話を実現していますが、自然言語処理とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

そこでこの記事では、自然言語処理の概要や仕組みと併せて、活用例を紹介します。

  1. 自然言語処理(NLP)とは
  2. 自然言語処理(NLP)の仕組み
  3. 自然言語処理(NLP)の活用例

自然言語処理(NLP)とは

自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)とは、人間がコミュニケーションで使う自然言語を対象とし、言葉の意味を解析処理する技術です。自然言語とは日本語や英語などのように、人がコミュニケーションを取るために日常的に利用する言語です。自然言語と対をなすものとしては人工言語が挙げられますが、これはプログラミング言語などの人為的に作られた言語を表します。

自然言語処理は「話し言葉」や「書き言葉」などを解析し、コンピューター(AI)が人と同じように自然言語を利用するための技術です。

自然言語処理(NLP)の仕組み

自然言語処理の仕組みは、おおまかに次の4つの解析に分けられます。

形態素解析

形態素解析では、文章でそれぞれを構成する最小の単位(形態素)に分割して、分割したものに各種情報を与えます。例えば、名詞・助詞・形容詞といった品詞などを与え、学習することで文章生成時に活用できるようになります。

構文解析

形態素解析で分割した単語などの関連性を分析し、文章の構文を組み立てます。代表的な解析手法としては「依存構造解析(係り受け解析)」や「句構造解析」が挙げられ、日本語の場合は依存構造解析が用いられます。

意味解析

構文解析である程度の文章ができていますが、この時点では複数の解釈(意味)が存在します。そのため、意味解析では構文解析で得た解釈のなかから正しい解釈を探します。「正しく文章の意味を理解する」という工程と捉えることができるでしょう。ここまでで一文の作成が完了します。

文脈解析

文章は一文だけで構成されるものではなく、複数の文同士の関係性も重要になります。文脈解析では複数の文で形態素解析・意味解析を実施し、文同士の関係性を解析する作業です。文同士の関係性は非常に複雑で、正しく文脈を理解するためにはさまざまな領域の知識が必要になります。そのため、機械学習やニューラルネットワークを用いて精度を向上させようとする取り組みが進められています。

自然言語処理(NLP)の活用例

自然言語処理は文章を作成するだけでなく、さまざまな場面で活用できます。ここでは、代表的な自然言語処理の活用例をいくつか見ていきましょう。

対話型AIチャットボット

自然言語処理の代表的な活用例の一つが、対話型AIチャットボットです。文字通りAIと対話するように質問を投げかけ、それにAIが回答します。自然言語処理の進歩により、近年のAIチャットボットは人と会話しているかのような自然なやり取りが実現されています。分かりやすい例としては「ChatGPT」が挙げられるでしょう。

ChatGPTや対話型AIについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。

スマートスピーカー

スマートスピーカーは、対話型AIチャットボットの音声版と捉えることができます。自然言語処理は自然言語をコンピューターが理解して文章を生成するものですが、音声認識技術と組み合わせることで音声による言語認識まで実現できます。
スマートスピーカーは単に音声による会話を実現するだけでなく、電気をつける・鍵を閉めるなどの特定のタスクを実行するためにも用いることが可能です。

音声認識AI

スマートスピーカーも音声認識AIの一種ですが、よりビジネスシーンで活用できる例としては議事録作成の音声認識AIなどが挙げられるでしょう。この場合の音声認識AIは、音声から自然言語処理を用いて文章を作成・テキスト化するものです。

議事録の作成だけでなく、インタビューから記事を作成する、などのように汎用的に活用できます。音声認識AIが学習を続ければ、専門的な用語や業界用語なども取り入れつつ自然な文章を生成できます。

翻訳

インターネット上には多くの翻訳サービスが存在しますが、その多くは自然言語処理を活用しています。一昔前の翻訳サービスではちぐはぐな文章が生成されていましたが、昨今の翻訳サービスでは自然言語処理の意味解析・文脈解析によって、自然な文章になるようになっています。

手書き文字認識

文字の認識技術としては「OCR(光学文字認識)」がありますが、近年ではAIと組み合わせた「AI-OCR」が注目されています。自然言語処理により、手書きで癖のある文字でもしっかりとテキスト化することが可能です。自然言語処理における意味解析・文脈解析が大きく影響しています。

人がコミュニケーションで用いる自然言語の意味を解析・処理する技術である自然言語処理は、さまざまな場面で活用が進んでいます。昨今のAIの多くは自然言語処理を活用することでその精度を高めています。

現在はまだ文脈解析にいくつかの課題がありますが、今後の技術の進歩によって人がコミュニケーションを取るように自然な文章を生成できるようになるでしょう。ビジネスシーンでも欠かせない技術になってきているため、この機会に自然言語処理について理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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