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リモートワークはデメリットが多い? 必要な対策も解説

リモートワークを試したいと考えている、あるいはそのように考えて試験的に実施したことはあるものの、自社にとってデメリットが多いことがネックとなり、完全な導入には至っていないという企業もあるようです。そこでリモートワークのデメリットについて整理し、対策や解決法について考えてみます。また、リモートワークの必要性につながるメリットも紹介します。

  1. リモートワークにデメリットは多い?
  2. 企業におけるリモートワーク導入のデメリット
  3. リモートワーク導入による企業のメリット
  4. リモートワークのデメリット解決のポイント
  5. リモートワークのデメリットや問題点を解消するための対策

リモートワークにデメリットは多い?

現在、リモートワークの導入はさまざまな企業で進んでいますが、まだまだ導入に踏み切るにはデメリットとして挙げられる項目が多いことも事実です。

特にこれまで新しい働き方の推進にあまり積極的に取り組んでいなかった企業にとっては、「リモートワークを始めること・続けること」のハードルや懸念材料がいくつも存在するように見えてしまうようです。

2019年ごろから政府が働き方改革を呼びかけ、リモートワークをそのための重要な施策として打ち出しても、実際に導入する企業は爆発的というほどには増えませんでした。それもリモートワークのデメリットに原因があると考えられます。その後、新型コロナウイルス感染拡大と緊急事態宣言の発令により、やむなく在宅勤務を実施する企業が増加しました。
2023年5月には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の扱いは「新型インフルエンザ等感染症(2類相当)」から「5類感染症」になりました。政府として一律に外出自粛要請などをせず国民の主体的な選択を尊重し、感染症対策はそれぞれの判断に委ねられるようになっています。そのようななかで、リモートワークは定着した企業もありますが、取り組みを廃止した企業や部分的に残した企業など、リモートワークへの取り組み方はさまざまです。

企業におけるリモートワーク導入のデメリット

ではリモートワーク導入のデメリットとは何なのか、代表的なものを挙げていきます。

情報セキュリティの懸念

情報漏えいなどのリスクが高くなることは、特に大きなデメリットとして捉えられるかもしれません。社外の上司やほかの社員の目が届かない場所では、PCなどの端末やデータの扱い・管理がずさんになるおそれがあります。端末・データの紛失だけではなく、内部不正が行われやすくなるのも問題です。Wi-Fiを含めた通信環境の安全性の問題、標的型攻撃によるマルウェア感染なども起こりやすくなるかもしれません。

コミュニケーションが取りにくい

オフィス空間を共有している場合と違って、リモートワークでは社員同士のコミュニケーションが取りにくくなるのもデメリットです。対面コミュニケーションが行えないため業務指示がうまく伝わらない、いわゆる「報・連・相」の徹底が難しい、といった問題も発生しがちです。

生産性の低下

リモートワークは生産性の低下を招くと考える人もいます。上司や他の社員の目が行き届かないためモチベーションや集中力が続かない、仕事をサボる社員が増えるというのが主な理由です。共同作業がやりづらく、上司や複数の担当者の承認が必要な事項についても手間がかかり、作業効率が落ちるという意見もあります。

勤怠管理や人事評価の見直しが必要

上司の立場からすると、顔が見えないので部下の作業の進捗状況や勤務態度がわかりにくいのも気になる点です。労働時間の管理、人事評価の仕方なども従来のやり方が適用できなくなるため、制度の見直しが必要になります。

押印が必要な書類業務が止まる

デジタルデータが存在しない書類の押印作業などは、リモートワークだけで行うには限界があります。近年ではペーパーレス化も進み、ワークフローシステムを使って承認作業を実施する企業も少なくありませんが、ペーパーレス化がなかなか進められない企業もいるでしょう。そのような企業にとっては、リモートワークを導入することで業務が滞り、業務効率の低下を招きかねません。

リモートワーク導入による企業のメリット

リモートワークには上記のようなデメリットがありますが、それらを解決する手段も確立されてきています。また企業が得られるメリットも多くあります。

実際にリモートワークを導入している企業では、出産・育児、介護などのタイミングでの離職を防げることや、ワークライフバランスの充実という観点から優秀な人材が集まりやすくなるという効果が期待できます。会社選びの際にリモートワークが可能かどうかは、今後大きな条件のひとつになる可能性があります。

他にも企業イメージの向上、オフィスコストの削減、そしてコロナウイルスなどの感染症へ の感染リスクの低減なども見過ごせないメリットです。

リモートワークのデメリット解決のポイント

リモートワークは新しい働き方であり、従来までの作業方法とは異なる方法で業務を実施する必要があります。その際に重要となることが業務の「デジタル化」です。前述のデメリットで挙げたような「コミュニケーションが取りにくい」「紙の書類に押印ができず業務が止まる」といったものは、デジタル化が進んでいれば解決することが可能です。
リモートワークを導入することは企業にとって大きなメリットも存在するため、導入を前向きに検討してデメリットをどのように解決するのか、という点に注力したほうが良いでしょう。昨今ではリモートワークを実現するためのサービスや、ITツールも多く存在しています。これらのサービスやツールを活用し、業務のデジタル化を進めることがリモートワークを成功させるための鍵となります。

