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毎朝あらわれる「執じぃ」とは?
雑談を生み出し、従業員の生の声をひろいあげる独自の仕組み

# 組織活性化

はじめに

社長から新入社員まで、全社員が自由にコメントをやりとりできるのが、「従業員エンゲージメント育みサービス」の特長であり、楽しいところです。

「従業員エンゲージメント育みサービス」内では、日々コメントが行き交い、盛り上がっています。普通に仕事をしていたら絶対にかかわり合うことのなかった部署の相手とも活発な交流が生まれるケースさえあります。

とはいえ、誰とでもコメントを交わす機会があるからといって、何を発言してよいかわからない方もいるでしょう。本サービスでは、自発的に発言する人だけが楽しめるシステムではありません。コメントが得意な方も、そうでない方も、全員が自然に雑談に参加できるような仕組みがあります。

それが「執じぃ」です。

本サービスの企画開発を担当する左近允(さこんじゅう)晃が、仕掛けた“わくわく”の1つ「執じぃ」をご紹介します。

全社的な雑談を盛り上げる、朝の質問

「従業員エンゲージメント育みサービス」内でのコミュニケーションを促進する役割を持った“おじいさんの執事”ということで「執じぃ」と名付けました。もとは「共通の話題で、フロア内やチーム内が盛り上がるようにしたい」という要望から生まれたんです。

おはようございます。困ったときは、じぃにお任せください。

朝、ログインすると「執じぃ」が登場します。そして必ず毎日1つ、全社員に対して同じ質問を投げかけます。質問は単純で、「好きな食べ物は?」など、ひと言で答えられるようなもの。基本的には業務に関係のないテーマです。

日によってさまざまですが「目玉焼きには何をかける?」という質問は、かなり盛り上がりましたね。ソース派か醤油派か。好みが分れてプチ論争が起こったり、意外な人と同じ答えで「私も好きなんだよね」と共感のコメントが飛び交ったり。

自発的にコメントを書くのは苦手でも質問に答えるのなら、そう難しくありません。たとえば先の質問に、「目玉焼きにはケチャップ」なんて珍しい意見をコメントすれば意外に目立って、思いがけない方からコメントをもらえる可能性もあります。

雑談のスタート地点であり、わくわくと楽しみながら、いろんな形で雑談が発展していく可能性も秘めている。偶発的に雑談を生み出してくれるのが「執じぃ」なんです。

雑談以上の効果も。リアルの人間関係にも好影響

「明日は執じぃ、どんな質問だろうね」なんて、話している声を耳にすることもあります。

毎朝「何か面白いことを言おうと頭をひねっている(笑)」という声もあって、それだけ皆がわくわくしてくれているのだなと嬉しいですね。

他にも「青春の懐かしい曲、よく聞いていた曲」という質問では、「共感できて親近感が得られた」とか「フロアが甘酸っぱい雰囲気になった」とか(笑)。回答によって世代がわかるので、出社時に「もしかして年齢近い?」と話しかけることができたという、こちらもわくわくしてしまうような意見もありました。

「バーチャル空間上の雑談を活性化させたい」という当初の目的を飛び越えて、リアルの人間関係にまで、よい影響を及ぼしはじめているのを実感しています。

運用側が、気軽に従業員の想いを知れる

「執じぃ」からの質問は、ユーザカスタムが可能です。

74の質問をデフォルトでご用意していますが、追加も順番も自由です。お客さまに伺うと、桜の開花や法令の制定など時事ネタを質問に取り入れるケースなど、さまざまな運用の仕方があるようです。

お客さまからは、昨今のオフィス回帰の流れなかで、「働く場所はどこがいいですか?自宅それとも会社?」「どのくらいの頻度で出社したいですか?」という質問を投げかけたというお話も聞いています。

確かに「執じぃ」の場合、コメントの内容と集計は即日確認できるので、社内の意見を知りたいと思ったときには非常に有効です。どの企業でも社内行事やイベントなどの反響を確認したいケースはよくあると思いますが、「執じぃ」に「昨日のイベントどうだった?」などと質問してもらえば、従業員が満足したのかそうでないのか、まずは全体像が掴めるのかもしれません。

お客さまの実例のお話を聞くにつけ、「執じぃ」には、運用側が気軽に従業員の想いを知るという他の役割もあったのだとあらためて気付けました。

かかわる人全員を、わくわくさせる「執じぃ」

サービス全体が、もともと「みんなが平等に、わくわく働けるようにしたい」という想いからスタートしているので、私自身も「執じぃ」の開発には積極的に楽しみながら取り組みました。

「執じぃ」の外見やキャラクター設定は、部内の仲間と話し合いながら。「アドバイザーやコンシェルジュのイメージなら、執事がいいんじゃない?」「それならナイスミドルに!」「執じぃの“ぃ”は小さい“ぃ”にしたい」とか。細部にまで、わくわくのこだわりが詰め込まれています。そう考えると開発段階から、すでに皆わくわくしていましたね(笑)。

「執じぃ」は、利用者も開発メンバーもわくわくさせてくれる存在です。さらに重要な役割も担っています。

たとえば、「執じぃ」は毎朝の呼びかけ以外にも、全社アンケートも実施できます。経営層やマネジメント層が、全従業員の本音や生の声を知りたいとき、「執じぃ」が経営層に代わって全社に向けて質問を投げかけます。「もし社長相手に何か意見を言うとしたら身構えてしまうけれど、毎朝交流のある「執じぃ」なら気楽に本音でこたえられそう」という声もあります。「執じぃ」は、経営・マネジメント層と従業員の間に立って、対話が円滑にすすむように取り持つ大事な役割ももっているのです。

おわりに

社内コミュニケーションに関連する製品は多種多様ですが、「執じぃ」のように製品側からユーザー側に働きかけて体験(雑談)を促すという機能は、なかなか少ないのではないでしょうか。さらに、それが「わくわくを感じられる体験」であることも重要です。

実は、エンゲージメントの高い状態を表わす「楽しい」「わくわく」「共感し合える」「お互いを鼓舞する関係性」「開かれたコミュニケーション」というキーワードはどれも、「執じぃ」が生み出す体験に共通しています。「執じぃ」は潤滑油となって、社内の途切れることのない対話とわくわくを紡ぎ続けているのです。

じぃはいつも、みなさまのことを陰ながらお支えしております。

当社のエンゲージメントについての考え方の変遷は、資料からご覧頂けます。

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編集後記

「執じぃに質問されると、なぜか、すぐ答えちゃうんだよね」

「執じぃ」に対するご意見で、上記のような声もありました。わくわくする質問にも、まじめな質問にも、どちらも抵抗なく、スッと本心をコメントしてしまう。

なぜでしょうか。「執じぃ」という存在に対して、気づかないうちに信頼感や安心感が築かれているのかもしれません。だからこそ、素直に自己開示してしまうのではないでしょうか。

わくわくから生まれたエンゲージメントのその先には、従業員同士そして従業員と会社の信頼関係の構築、絆という恩恵もあるのかもしれません。