リモートワークのデメリットや問題点を解消するための対策

リモートワークのデメリットまたは問題点を解消するにはどのような対策があるのかも見てみましょう。

勤怠管理システムの導入

リモートワークでは、勤怠管理システムを導入するのが一般的になっています。勤務開始と勤務終了を打刻して記録できるほか、給与システムとの連携も可能なシステムもよく利用されています。外出先でもスマートフォンから打刻ができるなど、さまざまな機能が搭載された製品があるので、用途やニーズに合わせて選ぶことができます。

評価制度の見直し

評価制度は成果主義にもとづいた目標管理制度(MBO:Management By Objectives)などが、主流になりつつあります。作業の進捗状況や業務プロセスを把握するためのITツールも登場していて、それらを活用した新しい評価制度を策定することで、リモートワークに適合した人事評価が可能になるでしょう。

コミュニケーションツールの活用

Web会議システムやチャットツールは、リモートワークに必須といえるツールになっています。他にも社内SNS、社内Wiki、社内電子会議室など、業務に合わせたコミュニケーションツールや情報上共有ツールを活用可能です。

口頭とメール、電話などだけでコミュニケーションを行っていたときよりもコミュニケーションが活性化され、ノウハウやナレッジの共有も進んで業務効率化が進んだという事例も少なくありません。

テレワーク監視ツールの導入

リモートワークでは直接従業員の働きぶりを確認できないため、「サボるのではないか」と心配する管理者の方も多いでしょう。そのような場合には「テレワーク監視ツール」を導入することをおすすめします。監視ツールは従業員のPCにインストールすることで、利用状況をタイムラインに沿って自動的に記録して視覚化できます。
「監視」というと語弊があるかもしれませんが、オフィスで働いているときと同じように「見られている」という緊張感をもって業務に携わることで、業務効率を向上させる効果も期待できます。単なる監視のためのツールとしてだけでなく、どの従業員がどのような業務にどのくらいの時間を掛けているのか、といったことも視覚化されるため、業務全体の最適化のためにも活用することが可能です。より詳しい内容は、こちらの記事をご覧ください。

仮想オフィスサービスの導入

仮想オフィスサービスは、仮想的なオフィス空間を提供するサービスです。リモートワークでは、コミュニケーションの取りづらさが課題となっていますが、仮想オフィスサービスを活用することで、現実のオフィスで働いているときのようにネットワークを通じて同じ空間で働いているような感覚を提供します。しっかりと縦と横のつながりを意識した「チームで働く」を実現したい企業におすすめです。
仮想オフィスサービスでは、一般的にメンバーの出退勤状況や気軽に雑談するための雑談ルーム、チームチャット・チーム掲示板などの機能が提供されています。

さらに、日立ソリューションズ・クリエイトが提供する仮想オフィスサービスでは、管理職向けの勤怠管理機能も備わっています。より詳しい内容は、こちらをご覧ください。

セキュリティ対策ソリューションの導入

リモートワークを想定したセキュリティ対策ソリューションを利用すれば、総合的なセキュリティの確保が可能になっています。システム設定変更作業のクロスチェックのサポート、テレワーク端末の不正操作の抑止、端末のマルウェア感染対策など、リモートワーク導入におけるさまざまな課題を解決することができます。

特にセキュリティに関しては、試行錯誤しながら改善策を整備していくというやり方では致命的なインシデントを招くことがあります。リモートワーク導入前からの十分な対策を講じておくことが重要です。

ペーパーレス化

リモートワークにおいて紙の書類の存在は、リモートワークの成否に関わるほど大きな要素です。デジタル化された書類(ペーパーレス)であれば、分量や保管場所に関係なく利用できます。そもそも、ハンコ文化が根強い日本社会において、リモートワークを実現するためにはペーパーレス化は欠かせないといえるでしょう。
ペーパーレス化は、紙の書類を使った業務と比べてさまざまなメリットをもたらします。リモートワークの実現に関係なく、今後の業務効率化を実現したいと考える場合には、必ず取り組むべき施策の一つです。より詳しい内容は、こちらの記事も併せてご覧ください。

リモートワークにはいくつかのデメリットがあるもののメリットも多く、働き方のひとつとしてすでに定着してきています。リモートワークの活用が自社の競争力強化につながると考えている企業も多く存在します。デメリットに対する解決策を見い出しながら、導入・運用を検討してみてはいかがでしょうか。

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